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優れた営業は何を売っている? これからの時代に求められる3つのスキル②


これからの時代に求められる3つの営業スキルについてお話しています。
今日は
①質問する力
②問題を特定する力
③提案する力

の3つについて、もう少し詳しく話していきたいと思います。

これからの時代に求められるスキル①はこちら


名は“求められるスキルセット=体”を表す

モデルケースにするのは、バリュエンスの主要事業であるリユースの中でも、お客さまと直接接する商品買い取りのシチュエーションです。

バリュエンス、特にブランド買取専門店『なんぼや』では、買い取りの際にお客さまと対面して接客するスタッフを“バリューデザイナー”と呼んでいます。

従来の買取店では鑑定士という呼称が一般的でしたが、私たちはお客さまとの関係性において店頭で「鑑定」をするだけではないという意味合いから、“コンシェルジュ”(ホテルなどで顧客の要望に応えたり、代行・案内したりする人を指す)という名称を用いてきました。

おもてなし、接客・接遇に重きを置いた“コンシェルジュ”という名称を、数年前に“バリュデザイナー””と変えたのも、今日お話しする営業スキルと大いに関係しています。

顧客との接点を生かし切るために

店舗でお客さまと顔を合わせて買い取りの対応をさせていただくバリューデザイナーは、バリュエンスグループの最前線、まさに顔ともいえる存在です。ビジネスをやられている方なら痛感していると思いますが、商品を売るにしても買い取るにしても、顧客とのタッチポイントを持たないことには何も始まりません。

インターネット、スマホの普及で従来とは違う、多様なタッチポイントが創出できるようになりましたが、対面してお客さまとお話しできる機会は、言うまでもなく営業の最大のチャンスです。

わかりやすい正解が差別化の材料になり得ない“これから”の時代に、お客さまにどうアプローチするのか?

営業スキルの第一に「質問する力」を挙げているのは、お客さまとの会話、質問の内容や質が、鑑定、買取価格などの機能的価値ではない独自の価値を提供する入り口になるからです。

顧客の真のニーズを探る質問力

お客さまはそれぞれの意図や思い、目的を持って店舗を訪れます。
買取品をなぜ売りたいのか? 売りたい商品はどんなものなのか? その由来は? 履歴は? 関係は? 売ったお金を何に使うのか?

「商品だけ見て鑑定してくれよ」というお客さまもいますが、それであればすでにある相場表に当てはめて自動化してしまえばいいわけです。価格を均一化、平均化するためには当然、鑑定価格、値付けは平均よりも低めに設定せざるを得ません。実際のところ、在庫状況や相場の変化、値上がりの兆しなどだけでなく、お客さまのご事情も含めて価格が上下する(主に上振れする)ことは、実際によくあります。

その際に、さまざまな会話をするわけですが、この会話の内容が重要です。

ご家族の遺品を売りに来た人の目的は何か?

たとえば、複数の貴金属やブランド品などを持って来店されたお客さま。

お話をするうちにご家族に不幸があり、ある意味で区切りをつけるために思い出の品を手放すことに決めたということがわかりました。

お客さまにとっては単に不要品の整理、換金というだけでなく、お気持ちの整理という意味合いがあります。

ズケズケと詮索したり、わざとらしく共感テクニックを使って同調するのは論外ですが、お客さまが求めていること、今日得たい満足はどんなものなのか? に寄り添うことはまず必要なことです。

商品を媒介にして、お客さまの気持ちに寄り添い、的確な質問をしていくことで別の可能性が広がることがあります。

ここからがまさに私が「これからの時代に必要な営業スキル」に挙げている質問力の本領です。

遺品買取が相続のお手伝いというソリューションを生んだ実例

『なんぼや』店舗で実際にあった例でいえば、遺品を整理に来店したお客さまとのやりとり。会話の中で、税金や相続の心配というワードが出てきました。

質屋や従来の買取専門店であれば、「大変ですねえ」という雑談、よくて「親身になってくれた」という印象だけに留まりますが、私たちバリュエンスは不動産事業も手がけているため、遺産相続にまつわるさまざまな手続きやノウハウを持っています。

え?そんな展開あるの? とお思いでしょうが、バリュエンスでは店舗での質問、会話から不動産も含めた遺産相続のお手伝いをさせていただいたという事例がすでにいくつも発生しています。

お客さまの課題に気づき、解決する提案をする

これは一例ですが、大切なのは
お客さまが「今日解決しよう」「解決できる」と思っていた以外の課題を引き出し、それを解決できる手段を持つということです。

そのためのファーストタッチが「質問する力」であり、質問の答えから「課題を特定する力」が次に求められ、ここに来て初めて課題を解決に向かわせる「提案をする力」がその真価を発揮するのです。

例に挙げた「遺産相続」は、経験された方は実感されていると思いますが、人生でそう何度も経験することではなく、自分の身に降りかかって初めて「どうすればいいの?」と動き出すこと。つまり、その立場になってみなければそもそも困っていない、究極の潜在的な課題といえます。

さらに言えば、お客さまは私たちの店舗に、遺品整理の機能的価値、まぁ少しは気持ちの整理という情緒的価値を求めているにしても、まさか遺産相続にまつわる突然降って湧いた困りごとを解決してくれるとはつゆほども思っていません。

質問し、課題を引き出し、解決法を提案する

ビジネス全般、あらゆる営業に通じることとして標準化してみると、

質の高い質問は質の高い会話、コミュニケーションを生み、それがきっかけになって顧客の潜在的なニーズが現れます。

会話に散りばめられた潜在的なニーズを敏感に感じ取り、その中でもクリティカルな、お客さまがもっとも解決してほしい問題を特定することで、お客さまには問題解決の、私たちには新たなビジネスチャンスが生まれるのです。

その企業や商品、サービスが掲げている機能的価値、つまり売り手も買い手も真っ先に認識する“わかりやすいニーズ”ではなく、そのニーズの裏にあるニーズを掘り起こし、新たなソリューションを提供するのが「これからの時代に必要とされる営業」ではないか? そのためのスキルが今回紹介している一連の3つのスキルです。

自分には何ができるか? 「マニュアル通り」はAIでいい

インターネット上に情報が溢れ、ChatGPTに聞けば即座に何でも教えてくれる時代では、正解が溢れているようで、本当の正解がなんだかわからなくなってしまうという側面もあります。

顧客は誰もが解ける課題の答えには価値を感じず、お金を払いません。
もっといえば、その答えが正解かどうかよりも「自分の課題を解決してくれるかどうか」の方が重要で、課題や問題、個々人の事情によって千差万別に正解が変わっていく時代が来ています。

病気で苦しんでいる人は、薬に価値を見出しているのではなく、その治療効果に価値を感じ、対価を支払います。

自分たちの本業、本分は軸足としてとても大切ですが、潜在的なニーズを引き出し、それをビジネスチャンスとするためには、マニュアル的なオペレーションに沿った営業、クロージングに向かうための営業トークではなく、お客さますら気づいていない本当の課題、ニーズに気づける柔軟さが求められています。

マニュアル通り、手順通り、脱線しない営業はもうAIがやってくれます。

これからの時代に求められる営業は、小手先のテクニックではなく、自分の会社のビジネススキームを十分に理解し、提供できるかもしれないソリューションを導くイマジネーションを発揮するような広い視野が求められているのではないかと思うのです。

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