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おうちスクーリング開始に必要な手続きは?~学校との打ち合わせ編~

前回の記事では、おうちスクーリングをはじめるにあたって必要になる基礎知識や、おおまかなフローについてご紹介しました。

今回の記事はその続きになります。

【前回の記事】

1.おうちスクーリング実施の意向を伝えた後

学校にお電話をし、担当の先生に「おうちスクーリングを実施したい」とお伝えした後は、まずは一度学校での面談を提案されると思います。

校長先生とのお話になることがほとんどですが、学校によっては、まずは教育相談の担当の先生や担任の先生につながれることもあるようです。

今回は”校長先生との面談”という想定で、お話を続けたいと思います。


2.校長先生との面談で話し合うこと

校長先生との面談での協議事項は、おおむね以下のとおりです。

(1)生徒本人の意思確認

おうちスクーリングを行うことが、本人の意思に基づくものであるかどうかの確認があるでしょう。

「学校に行きたいけれど止む無くおうちスクーリングを選ぶことになった」のか、「本人が前向きな動機によりおうちスクーリングを望んでいる」のかによって、今後の支援の方向性も大きく変わってくるためです。

保護者と教員の面談の場のみで確認が終わることもあれば、後日、生徒本人が校長先生との面談に呼ばれることもあります。

事前にきちんとご家庭で意思確認を行い、共通認識のもと、校長先生との面談に臨めるとよいでしょう。


(2)要録上の出席の扱いと評価について

文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)(別紙2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」の中で、

”不登校児童生徒の中には,(中略)このような児童生徒を支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たした上で,自宅において教育委員会,学校,学校外の公的機関又は民間事業者が提供するICT等を活用した学習活動を行った場合,校長は,指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映することができることとする。”

としています。

(別紙2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて】

校長先生との面談では、この「要録上の出席について今後どのように扱っていくか」のお話があるでしょう。

こればかりは現状、本当に校長先生お一人のお考えにゆだねられている学校さんが多い印象です。

(たまに、市区町村内で足並みをそろえて出席認定を取り決めている自治体もあるようです)

「要録上出席扱いにします」とはじめからおっしゃって下さる校長先生も、意外と多くいらっしゃいます。

その他、おうちスクーリングの実施方法について詳細にチェックしたのち、あるいは実際に家庭訪問などにより現状を確認したのちに出席扱いを検討される校長先生もいらっしゃいます。

ごく稀ですが、「家で勉強した分が出席扱いになるわけないじゃないか」とまったく受けつけてくれない校長先生もいらっしゃいます。

前回の記事でも触れましたが、このような反応をされる校長先生は、先の文科省からの通知をご存知でない可能性が大です。

保護者様自ら通知の内容について校長先生にご説明して差し上げるか、教育委員会の先生に相談されることをおすすめします。

要録上の出席の扱いのほか、教科の成績のつけ方についてもお話が出ると思います。

特に中学生がおうちスクーリングを選択する場合、進路選択を見据えると、成績のつけ方も重要になってきます。

授業に出なくては成績はつかない

授業に出ていなくても、定期試験を受けに来れば評価がつく

実技教科についてはどうするか

評価がつかない教科については斜線での対応が可能

などなど。

こちらも、学校によって微妙に規準が異なっているというのが現在の日本の公立学校の現状です。

事前によく確認を行いましょう。


(3)おうちスクーリングの学習計画について

おうちスクーリング中の学習計画についても質問をされると思います。

学習を誰が見守るのか、家庭教師を呼ぶのか、通信講座を利用するのか、完全に子どもの自主性に任せるのか、民間等の教育機関の助言を受ける予定はあるのか…などなど、確認事項は多岐にわたります。

だからと言って、あれもこれも、保護者が事細かに決めておかなくてはいけないということでもありません。

「子どもはおうちスクーリングを希望しているのだけれど、保護者として何を用意してあげればいいのかさっぱりわからない」という場合には、その旨を率直に校長先生にお話し頂き、意見を仰いでみるのでも、まったく構わないと思います。

ここで必要になってくるのが「子どもを奪い合うでもない、押し付け合うでもない。大人たちが、それぞれの立場だからこそできる支援を協力し合って行う」という姿勢です。

学習のことでわからないことは、是非学校の先生を頼ってみましょう。

学習指導は教師の本分ですし、子どもの成長に関わることで頼られて、嬉しくない教師はほとんどいないはずです(少なくとも私はそう考えています)。

もし、学習指導で利用予定の教材などが決まっていたら、現物やパンフレットを持参すると、お話が伝わりやすいかと思います。


(4)今後の学校との連絡方法について

おうちスクーリングを始めたら、その瞬間から学校との関わりがパッタリとゼロになるわけではありません。

むしろ、おうちスクーリングを実施するからこそ、学校との密な連携が必要になると考えて頂いた方が良いでしょう。

今後の連絡の方法や頻度についても、校長先生からご提案があると思います。

「週に一度、担任と保護者で電話で報告をし合いましょう」だとか

「月に一度、学校に面談に来てください」だとか

「生徒直筆の学習成果物を学校に提出してください」だとか、

学校によって様々です。

私の運営しているフリースクールのケースですと、月に一度、生徒さんの「学習と活動の記録」という書類を校長先生にお届けしています。

生徒の学習日や学習内容が一覧になっていて、指導要録上の出席日数の処理や学習の進捗状況を把握するのに便利だとご好評を頂いています。

今度、覚えていたらnote上で公開したいと思います。


以上4点が、校長先生との面談でほぼ確実に話題に出るであろう協議事項でした。

上記の他に、当然生徒さんの日頃の様子や学校に対しての思いなども確認されますし、もっとこまごまとしたこと、たとえば

「机や椅子、下駄箱、ロッカーは用意しますか?」

「今のところ、登校復帰の希望はありそうですか?」

「卒業後の進路はどうしますか?」

など、色々なことを話し合う必要があるでしょう。

本人・ご家庭として確固たる意志が決まっていることについてはハッキリとお伝えして、まだ迷っていたり、正直わからないということについては、「どうしたら良いでしょうか?」と遠慮なく校長先生を頼って頂ければと思います。

こうやって、大人がみんなで知恵を出し合って助け合い、相談や試行錯誤を重ねていく事で、教育の中身はより良いものになっていくと思うのです。

これはおうちスクーリングを選ぶケースに限った事ではなく、学校に楽しく通っている子ども達についても、また、ご家庭内の教育についても同じことが言えると、私は考えています。


以上、今回は「おうちスクーリングをはじめる前の校長先生との面談」について書きました。

週1回ペースでの投稿、なんとか継続できてホっ。

次回もお楽しみに☆


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