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弟がお盆に帰ってくるらしい。憂鬱。


憂鬱すぎる。
弟がお盆に帰ってくる。
奥さんを連れて。

弟は大学受験時に実家から飛行機で1時間半の距離の大学に進学し、そのままそこで就職した。

今は大学の隣の県に異動になり、その後すぐ結婚して、
奥さんとはそこで暮らしている。

大学進学時から私への見下しが始まり、
帰省時にいつも威厳を放ってくる。
それがすごくめんどくさい。

見下している理由は私が私大、
弟が国立大に進学したから。

私は現役、弟は1浪してだけど、
そんなことは関係ないようだ。


まぁこれは、父親の教育の賜物というか
父の家系は子供を国公立大に進学させてこそ教育の完結と思っている節がある。
弟はその系譜をそのまま引き継いだ形だ。

私は、それに全身全霊抗った母と、どうしても大学には進学させたかった父との折衷点なのである。




私と弟は2歳差で
幼少期はそれはそれは私が弟のことを可愛がっていた。
それこそ「第二のママ」のような感じで。

これは母の育て方の影響が大きいと思う。
2歳差、そのように育てなければ母が大変な立場になるのは当たり前。
上手く育てられた私は「第二のママ」を演ぜられていたのだ。

本当に本当に愛おしくて仕方なかったし、可愛かった。
弟もそれなりに私を慕っていたと思う。
小学校の同級生の間では有名な「仲のいい姉弟」だった。


それが弟が中学生くらいの頃から変わり始めた。
反抗期、父親は絶対的な立場で、母親はその父親の盾に守られている。
父親に反抗しているところも何度か見かけた。
しかし毎回ボコボコにされて、最後には泣き喚いていた。

そうなると「第二のママ」が一番当たりやすい。
父親の盾もなければ、力も弟の方が強くなったタイミングだった。

弟は私を軽蔑するようになり、
私はそんな弟に気を使うようになった。

できる限り突っかかられる原因を作らないように
話すことにも態度にも気をつけるようになった。

多分そんな私の態度がますます弟をつけ上がらせているんだろう。
わかってはいる。

その頃からはもう15年近くもすぎ、
日常生活でそういう態度を取る他人には
どのようにすれば大人しくなってもらえるのかも知っている。

しかしそこまでしたいと思えない。
それはまだ私に 弟のことが愛おしい気持ちが残っているからだと思う。




奥さんを実家に連れてくるようになってから
ますます態度は大きくなった。

「ドヤ感」がすごいのだ。
俺の奥さんを見てみろ、
お前より立派で賢くて可愛い。
ドヤ。

体重や見た目の美しさ、
かつてのセンター試験の点数、就職した先など
毎度帰省する度に奥さんの話を出してきては
「で、姉はどうなん?」と煽ってくる。

その場に奥さんがいようがいまいが関係なく。


私は夫と弟を比べようと思わないし、
そういう思考になったこともない。

私や弟の奥さん、弟や私の夫は、比べるものではないと思う。

そもそも、
私は弟の姉であり、弟の奥さんとは立場が違う。
それは夫と弟にも言えるはず。

私は私に、弟は弟に、
それぞれの求める結婚相手と結婚したというだけの話。


弟はどうしても対比関係を作りたいらしい。
弟以外の誰も望んでいないのに。

それが私には理解できない。

せめて両親の前では「仲のいい家族」を演じればいいではないか。
それを両親が望んでいるのだから。そうやって親孝行すべきではないのか。
なぜそこまで突っかかってくるのか。


もう立派な大人だろう。社会人だろう。


弟が思う「親孝行」の形は違うらしい。

弟夫婦はお盆に帰ってきて、お墓参り(これまた他県にあり、実家から車で4時間の距離)に行く予定らしい。
両親と伯父、祖母(父方)も参加する予定。

そう、そうやって、親孝行、おばあちゃん孝行をするつもりなのだ。
奥さんと結婚した立派な自分、自分たち夫婦を演出するつもりなのだ。


そして私はその「孝行息子」の犠牲になる。


私はその旅行の計画のために、
実家に帰って認知症の祖母(母方)の面倒を見なければならない。

しかも両親は朝の4時に家を出るらしい。
それに合わせて実家に帰れとのお達しだ。


別にそのこと自体に不満があるわけではない。


祖母は認知症である。
私が一日実家に帰らなければ、ベッドで寝る、ベッドの淵に座る以外に何もできない祖母は死んでしまう。
行く以外に選択肢はないのだ。



でも両親、弟の
「お姉ちゃんはそれくらいやってくれて当たり前」
という態度が気に入らない。


今の私の生活は何も両親に頼っている状態ではない。


子供も産んでいないし、金銭的な援助ももらっていない。
なんなら結婚のお祝い金すら貰っていないのだ。

なのになぜ、弟の更なる「ドヤ感」のために私が犠牲にならなければいけないんだろう。


自分の求められた役回り、
それが当たり前と思っている周囲に本当に辟易する。

そして一番は、それらを押し除けられない自分自身に。


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