Day1:「ポジティヴヘルス」を日本に拡める伝道者研修「#PositiveNIPPONプロジェクト」の始まり
2011年、オランダ発。「ポジティヴヘルス」とは?
初回の研修、そして書籍『オランダ発ポジティヴヘルス』を読み終えた今、自分なりに理解している言葉でいうと、”健康な状態”とは、数値や他者によって判断されるものではなく、自ら決めるものである。その概念、コンセプトを論理付け、調査・裏付けし言語化したものが、「ポジティヴヘルス」であると理解しています。
「ポジティヴヘルス」は、2011年、オランダでポジティヴヘルスの概念を成立させた、元家庭医のマフトルド・ヒューバー氏が提唱した健康の概念。同年BMJ(British Medical Journal)にて文献を発表しています。
そこでは、ヒューバー氏はポジティヴヘルスとは「社会的・身体的・感情的問題に直面した時に適応し、自ら管理する能力としての健康」 というコンセプトであると言っています。
自分自身の健康に関して、多様な視点を取り入れ、自らと向き合い、他者と対話していく中で、在りたい姿へ近づいていく
そもそもヒューバー氏は、「WHOによる健康の定義=「単に疾患がないとか虚弱でない状態ではなく、身体的、精神的、社会的にも完全に良好であること」は、「完全」が強調されているばかりで、意図されていなかったとしても、社会の医療化を増長させた、と述べています。
さらに、医療技術の発展の結果として、医療依存度、医療リスクを高めることにつながっていると指摘します。
今までは医療の技術頼みで自らの健康(健康診断、人間ドック、etc...)を確認してきたけれど、それだけでは健康という状態とは言えない。
自分自身の健康に関して、客観的な視点、主観的な視点を取り入れ、自らと向き合い、他者と対話していく中で、在りたい姿へ近づいていく。
その力こそが土台であり、決して数値化されたものだけが自分自身の健康をジャッジするものではない、というコンセプトなのです。
この一連のコンセプトを聞いた時、私は2015年に短期留学したデンマークでの高齢者福祉三原則を思い返していました。
日本の介護保険制度では、本人の意思、家族の意思を確認した上で、ケアマネジャーがケアプランを決め、入浴は水曜日と土曜日…など、あらかじめプランが決められていきます。そのケアプラン作成の現場には、本人が不在で行なわれることも多くあります。
一方のデンマークでは、「自分が何をしたいか」を「 1 日の始めに」決めることが多く行われています。例えば、施設で働く介護士との会話は、「今日は何をしましょうか?」から始まるそうです。介護を受けている高齢者が週 2 回入浴ができる法案を通す、と公約したある政党のマニュフェストは、本人が決めることについて他者が口を出すべきではないという理由から全く支持されなかったと言います。
三原則を例にとっても、このポジティヴヘルスの考え方になぞってみると、両極端に近いような印象を受ける日本。でも、本当に両極端でしょうか?私たちの本質の考えは、一体どこにあるのだろう?
「ポジティヴヘルス」を日本に拡める伝道者研修「PositiveNIPPON プロジェクト」、これからどう動き出していくのか。
ポジティヴヘルス研修はDay3と実践によって成る
ここで、今回の研修「PositiveNIPPONプロジェクト」の流れを簡単にご紹介します。
(14日間のインターバル)
(33日間のインターバル)
研修の様子も追ってアーカイブしていきます。
更新:2024.3.31
藤岡聡子
福祉環境設計士⁑軽井沢町・ほっちのロッヂ 共同代表⁑PositiveNIPPONプロジェクトメンバー