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フリーランスで、働くということ。

 専門学校卒業後、事務所に1年間所属しました。今はフリーランス(日本俳優連合会員)で声のお仕事をやらせていただいています。

 事務所とフリーランスはどっちがいい?と、聞かれることもありますが、結論“自分に合う方を選べばいい”と思います。と、いうよりそれしか言えないといいますか。

 業界との繋がりが薄いままフリーになってしまうと、商業作品へ出演できるきっかけ(オーディション、候補出しなど)は極端に減ります。フリーになった女性声優さんにお話を聞かせていただいた時、その方もフリーになってからは「オーディションのお誘いは減りましたねぇ」と言ってました。

 なんでフリーになりたいか?にもよりますが、僕の場合、ぶっちゃけていうと“どこにも所属が決まらなかったから”です!

 事務所をやめた後、ほかの事務所に行きたくて、オーディションを受けたり、営業したりしたんですが全然決まりませんでした。だから、フリーと名乗るしかなかった。

 そりゃー最初のうちはめちゃくちゃ言われましたよ。「フリーでやっていけてんのか?やっていけてないのにフリーランス声優、ナレーターなんで名乗るんじゃない!やっている人に失礼だろ!」って。

 だって!!!フリーター声優とか、プー太郎ナレーターなんて名乗りたくないじゃないですか!!!じゃあ他になんて名乗ればいいんだって!!

 「お仕事ほしいなぁ‥」毎日こんなことばかり考えていました。ただ、なんというか皮肉なことに、ほしいと思わなくってからちょこちょこ仕事をいただけるようになったんです。


 営業してもオーディションを受けてもどーせ決まらないなら、読書したり映画や舞台や美術展などを見に行ったり、経験に時間を使おうと思ったんです。

 それを続けて1〜2年くらい経ったとき、いつから変わったのか分かりませんが、演じ方もナレーションの読み方も変わったんです。変えたわけではなく、変わっていた。

 『あ、ここは大切な部分だからこういう感じで、この役の作品におけるポジションは‥』や『ここが伝えたいところだから、ここの前後の文章は同じように読まないようにして‥』などが“パッ”と感覚的になので、言語化が難しいんですが、わかるようになりました。

 たぶんですが、いろんな文章、作品、人に触れて自分以外の視点が少し持てるようになったからだと思います。

 「自分がお仕事をやらせてもらうことしか考えられていなかった」

 だから営業をしても、ボイスサンプルを変えてもお仕事に繋がらなかったんです。見え見えですよ、そういう下心って。

 やっぱり、最終的には人柄です。“この人と、一緒にお仕事がしたい!”と思って頂けないと頼まれませんからね。技術や知識も大切かもしれませんが、表現はその人の中にあるのもからしか出てきません。

 「あんまり誰かを崇拝したら、ホントの自由は得られないんだぜ」ムーミンに出てくるスナフキンが、こんなセリフを残しているのですが、何か一つだけを頼るのはやめましょう。お芝居もナレーションも考え方もです。

 その物事を習い始めたとき、やり始めたときは全てが新鮮で最初に出会った人を「この人、なんでも知ってる!」とすごく見てしまいます。尊敬するしないは自由ですが、何かあったらそこだけを頼ろう!とするのは危ないです。だって、その人がその仕事の全てじゃありませんから。

 自分の業界だけじゃなく、いろんな人と話して、一つの物事をいろんな角度から見られるようにしていきながら、自分で判断していくことが“フリーランスではたらく”ことなんだ。と、感じたここ最近です。


ナレーター
有野優樹(ありのひろき)


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