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Day5:人を含めた地域全体が持続的に健康な状態であることを目指す実践こそ、持続的かつ確実な変化を促せる。#PositiveNIPPONプロジェクト

2019年4月13日(土)から始まった、限定15人の「ポジティヴヘルス」を日本に拡める伝道者研修「PositiveNIPPONプロジェクト」の参加者の1人、藤岡聡子です。このマガジンでは、2019年4月13日、27日の国内研修、5月30日〜オランダでの現地研修、そして日本におけるポジティヴヘルスについて、個人の考えをアーカイブしていきます。
Day1:「ポジティヴヘルス」を日本に拡める伝道者研修「#PositiveNIPPONプロジェクト」の始まり
Day2 :自ら実践できないものを、人に強いることはできない。「クモの巣」を使った対話が、ポジティブヘルスの土台。
・(Interval)  よき「老い方」ってなんだろう?大前提として、隠しだてをしない「話しあえる」文化をつくること。
Day3: 自ら・そして人の強みに目を向ける習慣をつくっていく。
Day4: 「朝起きて、一番最初に頭に浮かぶ”やりたいこと”」から始まる対話で、患者の生きる力を引き出す医師の実践
▶︎Day5:人を含めた地域全体が持続的に健康な状態であることを目指す実践こそ、持続的かつ確実な変化を促せる。

▶︎ホームセンターをリノベーションした、複合型ヘルスセンター

滞在先からバスに乗り込み、北へ。スペクトラム健康センターへ。
2014年、地域の家庭医たちが共同で、ポジティヴヘルスの考えを元にした、センターをつくりました。センターは元々、日本でもよくあるような、ホームセンターを見事にリノベーションし、薬局から妊産婦の検診まで。まるで日本の地方にある中核病院の規模だと、PositiveNIPPONメンバも驚くほど。

家庭医のカロラ医師から、センターの建設の背景から、チームビルデルディング、今後のことまで伺いました。

【ポジティヴヘルスを土台にしたレベル別手法:建設】
・ちょうどセンター設立を企画したのは、医療にとっての移行期・トランジションの時期と重なった
・私たちはどんな場を目指すのか?建築家や、建設に関わる人たちと多く対話を重ねた
・地元企業25社とパートナーを組んだ
・センターを訪れる人の動線は全て1階にし、動きやすくなるようにした
・1階部分は、それぞれポジティヴヘルスの6色に分かれており、その場の機能も、ポジティヴヘルスの色に沿うように設計されている
・2階は職員がリラックス出来るように設計。それぞれが過ごしやすい場を目指し、”イス”を持ち込んだ(ただし色は固定し、インテリアとしても統一感を持たせるようにした)
・処置室には、町の景色や名所が壁にかかっていて、患者側の不安を少しでも和らげようと気を配っている

【ポジティヴヘルスを土台にしたレベル別手法:センターの職員レベル】
・働き手が最も、ポジティヴヘルスの考えを実践していることを目指している。120人の職員を半分にわけ、年に2回、自分たちのビジョンを確認する研修を行う
・多岐に渡る職員がおり、2階での交流や研修などを通し、それぞれの職業への理解を深めたり、それぞれの得意な領域を生かし、業種を横断したプロジェクトが生まれている
・ポジティヴヘルスを人事面にも大きく生かし、その人のやりがいに沿った働き方ができているか、確認している

【ポジティヴヘルスを土台にしたレベル別手法:地域・地区レベル】
・州政府、地区行政への働きかけ
・患者への、薬以外の処方箋(社会的処方)

▶︎助産師が行う、ポジティヴヘルスを使った妊婦への働きかけ

続いて、スペクトラム健康センターで働く、助産師のネレカさん。
このセンターでは、日本でいう妊婦健診を受けることが出来るのですが、ネレカさんはこの検診にポジティヴヘルスを用いています。

助産師は一方的な情報を与えず、グループのディスカッションのコーチになることを常に務めているといいます。

10人の妊産婦グループでの例:

・1回2時間
・合計10回のワークショップ
・体重・血圧は自分で測る(出来ることは全て自分でやってもらう)
・複数のテーマから、自分たちが学びたいものを選ぶ
・決めたテーマについて、情報を集めてくる
・テーマは、出産前や出産時の状況、そして産後のテーマもある
・産後までテーマを広げ、対話する機会を持つことで、妊婦がきちんと知識を得る機会となる

40%の人が10人のワークショップグループを選び、それ以外は1対1の妊婦健診を選ぶそうです。

グループでの結果として、
→出産中に特別な処置がなくなる
→薬が不要になる
→母乳を与える母親が増えた
→専門医への紹介率が下がった
→母親が孤独を感じず、自分は支援されているという自信をつけた

など、効果が出ているそう。ネレカさんは、まずはこの対話、そして自らの行動で健康に向かっていく妊婦を増やすべく、助産師自身が出来るようになること、そして次は産婦人科医へと広げていきたいと思っているとのことです。


▶︎ 地域の健康の拠点として活動する、理学療法士の実践

続いて、運動療法クリニックを訪ねました。このクリニックはちょうど学校と公民館の間に位置し、どの世代にからもアクセスしやすい立地にありました。

「もっと自己主導で」
「ライフスタイルを大切に」
「人生の長い期間、出来るだけフィットでバイタリティであり続けること」をビジョンに掲げ、活動を続けています。


・35年間この地域の健康の拠点として活動してきた
・ポジティヴヘルスの概念を知ってから、受付事務など全員が研修を受け、自ら実践するようになった
・暮らしの動線に入るべく、いかに地域の健康の拠点となれるかを、常に心がけている。
・投資として、ポジティヴヘルスのシンポジウムを開き、理学療法士や学生、自治体や保険会社など様々な人に、ポジティヴヘルスへの理解を促している

などの話を中心に、クリニックの中を案内していただいたり、日本語向けの(!)動画を上映してくれたりと、私たちの訪問を心から歓迎してくださったり。
日本に行きたい!いつ行けるかな?と話をしてくださいました。近々実現出来るよう、メンバでも動いて行きたいと思います。


▶︎ICTを使って、行動変容を起こしている医師の実践

女性の尿失禁について、そもそも本人も自覚すら出来てないという症状に対して、ICTを使ってアプローチをしている医師。

活動内容も興味深いのですが、オランダにきて感じているのは、医療者がしっかりとマーケティングを学び、実践していることです。
この症状については、あまり人に相談することがないことがないため、いくらいい方法があっても、口コミで広まりにくいことがあるため、この医師は、ターゲッティングを決め、SNSの広告を出して、認知を広めたそうです。


▶︎理学療法を学ぶ、”新世代”の学生からみたポジティヴヘルス

最後に話を伺ったのは、22歳、理学療法を学ぶ学生・バートさん。ちょうどバートさんが学校に入学した2017年から、理学療法士の育成過程に、ポジティヴヘルスが一気に導入されたといいます。
その経過についてバートさんが話してくれました。

・理学療法士の中でも、68%はメリットを実感している
・ただし、ただし、少なからずメリットだと感じない理学療法士もいる
・自分自身が入学してからすぐに導入されたが、タイミングがすごく良かったと感じている
・すでに様々な現場で使われているので、この流れに遅れなくて本当に良かったと思うくらい
・授業の中では、医学生、看護師、理学療法士や作業療法士が、同じ患者のケースについて話しあうクラスもあり、職種問わず行き来することが学生の時からある


ポジティヴヘルスの展開で興味深いのは、
・学生の時からの職種間の行き来があること
・教育の過程で、医学に関わる人間が、地域における”責任”を感じ、自らの実践を地域の1人1人の暮らしを健康なものにしていくものだと考えて実行していること
・その実践が、ポジティヴヘルスと出会い、加速していくこと

だと感じました。

小さなうねりが、国の政策を変えていくほどの力を持って動いていることを、この研修でしっかりと見聞きすることが出来ました。

ポジティヴヘルスは、今まで”弱い存在”と思われていた患者を、患者の元々持っている力を引き出し、”弱い存在”から、”生きる力のある存在”として、いかに生きる力を引き出していくこと。医療者、もう少し大きな視点を持つと、私たち1人1人が持てる姿勢なのだと、この研修で強く実感しました。

少しずつ、この姿勢を様々な人が持てるように、実践をしていきたいと思います。


藤岡聡子
福祉環境設計士⁑軽井沢町・ほっちのロッヂ 共同代表⁑PositiveNIPPONプロジェクトメンバー

人生緩急つけてやっていきましょ!
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福祉環境設計士。85世代/夜間定時制高校出身。24才で介護ベンチャー·老人ホーム創業メンバー。現在は「福祉の再構築を」㈱ReDo代表取締役 /医)オレンジ理事/「親の思考が出会う場」KURASOU.代表. US,NZ,DNK留学。写真は英国・ストックウエルにて。
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