見出し画像

「次もあなたがいい」個人が指名買いブランドになる方法とは? これからの時代に求められる3つのスキル③

選ばれるための営業スキル①質問する力②問題を特定する力③提案する力についてお話しています。

前回まではこちら
これからの時代に求められる3つのスキル①

これからの時代に求められる3つのスキル②


すべての消費行動はお客さまの選択の結果

物を消費する意味、所有する意味、人々の価値観が大きく変わっている現在、ビジネスはますます複雑化しています。前回までに紹介した3つのスキルはなぜ必要なのか? なぜ新しい時代の営業の武器になり得るのか?

3つのスキルは極論すれば、お客さまに「あなたに売りたい」「あなたから買いたい」と思ってもらうためのスキルです。

たくさん商品がある中で、なぜその商品を買うのか?
たくさんお店がある中で、なぜそのお店で買うのか?
たくさん買取専門店がある中で、なぜそのお店に売るのか?

まず商品の機能、性能などの商品力はお客さまがその商品を手に取る大きな理由になります。
便利で使いやすい、長持ちする、コスパがいいなどなど、同じような商品との比較で選ばれるためには、商品そのものが優れている必要があります。

同じ商品を買うにしても、Aという店舗で買うかBで買うかという選択もあります。

Aは全国チェーンでポイントが付くなどの特典がある。Bは独立系のショップだけど、商品のセレクトがよく今後も買いたい商品がたくさんある。考え方は人それぞれですが、同じ商品でも「どこで買うのか?」によって、選ばれる・選ばれないという差が生まれます。

これまでも語り尽くされてきた「選ばれる理由」づくり

バリュエンスを例にすると、リユース品の買取で同業他社ではなく、『なんぼや』や『ブランドコンシェル』『八光堂』『ALLU』を選んでもらう理由づくりが重要です。

どの商品にするか? どこで買うか? どこで売るか?……
この選択の競争に勝たなければいけないという発想は、‟これまで”の営業でも散々語り尽くされてきたことです。

他社より高性能だったり、まったく新しい発想でつくられた商品だったり……。
店舗の清掃が行き届いていたり、内装の雰囲気がよかったり、駅チカでアクセスがよかったり……。

こうした目に見えやすい違いは、主に機能的価値に分類されます。
機能的価値は文字通り機能付加での改善が容易で一つ成功例が出ればそれを後追いでマネするのが簡単という特徴があります。

家電の開発競争は機能的価値の典型例

家電などはいい例で、画期的な商品が発売されてもすぐに他社が似たような機能を盛り込んできて、「本家」の方は、さらに機能をバージョンアップした次世代の製品を出し続けなければいけません。

開発競争に終わりがないのはある意味で宿命ともいえますが、機能的価値の競争には終わりがないことがよくわかります。

「あえてスタバ」のメカニズム

一方で、”これから”の営業を考えるときに大切なのが、情緒的価値です。

コンビニでもマックでも、ドトールでもおいしくて、むしろコスパに優れたコーヒーが飲めるのに、なぜあえてスタバに行くのか? いろいろ理由は出てくると思いますが、冷静に考えてみるとほかの選択肢がある中で「スタバにあえて行く」という消費行動を論理的に説明するのは難しいでしょう。

「スタバが好きだから」「なんとなく落ち着くから」「おしゃれな気がするから」
理由というにはあまりにふんわりしているようですが、多くの人は実はこうした情緒的な価値をスタバに見出して足を運んでいます。

デザイナーズブランドの服や高級ブランドのバッグ、高級時計、高級車なども、機能が優れているのは大前提として、それでも結局は情緒的価値によって選ばれているといっても大げさではありません。

情緒的価値で選ばれるために

同じように、企業や店舗も選ばれる存在になる必要があります。

製品開発や営業、販売以外にも、企業のいろいろな取り組みや姿勢、現在なら環境、フェアトレード、サステイナブルな社会に対する貢献なども含め、総合的な企業というブランドが問われます。
こちらについては企業を挙げて取り組む必要があるので、なかなか自分で変えるという形になっていきませんが、3つの営業スキルを磨けば、個人的に「選ばれる人」になることはできます。

宝石を売りに行くという行動の充足はどこにあるのか?

ブランド買取専門店に宝石を売りに行って、宝石が高く売れた。

さて、このお客さまは満足されたでしょうか?

宝石を売りに来たわけですから、「宝石を売る」という目的は達成されました。「高く売れた」とあるので、ご自身の予想よりも高値で売れたのでしょう。もちろん満足されたという評価になります。

しかし、このお客さまは次も必ずあなたのお店に来て、あなたに不用品を託してくれるでしょうか?

高く売れたことが決め手なら、そのお客さまにとっては「より高く買ってくれる店がいい店」ということになります。結局、その満足は機能的価値だけで満たされた満足だったことがよくわかります。スーパーの特売品は買っても、別の商品はより安い別のスーパーで買う心理と同じです。

「宝石を売りに行って旅行のスケジュールが決まった」というアクロバティックな結果がもたらすもの

ブランド買取専門店に宝石を売りに行って、旅行のスケジュールが決まった。

アクロバティックな現象が起きていますが、この体験はどうでしょう?

店頭に宝石を売りに来たお客さま。雑談を重ねているうちに、この宝石が売れたらそのお金を旅行の足しにしようと思っているということがわかりました。

目的地の候補はオリンピックを控えたパリ。

接客しているあなたは、過去にパリに行ったことがあり、パリのおすすめなところ、訪れてよかった具体的なスポットやお店をその場でパパッとGoogleマップで示してプランを提案します。

なかなか遭遇しないシチュエーションかもしれませんが、こうした体験をしたお客さまは、お店を通り越してあなた個人のファンとして「あなたに売りたい」と次回も不要になった商品を持ち込んでくれるはずです。

相対的な機能的価値と絶対的な情緒的価値

荒唐無稽な話に聞こえるかもしれませんが、私が鑑定士として店先に立っていたころ、こういう出会いからその後も良好な関係が続くということが何度もありました。

買取価格という機能的価値は他社(者)との比較になり、勝ったり負けたりといった”相対的”なものですが、思ってもみなかった提案を受けた驚きや感動という情緒的価値は、他と比べようのない”絶対的”なものです。

「あなたに売りたい」と言ってもらうことは、スタバやフェラーリ、ロレックスが企業、ブランドとして成し遂げていることを個人として結実させた瞬間といえます。

緊急度と重要度を切り分ける

顧客のニーズには、緊急度と重要度があります。
「宝石を売りたい」は緊急度が高い事項です。しかし、なぜ売りたいのか? 売ってどうするのか? という問いかけの先には、より重要度の高い問題、課題が隠されている場合があるのです。

だからこそ質問する力が大切で、重要度の高い問題を特定する力が営業スキルとして求められます。最終的に他者にはできないインパクトのある問題解決のための提案ができれば、お客さまの満足度が高まり、お客さまにあなたを強く印象付けることができます。

「あなたじゃなくてもいい」なら誰でもいい

丁寧な接客、良い対応をして緊急度だけに寄り添っていれば、たしかにアンケートのフルマーク程度の満足度は得られます。しかし、それはあくまで「買取専門で接客してくれた店員」としての評価であり、お客さまの印象にも残らなければ明日には忘れてしまう「誰でもいい」存在でしかありません。

①質問する力②問題を特定する力③提案する力の3つのスキルを身につけることができれば、お客さまに特別感を感じてもらったり、高揚感幸福感を提供することができます。特別感、高揚感、幸福感はまさに情緒的価値を満たす感情です。

つまり、3つの営業スキルを活用することは、お客さまに「あなたに接客してほしい(あなたに売りたい・あなたから買いたい)」と思ってもらえる別次元の関係性を築くことにつながるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?