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オムニチャネルの話。オンラインとオフラインの融合

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
皆様は年末をいかがお過ごしでしょうか。
さて、早いもので今年最後の投稿になりますね。何について書こうかなと毎週のごとく悩んだのですが、今回は「オムニチャネル」について書いてみようと思います。

オムニチャネルとは

まずは、オムニチャネルとは何たるかを知らなければなりませんね。
「オムニ」とは”融合”を意味し、「チャネル」は元々は”水の通り道”を指す言葉で、マーケティング上では”流入経路”などと訳されることが多いです。直訳すると”流入経路の融合”といったところでしょうか。
その昔、私たちが何かを買いたい場合、店舗でしか購入できませんでした。この状態を「シングルチャネル」と言います。そして、情報媒体の発達により、テレビ通販やカタログ通販、ECサイトなど様々なチャネルが生まれてきます。それぞれのチャネルが独立している状態を「マルチチャネル」と言います。そして、現代ではそれぞれのチャネルが密接に関わり合うようになり、それらを一括管理する状態を「オムニチャネル」と言うようになりました。

参考までに公式テキストでの記述を見てみましょう。

実店舗とデジタルに存在する店舗を連携するマーケティングで、顧客との接点になるメディアや情報が伝わる経路というチャネルの融合は、リアルとデジタルを別々のいろいろなマルチチャネルではなく、融合(オムニ)したチャネルと考えることとして、オムニチャネル化が小売店に求められています。
(中略)
オムニチャネル施策では、店舗、ウェブなどのチャネルごとに最適化せず、利用するお客さまの利便性を高めるために、どのチャネルからでも便利にサービスや商品を受け取れることが重要になってきます。
このようにデジタル化が進むと、オフラインの活動もデジタル化することで、顧客の利便性向上と業務の最適化が可能になります。これをアフターデジタルと呼びます。このようにオンラインが消費者に意識なく関わる社会が全方位で進みつつあります。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』

オムニチャネル化がもたらした施策

オムニチャネルの最たる代表例が「エンドレスアイル」と呼ばれるものです。
エンドレスアイルは、直訳すると”終わりなき廊下”となります。別の呼び方では「エンドレスシェルフ(終わりなき商品棚)」なんて言われたりもするそうです。

もし、目当ての商品があってリアルの店舗に足を運んだのに、その商品が品切れになっていたらどうしますか?
従来であれば、取り寄せして商品が届くのを待つか、他の店舗やECサイトで目当ての商品を探す他ありませんでした。これでは大きな機会損失を生んでしまいます。
そこで発案されたのがエンドレスアイルです。商品が欠品している場合、自社ECサイトなどに誘導して、その場で注文して後日自宅や店舗で商品を受け取れるようにします。
注意点としては、単にQRコードを読ませてECサイトに誘導するのではなく、ユーザーがストレスフリーで目当ての商品を購入できるように工夫しなければならない点です。例えば、スマホがなくても専用のタブレットから注文できる。会員証をかざすことで住所などの入力を省くなどが考えられますね。
このような施策を行うことで、欠品によって顧客の印象が悪くなることを緩和する効果も期待できるそうですよ。
ちなみに、日本での初期事例としては、大丸松坂屋の事例が挙げられます。
大丸松坂屋百貨店は、店舗での欠品時に定員が端末操作を行いEC店舗の在庫を照会し、後日自宅か店舗で受け取れるというサービスを2013年に始めていたそうです。

デジタル化の陰

デジタルチャネルの発展によって、小売店は必ずしもメリットを享受できたわけではないようです。そのうちの一つが「ショールーミング」です。
ショールーミングとは、リアル店舗で商品を下見して、その店舗では買わずにオンラインショップで買うことを指します。
いやぁ、身に覚えがありすぎます。(笑)
「中の人」も家電などを買う際は、家電量販店で複数の商品を比較して、店員に説明してもらって、家に帰ってから価格比較サイトで一番安いものを買ったりしていました。
でも、それだとリアル店舗は商売あがったりですよね。
ショールーミングが起きてしまうのは、オムニチャネル化を実現できていない証でもあると思うんですよね。
実際に、ショールーミングを乗り越えた企業はオムニチャネル化によって解決を図っています。

例えば、ヨドバシカメラは2012年にバーコード値札を導入したそうです。
全商品にバーコードを表示し、専用アプリで読み取ると、商品情報検索、商品レビュー・Q&A情報照会、店舗受け取り申し込み、オンライン注文などを行なえるというものです。オンラインショップでも販売価格は変えず、ポイントも共通化されるためネットで買っても店舗で買っても顧客が享受するメリットは何ら変わらないのです。

その他にも、無印良品が提供する「MUJI passport」もオムニチャネル化を果たしてショールーミングを脱した事例ですね。
簡単にいうと会員証になるものですが、店舗で買い物するだけでなく、レビューの投稿や店舗に行くだけでポイントが貯まる仕組みのようです。その他にも商品や店舗の検索や、店頭受け取り予約、EC機能などを兼ね備えたアプリになっています。

まとめ

オムニチャネル化とは、様々な流入経路を融合して考えるという手法です。それぞれを独立させたマルチチャネルでは、EC店舗とリアル店舗が対立してしまいますが、それぞれを融合することで相乗効果が得られるかもしれません。
実際の企業ではEC事業部と店舗販売事業部など事業部間の軋轢があって推進しきれないなどがありそうですが…。「どっちの売り上げなのか」みたいなごくごく小さい要素が推進を妨げるなんてのはよく聞く話です。
そうはいっても、オムニチャネル化は待ったなしです。現状ではまだ差別化できる要素かもしれませんが、そう遠くないうちにPOP(Point of Parity=同質化ポイント)になります。これをやっていないと選んでもらえないという最低限の水準になっていく可能性を考えると、取り入れない手はないと「中の人」は思うんですよね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「中の人」的に、今年は色々な変化のあった年です。ウェブ解析士のnote開設もそのうちのひとつです。皆様が読んでくださるおかげで、なんと35週連続の投稿となりました!ヽ(´▽`)/
本当にありがとうございます。
来年も、読んでくださる皆様に少しでも楽しんでいただけて、役に立つ情報をお届けできるように頑張っていきます!どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、また年明けにお会いしましょう。
良いお年をお迎えください。


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