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◯映画感想 「女の勲章」

1961年 監督・吉村公三郎 映画脚本・新藤兼人

 主役は京マチ子さま。相手役は田宮二郎さま、助演に大人の女性らしくなってきた頃の若尾文子さま、熟年ダンディ森雅之さま、まだ娘らしい中村珠緒さんなど、妖しくも危うい大人の色気と狂気がちらつく怪作だと思いました。

 原作は山崎豊子先生で、テーマは

「女性の出世欲と愛欲のせめぎ合い」というところかなと理解しましたが、内容はけっこう女性の功名心に批判的で、時代のせいもあるかな、と思いました(ちなみに松嶋菜々子さん主演でリバイバルされていますね。そちらは少し違う解釈になっているでしょうか)。


 ただ、たしかに男女問わず、名声欲、出世欲は幸せを遠ざけるのかな…とも、乏しい自分の人生経験と照らし合わせても一応納得はします。


 ちょっと昼ドラチックなチープ感のあるラブシーンも続きますが、
「仕事とは」「幸せとは」など、悩める20代、30代、40代…全ての年代の方におすすめできます。
 YouTuberとか、世に出ることが昨今ますます良しとされている気もしますが、それを虚栄心と捉えると、そういうことに執着しすぎるのも良くないのかな??

以下、ネタバレありのあらすじ起承転結です。



 大阪・船場のいとはん(お嬢様)育ちの主人公・大庭式子は、自宅に併設した裁縫教室から短期間で洋裁学校を設立するまでになった。その陰には同じ船場出身の八代銀四郎の暗躍があり、また裁縫教室からの教え子3人も式子に従いながら、地位を得ようとチャンスを狙っていた。


 銀四郎は洋裁学校の分校を各地に次々と展開させつつ、式子と3人の弟子の全員を誘惑し操ろうとする。

 弟子の中で倫子は商社マンの恋人を仕事に利用できないと知って別れ、かつ美は分校の代表になろうとし、とみ枝は銀四郎に貞操を捧げる代わりに縫製工場の名義を密かに自分に変えさせるなど、それぞれが自分の思惑のために必死に行動する。
 そんな中、式子はフランスのデザイナーとのライセンス契約を結び、またそのデザインでのファッションショーを実現するために渡仏する。パリで銀四郎の恩師であり、その伝手で洋裁学校の顧問となった白石教授と恋仲になる式子。


 白石教授との結婚を決意し、それを銀四郎に伝える式子。しかし3人での面談の席で、銀四郎と式子が洋裁学校の権利や資産について恥を知らぬ様子でやり合うのを見て、白石教授は自分はついて行けないと式子に別れを告げる。
 絶望した式子は自分の学校で自死する。


 亡くなった式子のもとに駆け付ける銀四郎と弟子たち。「結局式子先生はいとはんやから、一番損をしはった」と呟くとみ枝。
式子の死をも学校の宣伝に利用しようとする銀四郎に、友人の新聞記者は「お前は人間ではない」と斬り捨てる。

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