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サッカー解説者 戸田和幸さんに学ぶ言語化とプロ意識

本日のテーマについてですが
・いよいよJリーグが開幕
・プレミアリーグなどの海外リーグが後半を迎え、欧州ナンバーワンを決めるチャンピオンズリーグの決勝トーナメントも開幕。

私もちょいちょい、Daznで試合を観戦していますし、これからますます楽しいシーズンになってきたといえます。

そんな中で、試合の展開 を分かりやすく解説する解説者について、中でも、サッカー元日本代表である戸田和幸さんに注目します。

戸田さんといえば、2002年日韓W杯でボランチで活躍。現役時代は赤色のモヒカンヘアーで厳つかったという印象をお持ちのリスナーの皆さんも多いかと思います。

現在は、知的な印象にイメチェンをして、海外のプレミアリーグ、Jリーグを中心に解説者として活躍、個人ではYoutubeチャンネルで試合のレビュー動画を発信。
展開が早く目まぐるしく攻守が切り替わるサッカーを的確で丁寧な言葉で解説をされており、多くのファンがいる解説者です。

また、今月の8日に、一橋大学のサッカー部監督に就任もしました。

こんな多忙な戸田さんですが、色々調べてみると、2013年の現役引退後に監督、コーチや解説者のオファーがゼロと言っていい状態だったみたいです。
では、なぜ、人気解説者の地位を確立して、大学の監督に就任できたのでしょうか?

鍵は、徹底的な考察と言語化、プロ意識にあります。

今日は戸田和幸さんの著書 解説者の流儀や記事などを中心に徹底的に考え抜くことやプロ意識から、Tipsを考えていきたいと思います。

戸田さんの経歴 赤髪のモヒカンから知的な人気解説者への転身

まず、簡単にサッカー解説者の戸田和幸さんの経歴についてです。
1977年12月生まれの43歳
プロでのキャリアのスタートは清水エスパルスからで、最初のポジションはディフェンスだったようです。

その後、守備的な中盤のポジションであるボランチにコンバートされますが、そこから活躍。
ここでの「どうやってポジションに適用していくかと、考察を繰り返してきたことが、解説者としても役に立ってる」と振り返っていました。

そして、2002年の日韓W杯では、初の決勝トーナメント進出に貢献。
その後は、イングランドプレミアリーグのトットナム、オランダのデン・ハーグなど海外チームで活躍。
帰国後は、清水エスパルス、東京ベルディ、サンフレッチェ、ジェフ市原や町田などのチームを転々としていきます。
そして、少しずつ、若手が台頭していき、出番を失っていってしまいました。
出場機会を求めて現役の最後は、シンガポールリーグのウォーリアーズFCに2013年に在籍、その年を持って現役を引退します。

では、現役時代のプレイスタイルについてです。
相手の攻撃の目をつむ、縁の下の力持ちのタイプでチームには欠かせない存在。
そのスタイルから良い意味でありますが「潰し屋」という愛称で、チームメイトからは頼りにされ、対戦チームからは恐れられていました。

そして、疑問に思ったこと、こうしたいと思ったことに対しての意見を発信するタイプで、ときに監督との確執が噂され、所属チームを探すことにも苦労したと言っています。

また、2013年に現役引退をしますが、引退前の30歳になる前に、指導者の道に進むことを決めて指導者ライセンスを取得しました。
しかし、自身に対して周りが持っているイメージは日韓W杯の赤髪のモヒカンのままで、オファーが全くない状態だったようです。

で、声がかからないのであればということで、まず解説者として引退後のキャリアをスタートします。
ただ、試合数も限られており現役を引退した他の選手やベテラン解説者もいるので、枠は限られています。

そんな限られたチャンスに応えつつ、解説者としての評判を高めていきつつ、スカパー、Jsports、NHK、民放、DAZNなどでの放送局、Jリーグ、プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、代表戦と、解説の機会を増やしていき、今の地位を確立していきました。

そして、戸田さんの解説の特徴についてです。
決して、安易な表現に逃げない、きちんと下調べをした上で、丁寧に言葉をつむぎだす、一つの分かりやすい事象(例えば、ゴールやファールなど)に注目すのではなく、その前後の状況や文脈から分析をするスタイルです。

そして、サッカーはチームスポーツであり複雑で難しく、それこそが面白いということで、注目選手やキャッチーでわかりやすいキーワードで型にはめるということを嫌います。ときには制作サイドに提案も行いそして解説することに対してのプロ意識や責任も強いです。

それを裏付けるエピソードが2つありました。こちらは著書 解説者の流儀からです。

・1つ目は、2016年リオ五輪に向けてのアジア予選のイラク戦を前にしたNHKでのニュース番組に呼ばれた時のエピソード。
NHKサイドとしては、対戦相手のイラクにはこんな危険な選手がいるんだよということでキーワードとして「イラクのメッシ」を戸田さんに解説して欲しかったみたいです。
ただ、戸田さんの印象としては事前に試合を見た感じ「イラクのメッシ」と呼べる選手とは思えなかったようです。
そして、自分の言葉には責任がある、試合の注目度は上がるのかもしれないが、自分の解説スタイルを信頼してくれている人からの価値を下げてしまうということで、「そのキーワードは自分の口からは言えません」と断ったようです。
最終的にはアナウンサーがその言葉をいうという形で番組を成立させる道を選んだ形となります。


・2つ目はスカパーでの解説時に印象に残ったシーンをあげてくださいと言われた時のエピソード。
まず、この手の企画では、よくゴールシーンの抜粋が多いです。理由は大変だからです。しかし、戸田さんは、ゴールシーンだけがサッカーではないという考えを持っています。
試合の展開を動かしたシーン、ゴール以外でも語るべきことはたくさんあるということで、取り組んだみたいです。


これ、解説の流儀の書籍の帯に書かれていたワードに当てはまると思います。

まず、解説という言葉の「解いて説く」とあります。
一つ目の解くは、難解なものを分解して把握する。2つ目の説くは説明するという意味です。
その次に続く言葉として、「難解だからこそ、全ての人のために言語化する」と書かれています。

これは、”サッカーはゴールシーンや得点を決めた人など目立つシーンのみに注目されやすいけどが、そこに至るプロセスや局面が動いた、そのために周到な準備も同じぐらい重要だ、それを丁寧に言語化して、視聴者に新たな視点を提供していきたい”という戸田さんの思いが読み取れます。

さて、このような感じで、安易なキーワードやスターに逃げない、ただ難解な表現だけでいいわけではなく、与えられた役割の中で最大限のパフォーマンスを発揮してきたので、着実に評価と人気が得てきました。

その結果、2020年 スポーツナビのファンが選ぶ好きな解説者ランキングの1位に輝きました。得票率は17%で2位の松木安太郎さんが8.5%でしたので2倍の票を集めています。

次のチャプターでは戸田さんが何故、現在のポジションを獲得できたのか、そこでやってきたことについて触れていきます。

サッカーの楽しみ方、奥深さを提案する戸田さんのスタイル

さてこのチャプターでは、現在のスタイルを確率した要因やルーツについて掘り下げます。

大きく3つあると思いました。こちらも著書解説者の流儀を元に話していこうと思います。

・1つ目はセンターバックからボランチへのコンバート。
前のチャプターでもちょっと触れましたが、プロのスタートはセンターバックからでした。そこから、ボランチにコンバートされますが当初は、頑なに拒否をしたようです。
自分がボランチとしてやれるのかの根拠がない状態でやりたくない、しっかりした準備をしてのぞむ、チームのためにならない、納得して動きたいという感じです。

しかし悩みながらも、「自分の強みを活かす」というふうに考えるようになり、最初は模索しながら走りながら考えていきました。
毎日、毎試合ごとに、生まれる不安を対策をとりながら解消していきました。

私の主観も入りますが、このボランチのコンバートの過程で、見える景色も変わる、不安に対しての対策を打ってきたことで、
「ひたすら考える、安易に結論を出さない今の解説スタイルのベースにつながっているんだろうな」って思いました。


・2つ目は、さまざまな国やチームでアジャストしてきたこと
前のチャプターでも触れましたが、日韓W杯の後に、イングランドやオランダのチームに移籍します。

この海外での経験で、国によって「サッカーの概念の違い」があるということを痛感したようです。
例えば、イングランドは当初はMFの配置は横一線でフラットに配置することが多く、守備的MFという考えがあまりなかったようです。
そして、オランダでも中盤で起用されますが、最前線のエース格の選手は守備に戻らなくてよいという暗黙のルールがあり、戸田選手は一人で2名の選手を相手にしないといけないなどです。

著書解説の流儀でもこのように振り返っていました。

国としてベースとなる戦術があったとしても、各チームごとに独自の戦術が存在する。僕のチームでは、カステレンは守備には戻らないというルールがあり、僕は一人で二人をマークし、それはまるで解答のない試練に毎回挑んでいるようなものだった

・3つ目は解説者は通過点であり、さらにサッカーを知りたい、高みを目指したいというビジョンです。
こちらは東洋経済オンラインの記事の抜粋です。
現役引退当時をこのように振り返っています。

「いずれ監督業に就きたいけど、オファーもない。行きたい場所と現在地のギャップを埋めるためにも、サッカーを言語化し、魅力を伝える解説業は、監督業との共通項も多いため、アリだと考えました」

サッカーを大真面目に語り、ピッチ上で起きている現象を正しく言語化する戸田は、出演するメディアによって、扱う事象の深さを変えたり、コンビを組む実況アナウンサーの特徴に合わせながら、視聴者が理解できる言葉を選ぶことを意識しているという。

「扱う事象は独自性を出すけど、言葉は平坦にしている」

戸田のわかりやすい解説を支えるのは、現役時代さながらの高いプロ意識に基づく徹底した準備にある。
解説を務める際は、各チーム最低でも過去2試合分の試合映像をチェックし、分析したうえで解説の仕事の日を迎えるようにしている。
試合にもよるが、長ければ、1試合あたり4時間程度をかけてじっくり分析することもあるという。

このように、解説前にも徹底的な準備をしますし、解説時でもプロ意識を持って望んでいます。

さらにこの行為は試合後も続きます。

試合の中継後、ゲームの展開の早いサッカーで説明したかったけど、しきれなかったことを自身のYoutubeチャンネル の戸田和幸のSHINKAISETSUで、振り返りレビューを行っています。

このアウトプットを通じて視聴者にサッカーの楽しみ方を提案していますが、戸田さん自身も発信しながら頭を整理して思考を更なる高みに持っていく建設的な行為なんだろうなと思います。

このように様々な経験を積みながらも、考えながら模索しながらも言語化していく、このサイクルを繰り返しているから、赤髪のモヒカンからのイメージチェンジに成功でき、多くの人たちに評価されてるんだろうなと思います。

次のチャプターでは、Tipsについて考えていきたいと思います。

仕事への向き合い方を変えるために必要な言語化とプロ意識とは?

さて、今回まとめみて、私の仕事の話になるのですが、後輩の教育とセットで考えるようになりました。

いま私が所属している会社では、2020年度は体制も強化しましたが、若手が増えてきたこともあり、教育も課題としてあります。
会社の人数は20人と比較的少数のため、どうしてもOJTになりがちですが、その対策として、これまでのノウハウや身に付けておくべきスキルの項目分けやリストアップしていきました。

ただ、これを使いこなせるようになるのも、
・自分の頭で考えながら
・壁にぶち当たりながら、それを乗り越える
・その時に徹底的に振り返り、そして言語化する
・その言語化によってさらに深く考える
という行為が、専門的な技術や知識以外でも必要なんだなということに気づいていきました。

ですので、今はちょっと抽象的なのですが、
・どうやって物事を考えるのか とか
・問題意識の持ち方とか
そういった、専門領域外のスキル、
スキルと言って良いのかはあれですが、それも身に付けてもらうように働きかけtれいきたいな思っています。

これをしていくことで、知識や技術以外のその仕事のプロである、というプロ意識が芽生える、どういったところに言っても通用する人材に育っていくんだろうなと思いました。
まあ、私も日々勉強中なので、自分も謙虚な姿勢は失わないようにいたいと思います。


では、スポーツに置き換えてみます。
水曜日の”たくさん”が取り上げた2年目のジンクスともちょっと関係します。
プロスポーツの世界でもやはり、天性の運動能力や才能を持った方はいます。また体力的にも優れているので、若手の時は活躍できるかもしれません。
ただ、上積みがない場合、通用するのは最初だけで、相手も対応してきますし、さらに年げつが経過すれば体力的にも衰えていきます。

なので、自分を取り巻く環境や出来事をどのように分析するのか考える力が必要で、そこで考えていく、その結果としてプロ意識に繋がり、結果として長い間活躍できる人になるん立とうなと思いました。

ちょっと過去の回にはなりますが、中村俊輔選手のサッカーノートにあるように、成果を残しているアスリートって言語化をして振り返り、さらに振り返るだけなく、行動にうつしながらさらに考えているという共通点人も今回気づきました。

ですので、今日のTipsはちょっとシンプルですが、
プロ意識持っていますか?意識を持つために日々言語化して課題に向き合おうにしたいと思います。

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
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