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【実食レポ】 「虎屋菓寮」(京都市上京区) 季節の生菓子

京都御所の西隣、烏丸通に面して「とらや 京都一条店」があり、脇の道をもう少し西に入った場所に「虎屋菓寮」があります。
京都の喧騒から少し離れた場所にあるので、時間がゆったり流れているみたい。
そんなお店で、お庭を眺めながら静かに和菓子がいただけます。

京都の「虎屋菓寮」

「虎屋菓寮」はとらやのお菓子がいただけるお店で、日本に9店、パリに1店があります。(2024年8月現在)

虎屋の歴史は約 480年前、京都にて始まりました。虎屋には、寛永5年(1628)以前から商売をしていた土地を買い増した証文が残っており、 一条店に程近い虎屋菓寮京都店がある場所は、永く虎屋が御所の御用を続けてきた地です。
当時は製造場と店舗が同じ場所にありましたが、昭和54年(1979)に京都店から店舗機能を分け、それまで黒川家の邸宅と社員宿舎があった場所に、一条店を開設し、現在に至ります。

「とらや」のニュースリリースより
https://assets.toraya-group.co.jp/__/_files/toraya/pdf/press_release/20091101_104.pdf


建築・インテリアのお話

ここでいつものように、ちょっぴり建築・インテリアのお話を挟みます。

2009年11月にリニューアルオープンした京都の「虎屋菓寮」の設計は内藤廣建築設計事務所です。
内藤氏は、「赤坂店」や「京都店」など、虎屋の店舗を多く設計しています。


大きな一室空間に、天井の格子(ルーバー)が印象的

一室の大きな空間と天井の意匠が印象的なこちらの建物を見ると、「京都鳩居堂 本店」の2つの建物を思い出しませんか?
ちょっぴり似た雰囲気がありますよね。
そうなんです、京都鳩居堂も内藤氏の設計なのです。


北側のお庭に面した簾戸は開け放たれていました

建物の南北には深い庇があり、どちらもテラス席になっています。
簾戸(すど)が立てられていて、風は通しつつ光や目線を調整できるようになっていて、和のしつらいです。
簾戸は夏に使う建具なので、冬は変更されるのかな?といろいろネット上にある画像を探してみましたが、どうやらすりガラスの入った建具に変更されるようです。

屋根の多くは瓦ですが、天窓と庇の屋根から光が入ります。
ガラスの下には木製の格子がありますから、天井からの光は優しく広がります。


客席配置はゆったり

広々とした店内は、ゆったりした客席配置になっていて、椅子の幅も広め。
天井以外の木部はウエンジ色でまとめられていてシックです。
(天井側が明るくなるので、実際よりも高さが感じられます)

北側のお庭は、稲荷神社や水盤が望めるようになっていて、住宅街にありながら虎屋の世界観を壊さないような配置になっています。

天井から下がるペンダントライトは、下から見ると「虎屋」のマークになっているのもぜひチェックしてください。


傘立てもおもしろい
(傘のオブジェがささっていれば良いな)

繋がっていますが、別棟で「虎屋 京都ギャラリー」もあります。(年に2回ほどの展示オープンのよう)
店内には、和菓子関連の書籍がたくさん置いてあり、自由に閲覧が可能です。


こちらは、烏丸通に面した「とらや 一条店」

建築・インテリアの話が長すぎましたね(笑)


季節の和菓子とお抹茶

2024年7月に伺ったので、店内にはかき氷をいただくお客さんがいっぱいいました。
暑い日だったのでかき氷も惹かれたのですが、まずは王道からいただくことにして「季節の和菓子」から「向日葵」をチョイス。
飲み物はさすがに冷たい「抹茶グラッセ」を。


飲み物付きで1650円(2024年7月)

「向日葵」は、きんとん製 御膳餡包水羊羹製角芯入と説明が書かれていました。
「抹茶グラッセ」は、抹茶を冷やした飲み物で、白蜜が別に添えられているのが嬉しいです。


この時期、向日葵の上生菓子はよく見かけますが、さすが上品にまとめられている気がします

きんとん製

きんとん製とは、餡玉を煉切※1や求肥※2で包み、そのまわりに網でこしてそぼろ状にした餡をつけた菓子をいいます。そぼろ餡が潰れないように、餡玉は手で持たず台の上に置き、箸でふんわりとつけていきます。切ると美しい断面が現れます。

※1: 餡に求肥や山芋などを加えて煉りあげたもの。とらやでは求肥を使用。
※2: 水溶きした白玉粉を蒸し、火を入れながら砂糖蜜を加えて煉りあげたもの。

「とらやの菓子づくり」より

羊羹製

羊羹製とは、餡に小麦粉・寒梅粉※を加えて蒸し、もみ込んだ生地のこと。製法が蒸羊羹に通じており、とらやでは「羊羹製」という名称ですが、一般的には「こなし」と呼ばれます。木型を使ったり、手で成形したり、布巾で茶巾絞りにしたりと、仕上げ方法はさまざまです。

※餅を薄く伸ばして白焼きし、粒子の細かい粉にしたもの。

「とらやの菓子づくり」より

虎屋さん独自の呼び名もあるんですね。
上生菓子のことも実際はあまりわかっていないことを感じています…近々まとめたいです。

京都の「虎屋菓寮」は、季節が感じられる上質なお菓子を味わいながら、ゆったりとした時間が過ごせる素敵な菓寮でした。


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