宅録を肩書きにつけないほうがいい理由【フリーランスで働いて思うこと】
「宅録声優」「宅録ナレーター」いつからか頻繁に見るようになった肩書きです。でも、僕は少し違和感があって。理由は『自宅収録(宅録)は、手段であって肩書きではないのに』と思うからです。
そして、この“宅録”という言葉をつけることによって“宅録だからしょうがないよね”を言い訳にしているように感じられることもあるからです。
・宅録=自宅収録のこと
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※これは「宅録を肩書きにつけている人への批判や、宅録はよくない」と言っているわけではなく、肩書きにつけないほうが、お仕事に制限がかからないんじゃないかな?という提案のような内容です。
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【宅録を言い訳にしていないだろうか】
宅録は情勢の影響も受けずに、自宅でお仕事ができるとても便利な手段だと思います。もちろん、僕も宅録経験はあります。(割合で言うと宅録5・スタジオ収録5の半々くらい)
フリーランスになりたての頃、収録形態に関係なく全くお仕事がありませんでした。たくさん営業をして一番最初に頂いたお仕事は宅録でのナレーション。そこからも宅録案件が続き「スタジオ経験はないんですけど‥」と前置きをつけたほうがいいのかすごく悩みました。
でも、お仕事を頼む側に立って考えてみたとき「スタジオ収録で頼みたいのに、宅録しか経験がないならできるかどうか心配になるな‥」と思ったんです。恩師にこのお話をさせていただいたのですが、言われたのは
『宅録とかスタジオとか余計なことは書かずに、まとめて書いてそれを資料にして新しいところに営業してごらん』
そこで『あぁ、自分のことしか考えていなかった』と思ったんです。
宅録しか経験がないと前置きしておきたかったのは「うまく読めなくてもしょうがないですよね。スタジオ経験はなく、宅録しかやったことないので」という保身のため。
相手のことを考えている風にして、正直な気持ちを言うと恥をかかないようにしたかったんだと思います。
‥情けなかった。
うまく読めなくてもしょうがないですよねと言っても、専門学校と養成所でそれなりに時間をかけて学んできています。同期で活躍している人はたくさんいますから(同じ教室・先生に教えてもらっているので)言い訳になりません。
よく言われる言葉ですが、できない理由を探してもできるようにはならないんですよね。やりたいならできるようにするために努力する。
もちろん最初からこの考えができたわけじゃありません。事務所を辞めてからは暫く何をしたらいいのかわからず、毎日フラフラしていました。しかし、とある日をきっかけに「これじゃだめだ。何してんだ」と思い、そこから自分を見つめ直しました。
【宅録という肩書きは状況による】
フリーランスになりたての頃は「事務所に入らないと仕事ができない」と思っていたんです。ですが、フリーでもやっていける方法があるかも!と気付けたタイミングがありました。
営業とクラウドソーシング。
それまでは声優事務所に入ることに一生懸命で、声優事務所に連絡をしていましたがなしのつぶて。そりゃそうですよね。ある程度実績があれば業務提携や声だけの預かりをさせていただけるかも分かりませんが、普通に考えれば自社のタレントにお仕事を振ります。
今やらせていただいているお仕事はほとんどが営業の成果です。クラウドソーシングもやっていなくはなかったんですが、企業様からご相談を頂く内容と(文字数や尺が)あまり変わらないのに、単価が安すぎたので“この先やっていけなくなる”と感じ、営業に時間を使ってきました。
フリーランスになった理由は、正直なことを言うと「所属できる事務所がなかった」からです。なりたくてなったというより、ならざるおえなかった。
なのでフリーランスであり続けることを前提にして、お仕事やSNSや生活の仕方を考えてきました。
自宅収録、スタジオ収録どちらもやっていくことを考えて“宅録”は、肩書きではなく“宅録も可能”という手段として表記したほうがいいなと思いました。
ただ、転勤族・ノマドワーカー・海外での生活と人により色々事情があるかと思いますので、物理的に不可能という意味で「宅録のみ」という場合は、今回の話とは別問題だと思っています。
ナレーター
有野優樹(ありのひろき)
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