見出し画像

物事の本質を鋭く見通せる心を持て #05 透察力

高度経済成長期には、モノ不足からもたされる「作れば売れる」時代が続きました。

そして、国際的にも日本の製造業の高い技術力が評価され「良いモノを作れば売れる」時代に遷りました。

しかしながら、現代では技術力だけに頼ったビジネスモデルでは、既に限界を迎えていることは明らかです。
いつまでも「良いモノを作れば売れる」的な思考に依存していては、この限界から脱却はできません。

現代の環境を、1990年頃から使われた軍事用語を流用してVUCA(ブーカ)環境と表現される場合があります。

さらに、2020年に、世界規模で襲った新型コロナ感染は、VUCA環境の予想の範疇すらも超えるような事態となりました。

また、企業に限りませんが、SDGsにも言える通り、危機的な環境の維持や改善にも地球規模で取り組まねばなりません。

結局は、この環境の現状と短期的な将来を分析して、自助対応により、この事態を耐え、躍進に結びつける中長期の戦略を講じて行く以外にないと考えます。

過去、時のヒトとなり、様々なメディアで讃えられていた企業の経営者や政治家、有名人が、考えられないようにあっけなく姿を消したり、失脚する時代です。
一時的に輝くのであれば、実力や努力が不要とはいわないまでも、虚勢やフロックでも可能なのかもしれません。

「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。」

これは、学問のススメの福沢諭吉氏の言葉です。

人には現状を現状のまま維持したいという無意識の欲求があるといいます。
しかしながら、現実は、新しいことにチャレンジしない人は現状を維持することすら出来ずに後退してしまいます。

良くも悪くも現状で満足あるいは妥協することなく、新しいことにチャレンジすることが大切です。
もちろん、それで、直ぐに成果が出る保証はありません。
しかし、それでも、諦めずにチャレンジし続けることが成長につながるのだという教えです。
今の時代だからこそ、尚のこと相応しい言葉であると思います。

マネジメントで知られるドラッカー氏は、企業の目的は「顧客の創造」であると断言されています。
「顧客の創造」とは、企業の社会における存在意義(パーパス:Purpose)でもあります。
また、「自分が得意だと思っていることに溺れるな。物事の本質を鋭く透察する心を持て」とも提しています。
透察とは、物事の本質を見極め、先を見通すことであるといえます。

確かに厳しい時代ですので、目先の成果に拘らなければ、将来がないともいえます。
しかし、目先だけに拘っていても、将来はありません。

現在の存在意義を活用して、如何にして、将来の存在意義を構築できるかは、この透察力にかかっているとも言えます。
透察することによって、将来のあるべき姿(ビジョン)あるいは、目標を描き出し、それらに焦点を当てることで、可視化された課題に取り組んで行くことが重要なのだと考えます。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?