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エッセイ/遅刻

この話しをすることで僕の心の器がお通しの小鉢の様に小さいことがバレてしまうが、それに関してはなにも問題ないと僕の頭の中で判決がくだったため書いていく。

友人との待ち合わせ、僕は10分前に現地に着いた。友人の姿はまだない。約束の時間までイヤフォンで音楽でも聴きながら待っていると、気づけば4曲5曲とメロディーは色を変えていく。ようやく友人の顔を拝めたのは約束の時間から15分後のこと。

「ごめん、少し遅れた」
「いいよ、いいよ!」

別に15分の遅刻なんか、仕事じゃあるまいし全然気にしない。むしろ音楽鑑賞タイムありがとうって感じ。
ほんとうになんとも思わない。
ただ、これが頻繁に続くと話は変わる。
僕の友人達はなぜだか決まってみんな待ち合わせに15分以上遅れてくるケースが多い。

なんかそういう友人達を引き当てている。
多分、前世のどこかで僕がかなりの遅刻魔だったのであろう。そのツケが輪廻を巡って現世の僕にきているものだと思っている。

ようよう考えてみると、僕は現地に10分前に到着している。友人の遅れ時間と合算するとつまるところ、25分間僕はその場にいることになる。

15分と25分では少し顔色が違う。

電車の到着時間の都合上、僕が15分前に待ち合わせ場所に着いた場合、友達が仮に15分の遅刻をしたとすると、僕は現地に30分いることになる。

ただのんきに音楽鑑賞をしてればいいだけの話だが、
一応僕も人の端くれ、事故にあってはいないかな。
体調不良じゃないかしら、もしかして事件!?
などといった友達の身を按ずる心がザワザワと僕の奥で動き出す。
15分ってそういう考えの頭が見えてくるボーダーラインの時間。

時にはもっと待つ場合も、わりかし定刻に近い場合もある。早く来すぎている僕にも原因もあるのだが、
【遅刻した時間 マイナス 定刻】が本来の遅刻時間。
ここに【定刻 マイナス 僕が現地に着いた時間】
は遅刻の方程式には含まれない計算になる。

じゃあ僕が毎回そんなに早くに、待ち合わせ場所に行かなければいい。そう考えるのが通常だろう。
それはとてつもなくごもっともな答えである。


でもね、早めに着いちゃうの。

なんでかきっちり着いちゃうの。

心配性の性というかなんというか。

だから僕はこの時間をもっと有効活用しようと試みた。
その時間で詩を書こう。その時間でエッセイのネタ探しでもしよう。人間観察もnoteでみんなの作品を読むのもいい。

僕は多少ワクワクしながら、いつも通り待ち合わせの10分前に現地に着いたわけ。
目の前に立っていたのは珍しく友人のお顔。

今日は遅刻していい日なのよ

そう言おうと思ったが、友人の頭の上にハテナマークが浮かぶのが明らかだったため飲み込んだ。
色々とうまくいかないことが多い。
でも結局楽しい時間がその次に来るからいつも忘れてしまうんだけどね。

みなさん、僕と待ち合わせする際には遅れるなら遅れるでその有無を記すメッセージ一通だけでも送ってくれたらありがたいです。その際は宜しくお願い致します。

それじゃ。

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