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「カスタマーサクセス」ってググったけど、結局わからなくて自分でまとめることにした件

こんにちは、バーチャレクスのNKです。
新卒で入社して4年間、コンサルタントとして日々お客様の課題と向き合ってきた中で、自身のマインドセットとしての「カスタマーサクセス」だけでなく、経営理念としての「カスタマーサクセス」にも触れる機会も増えてきました。さらに、とあるサービス企画に関わる機会を得たことで、「カスタマーサクセス」について考える時間が増えたこともあり、これを機にアウトプットもしていきたいと考え、noteに参加しました!
タイトルはキャッチーな方が良いと思ってフザけてますが、内容はいたって真面目なものです。至らぬところもあると思いますが、お付き合いいただけますと嬉しいです。

はじめに:なぜこの記事を書いたか

企業がカスタマーサクセスを実践しようとした場合、どの企業にも適用できる唯一の正しい方法などは存在しません。その手法は百社百様であり、自社の手法を確立していくまでには試行錯誤を重ねていくしかありません。

私自身、コンセプトとしてしか触れてこなかったカスタマーサクセスをサービス企画という形に落とし込むことになり、ネットで色々とリサーチをしたのですが、出てくるのは概念的な話や現場業務/役職的な説明、自社サービスの事例にフォーカスした記事が多く、どれもそのままカスタマーサクセス実践の方法論として参考にはできませんでした。

ならばと、改めてカスタマーサクセスを実践する企業の事例やCSMのブログ、青本や赤本のようなバイブル的書籍に書かれた原則を読み漁り、それらの共通項を自分なりに”カスタマーサクセス実践の鉄則”としてまとめてみました。

ということで、今回は「カスタマーサクセスを実践する上での鉄則を、サービス企画という切り口/カスタマーサクセスのキーワードを「続ける」とする観点からまとめてみた」を下記項目の順でお話していきます!

1.「カスタマーサクセス」が重要となった背景

経済/技術発展により社会にモノが溢れ、さらに情報発信・収集の手段の普及によって企業の情報優位性が失われた結果、企業はモノを売ることだけでは収益をあげられなくなりました。さらに様々なモノが登場したことで、消費者個人の支出も分散する結果となり、長くビジネスをしている企業にとっては、厳しい時代になったと言えるでしょう。

しかし、技術発展によってモノの生産コストが下がったことに加え、今までは実現が難しかったサービスの提供(またはその提供方法)が可能になってきているという実情もあります。その中でモノを手段とし、「それを使うことで得られる体験を提供する」という企業が徐々に出はじめました。いわゆる「モノ売りからコト売りへ」の変化が起きているのです。そして、モノを買わなくても目的を達成することができるようになった消費者の行動は「所有から利用へ」とシフトチェンジしてきているのです。

企業にとって「モノ売りからコト売りへ」という流れで最も大きい変化は、一度の売上げを最大化するのではなく、顧客との継続的な関係の中でLTVを最大化する収益モデルへの転換ですが、それに合わせて起きた消費者の購買プロセスの変化もインパクトが大きいと言えるでしょう。

根本的にモノが不足していて情報発信の手段も限られていた時代には、消費者が買う前に得られる情報は少なく、比較対象となる製品/サービスも多くなかったため、「1. 知る→2. 調べる→3. 買う→4. 使う」という購買プロセスが当たり前でした。

そこから情報技術の発展に伴い、消費者の購買プロセスは、「1.知る→2.調べる→3.使う→4.買う」というように、「使う」フェーズが「買う」フェーズよりも前に来るという流れに変わってきています。

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わかりやすい例としてSaaSのビジネスモデルを見てみると、はじめはトライアルとして無料で使えるようにすることで、ユーザーは「調べる≒使ってみる」ことができます。また、基本的な機能は無償で提供し、高度な機能には課金を必要とするモデル(フリーミアム)では、より「使う→買う」というプロセスへの変化を強く感じます。

2.すべてのビジネスにおいて重要な「カスタマーサクセス」

今、企業はビジネスモデル転換の必要性に迫られています。カスタマーサクセスとは、BtoB/BtoCに関わらず、「モノ売りからコト売りへ」という潮流の変化の中でも顧客に選ばれ続ける(=企業が成長し続ける)ための非常に重要な指針です。

「カスタマーサクセスは、サブスクリプションビジネスの指標である」と理解されていることが多いようにも思えるのですが、実際はカスタマーサクセスの要素を最もうまくとりいれているものがサブスクリプションビジネスであるというだけで、サブスクリプションビジネス以外には適用できないというものではないのです。全てのビジネスモデルにおいて、今後より重要となる指針だと私は考えています。

3.カスタマーサクセス実践時に押さえるべき3つの鉄則

カスタマーサクセスを「モノ売りからコト売りへという潮流の変化の中でも顧客に選ばれ続ける(=企業が成長し続ける)ための指針」と説明しましたが、カスタマーサクセス実践については、「顧客が成功と感じる体験を与え続ける企業努力」と訳すのが一番しっくりくる、そして、カスタマーサクセスのキーワードは「成功」ではなく「続ける」ではないかと私は考えています。
以下、私が考えるカスタマ―サクセス実践時に押さえるべき3つの鉄則です。

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【鉄則①】顧客が「すぐに」使えるサービスを提供すること

カスタマーサクセスのキーワードは「続ける」だ!と言っておきながら、鉄則の最初でいきなりそのキーワードを無視していますが、本項目は、現代の購買プロセスの中で顧客から選ばれ、使い続けてもらうという土俵に立つために最も大切な事項です。

たくさんの類似サービスが乱立する現代、「知る→調べる」というプロセスにおいて、消費者が気にする情報を公開していない、調べてから使う/買う導線がない、などの欠陥があっただけで、早々に購入検討の候補から外されてしまいます。「調べる→使う」ことももはや消費者にとっては当たり前なので、体験版/無料トライアルを提供すれば実際に使ってもらうことは簡単です。そして、その中で小さくとも成功体験を提供することができれば、顧客獲得まではあと一息です。

しかし、サービスを使い始めることが容易であるということの裏を返せば、他社サービスへの乗り換えも容易ということ。サービスが高価なのか廉価なのかで程度は変わるものの、「(使う→)買う→使いこなす」というプロセスがうまく行かなければ、顧客はすぐに離脱してしまいます。

そのため、カスタマーサクセスでは、買ってもらう/使い続けてもらうための「オンボーディング」という支援を重視しています。具体的には新規顧客向けのマニュアルや定着支援の仕組みをサービスに具備する、使い始める際の初期費用が極力かからないようにするなど、入り口のハードルを低くしたサービス設計とすることが必須だと考えられています。

すなわち、コト売りの時代において、プロダクト(狭義でいうところの有形財産)は、もはや単体で売り物になるようなものではなく、そのプロダクトを「1.知る→2.調べる→3.使う→4.買う→5.使いこなす」という一連の体験提供も取り込んだ上でサービス化することを大前提として、顧客の体験(=ユーザエクスペリエンス、UX)をいかにシームレスなものにできるかが重要なのです。

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一方、獲得した顧客から自社製品/サービスが選ばれ続けるためには、継続的な成功体験の提供が必要不可欠となってきます。ここでやっと、カスタマーサクセスのキーワードは「成功」ではなく「続ける」ということにある、という理由につながるのです。

カスタマーサクセスについて書かれた記事を色々読んでいると、顧客のサービス継続利用のためにはどのような「アプローチ」が必要か、ということに重点が置かれているものを目にすることがありますが、本来カスタマーサクセスにおいて重きを置くべきは、

どのように顧客の声を集めるのか
(=鉄則②:顧客のサービス利用状況を常に把握し続けること)
●どうすればそこから顧客の潜在的ニーズを抽出しサービスに反映できるのか
(=鉄則③:顧客の利用状況からニーズを探り出し、サービスに反映し続けること)

という「サービス企画/開発」の仕組みだと考えています。

「アプローチ」し続けることも大切なのは間違いないですが、やりすぎればそれがチャーンの原因になりかねません。私自身も日常的に多くのサービスを利用していますが、誰かに使えと言われるから使っているわけではなく、使い続けないと困る、あるいは楽しみがなくなるから使い続けているのです。

【鉄則②】顧客のサービス利用状況を常に把握し続けること

例えば自社サービスがSaaSであれば、顧客の詳細な利用ログが取得できます。SaaSでなかったとしても、Webを活用したヒアリングやIoTを活用した利用状況データ収集など、今や自社サービスが「顧客にどう使われているのか」を知ることは難しくありません。そしてそれは、自社の顧客に対してしかできないという点で、継続的に顧客を獲得することにおいて他社にはない明確なアドバンテージになっています。この地道なデータ収集こそ、顧客に選ばれ続けるためのファーストステップとなるのです。また、ヒアリングだけではなく利用状況データでも収集できれば、それは通常聞き出すことができない、顧客の言語化されていない(潜在的)ニーズを抽出できる可能性を秘めた宝の山であり、大きな追加アドバンテージとなります。

顧客はこちらが何も言わずとも、自分が望んでいることを察してほしい、と思っているもの。それを叶えるためにはまず、物言わぬ顧客から要望を聞き出す術が必要です。つまり、カスタマーサクセスの実践には、顧客の利用状況をモニターできる仕組みをサービスに具備することが必須、ということなのです。

【鉄則③】顧客の利用状況からニーズを探り出し、サービスに反映し続けること

鉄則②で触れた顧客の利用状況データは、当然のことながら集めるだけでは意味がありません。それを分析することで初めて価値が生まれます。
データを元に潜在的ニーズの仮説を立て、顧客が言語化できていない/認知さえしていないニーズに対し、先回りして満たす打ち手(サービスの改善/拡張)を常に実施していくことが重要です。

”もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう”(ヘンリー・フォード)

”人々が欲しいのは1/4インチ・ドリルではない。彼らは1/4インチの穴が欲しいのだ”(レオ・マックギブナ)


顧客の潜在的ニーズを満たすことの重要性は昔も今は変わらない。データを集め続け、活用することで科学的に再現可能な領域まで到達できるようになります。

この実践のためには、多角的にデータを分析し仮説を打ち出すための(アナリスト/マーケティング)チームが必要になります。それだけでなく、その仮説を検証する機能を迅速にサービスに落とし込むための(開発)チームも必要です。さらにはその反響を分析⇔実装のサイクルを早めるために、企画・開発と役割を分けるのでなく、全部署が連携し顧客に向き合うことが必須となってくるのです。

青本にも「本当に拡張可能な差別化要因は製品だ」と書かれているとおり、他社との差別化・価値の源泉はどこまでいってもサービス自体の機能(≒プロダクト)以外ありえない。カスタマーサクセスの実践とは、その価値を高め続けることと同義であり、そのためには部門の枠を越えた連携が絶対に欠かせないのです。

4.まとめ

今回は「カスターサクセス」の重要性や、カスタマーサクセスを実践する上での鉄則を私なりにまとめてみました。

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国内においてカスタマーサクセスという言葉は、業務プロセスや職種といった文脈で語られることが多いように感じますが、それらの大前提として「経営思想・概念」であることを決して忘れてはいけません。本記事で紹介した3つの鉄則は、一言で言えば、「顧客の課題の本質を理解し、サービスの仕組みや組織体制を整えることが必要である」ということになります。やはり小手先の手法だけ変えてみても、本質的なカスタマーサクセスは実践不可能なのです。

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この図のように、カスタマーサクセス実践の3つの鉄則は、ひとつの輪となり繰り返されます。 

【鉄則①】新たに顧客を得る
  ↓
【鉄則②】顧客からデータを得る
  ↓
【鉄則③】データを元にサービスをエンハンスする
  ↓
【鉄則①】新たに顧客を得る
  ↓
・・・。

要は組織一丸となり、どれだけ早くこのサイクルの中に飛び込めるかということが大切。私自身も記事にまとめる中でより一層その認識が強くなりました。

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