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妄想は誰にでも懐くのよ

「もうこうなったら結婚しようよ。」
夜中の2時。伝えて来たのは同性の友達。
「え…。」

その夜は合コンだった。
安い居酒屋。暗黙のサラダの取り分け。上辺だけをなぞるような会話。お酒だけはよく進んだ。
男性が3人もいたのに誰にもときめかず。
勿論、成果はなし。
誰かを好きになる心、もう死んだのかしら。



解散したあと、友だちと2人BARに行って飲み直した。
男性についてあーだこーだ感想を言ったり、将来の不安について愚痴ったりするこの時間が一番楽しい。
「私たち、絶対結婚できないよ。」
なんて互いを弄りあって、笑いながら帰路につく。
この時間を失う時がいつか来るのだろうか。
そんな未来がチラついて悲しくなる。

私を置いて結婚しないで欲しい。
私じゃダメか?
彼女は、そんな気持ちで、思わずプロポーズしてしまったらしい。
私と同じ気持ちじゃん。

夜中、独身女二人で、
もし一緒に暮らしたら、という妄想を膨らませる。
子どもは欲しいから里親になろう。
他の友達が集まれるよう、リビングが広めの所に住みたい。
犬は柴犬かチワワを飼う。
ゲーム部屋と2人の個室が欲しい。
…え?これ理想だな。
二人で言い合ううちに幸せな気分になった。
「にっちもさっちもいかなくなったら、よろしくね。」
合コンで上手くいかなかったことなんて、もうどうでも良くなっていた。



妄想は、幸せなことだけ考えとけばいい。頭の中でだけでも自由でいたい。
男とか女とか結婚とか出産とか一先ず置いといて。
妄想は誰にとっても味方だし、懐くのよ。

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