私的音楽リスナー遍歴No1.-幼少期~小学生前編-(メランコリー嗜好の目覚め)
兎にも角にも音楽好きなことは自他共に認められるところである自分やけど、最初の記事で書いた自己紹介を更に細かく掘り下げていくといく目的も含め、自分の音楽リスナーとしての人生を振り返っていくことにする◎
平成4年生まれの現在28歳、大きく成し遂げた何かなんてあらへんけど、聴いてきた音楽たちがそのまま自分の人生を表し肯定してくれていると感じてる。Nine Inch Nailsのトレントレズナーが「音楽とは人生の劇伴。その曲を聴けば当時の自分を思い出すだろう。」と言っていたけど、まさにそれやなぁと。
今は洋楽が7割ぐらいで新しい邦楽を追うことは減っている。けども、そんな自分もリスナーとしてのスタートはオーソドックスで、一般的なセンスだった。ただ、既に今に通じるメランコリー・そしてエモーショナルなものへ惹かれている節があった。
・歌というものを認識したのはおそらく特撮やアニメの主題歌
自分が生まれた平成4年(2月の早生まれ)前後の世代の男の子ならきっと誰もが平成ウルトラマンシリーズに直撃し夢中になったんちゃうやろか。自分も例に漏れず、ウルトラマンティガを録画してはテープが擦り切れるほど見返した子供やった。
(祝!YouTube解禁!ジャニーズさんはお堅い事務所やからサブスクとかも対応遅いけど、こういうところではコロナ禍がもたらした福音やと思う)
ウルトラマンに返信する主人公の隊員をV6の長野博さんが演じていたこともあり、主題歌はV6のTake Me Higherという曲やったけれど、この曲を口ずさんでいる自分の記憶があるから、きっとこれが音楽原体験。大人になってから聴いても、ストーリーに根ざしたエモーショナルなメロディやリリックが沁みてきて、未だに名曲やと思うしカラオケでも歌う笑。
他にポケモンやら名探偵コナンやら、今の世代にも新しくファンを獲得しているアニメが始まった頃で、それらを見ながらすくすく童心を育くみつつ、そこで流れる音楽も楽しんでた。
・車の中で聴くカセットテープ、妙に大人びた悲しい歌に惹かれる
ウチの家族はよく車で、祖父祖母の家やちょっとした旅行に出かけることがあった。車中では事前にTSUTAYAでレンタルしたCDからカセットテープに録音された音楽が流れていた。親は子供の自分と妹が楽しめるように先述したようなアニメ曲を仕込んでくれていたりした。
そうしたものをメインに聴きつつ、自分でTSUTAYAは使えない年齢だったのでその都度録音してほしい曲をリクエストするようになったのが小学生になった頃。その時の選曲は自分で思い返しても妙に子供らしくないものが紛れ込み始めていた。
その最たる例が竹内まりやの“天使のため息”。パイプオルガンの神聖な旋律で始まるこの曲は、東野圭吾の名作を原作とする映画“秘密”の主題歌として知られる。事故にあった娘の身体に妻の意識が宿った夫の苦悩というテーマで、そのストーリーに沿って死別を歌った切ない曲。
当時映画を見たわけではないし、小学生だから歌詞の意味なんてきっと知ろうともしなかったと思う。けれど、この頃から無意識に「人には死という状態があり、誰にもいつか訪れる。そしてそれは別れを意味する」ということは感じ取っていた節がある。単純にこの曲の悲しい旋律に惹かれたのもあるけど、夢中になったのはその感覚を見事に表していたからではないかと思ってる。
この曲を始め、当時なぜか夢中になった曲は物悲しく、大人になってからその歌詞や曲の背景を理解できるようになって、自分の嗜好性における伏線を見事に回収していった。松任谷由実の“春よ、来い。”だったりもそう。メランコリー嗜好はこの時点で芽生えていた。
・初めて買ったCDはCraig Armstrong“As if to nothing”
と、ここまで妙に子供らしくない感性が芽生えつつもJ-POPの範囲内で音楽を楽しんでたにも関わらず、急に方向転換したように人生初の自分で選んで購入したCDがイギリスの映画音楽作家であるCraig ArmstrongのAs if to nothingというアルバムなのが、我ながら面白い。
きっかけはSUBARUの車、LEGACYのCMで使われていた“Finding Beauty”という曲。映像含めとにかくかっこよかった。クラシカルなストリングスを主軸にしたモダンでスタイリッシュ、そしてエレガントな曲調にインストながら夢中になった。何度もCMだけ再生したくらいに笑。
「存在として美しいか、否か。」というCMのキャッチフレーズも、車ではなくこの曲のためにあるように思う笑。28歳現在、自分で車を買ったことがない人生だけど、もし買うことがあるならこの時のLEGACYを買いたいぐらいには影響を受けている笑。
TSUTAYAでレンタルしようにもマイナーすぎて置いてなかったため、不可抗力でCD購入を初体験することとなったわけやけど、これが大当たり。このCDを買ってなかったら自分の人生はかなり違っていた。多くの音楽を聴いてきた現在でもこのアルバムの輝きは一際違う。
更にこの作品が自分の現在のメランコリー嗜好、特にUKへの憧憬を決定づけたと言える。クラシックの高い素養で気品あるストリングスやピアノを主軸に、エレクトロニカとしてのモダンな側面を絶妙に織り交ぜながら、UKはグラスゴー出身者ならではのメランコリックな表現が当時小4~5ぐらいの自分を魅了した。
基本インストながらどれも美しいメロディが心を離さず、変幻自在に展開しながらも均衡のとれたアレンジはどのパートも口ずさめる魅力があった。ゲストボーカル曲はインド民謡からUKポップス調など多岐にわたり飽きがこない。
(Massive Attackの名曲Weather StormのCraigの手による別アレンジVer.)
10代の終わり、洋楽に目覚めていく過程でロック界隈ではクレイグがMassive Attackとの仕事で知られてる人だと知り、自分の音楽リスナーとしての伏線が見事に回収された。それにこのアルバムには、ロックバンドとして大御所であるU2やKing Crimsonの名曲のリアレンジも収録されている。後に彼らの作品を聴くより先に、自分は彼らの曲に図らずも触れていたことになる。
・結論、感性の方向性は小学生前半までに固まっていた説
(YouTubeの再生リストにこの記事で紹介した曲などをまとめました!)
こうして振り返ってみると、自分の嗜好性は既にこの頃までに一つ強い方向性があったと言える。自分でも発見の多かったこのリスナー遍歴振り返り企画、第一回はこの辺にて!(十分文字数多い)(最後まで読んでくださった方々、お付き合いどうもありがとうです)