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とうがらしの越冬

 とうがらしを育てている。観賞用とうがらしは基本的に日本では冬を越せないので一年草として扱われていると聞いていたが、私のとうがらしは前の冬を乗り越え、今季はさらに沢山の実をつけてくれた。
 七色とうがらしと呼ばれる種類で、丸っこい実が最初は紫が混じったクリーム色に実り、次第にオレンジから赤へと変化する。実った順に少しずつずれて変色するので、暖色系のグラデーションになってなかなか見栄えがする植物だ。

 日本語では「唐辛子」と書くが、原産は中国ではなく南米だそうだ。沢山の野生種があり、そのごく一部が原住民によって栽培化され、ヨーロッパからの征服者や貿易商に運ばれて世界中に広まったという。
 南米の気候に詳しくはないが、高地が多いので気温差が大きいのではなかろうか。そう考えると、唐辛子はもともと気温変化に強そうに思える。虫害も無く、つやつやした実は生でも、日が経って乾燥しても清潔な感じがする。そういう強く丈夫なイメージが、色々な地域で魔除けとして飾られるゆえんかもしれない。
 そんな想像をしつつ、私は自分のとうがらしをまだ戸外に置いていて、わりとスパルタ式に育てている。とうがらしの強さを信じているわけだ。

 とはいえ、2年物のとうがらしにはかなり愛着が湧いているから、万一のことがあったらかなり寂しい。どうしても寒さに耐えられそうになければ部屋に取り込み、座敷猫ならぬ座敷とうがらしにしてやろうと思う。冬を越す生き物は皆健気だ。私もベランダのとうがらしやレモンの木と共に、この冬を静かに乗り越えたい。

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