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多義語の研究まとめ

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認知言語学における多義語の研究をしている大学院生が「多義語」について考えたことをまとめた記事になります。
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記事一覧

多義性とカテゴリーの問題

こんにちは。ひさのりです。 今回は、多義性の問題について語っていきます。 今回のテーマとなるのは、多義性と、意味のカテゴライズの問題です。とは言っても、あまりしっくりこないと思うので、早速始めていきましょう。 1. この記事の目指すものこの記事では、多義性の概念を掘り下げ、この言語現象を理解する上で重要なカテゴリーが果たす役割を探ります。様々な例を検証し、その認知プロセスを議論していきましょう。(今回は、教育への応用を考えておりませんので、その点はご容赦くださいませ)それ

【多義語研究】多義語の研究で最近考えていること(Vol.2)

①過去に書いた記事 過去に書いたのは「多義語のパラドックス」に関しての記事。いわゆる多義語の定義に関して、あれやこれやと書いた記事です。記事のリンクは下に。 そこから時間が経過して、思うところがあるので、半ば殴り書きのような形で書いて見たのが下の記事。 両方とも、多義語の研究について、現在進行形で考えていることを書いた記事です。ちなみに、これらの記事、いいね!の割には閲覧数が多く、ネットで「多義語 論文」と検索するとこんな感じです。読んでくださった皆様本当にありがとうござ

【多義語研究】多義語の研究について最近考えていること

①多義語の研究を始めたとき(学部3年〜学部卒業)多義語の理論的な研究を始めたのが、今から5年前。ちょうど、今の認知言語学研究室に入ったときに遡ります。 幸い、僕の通っている大学のキャンパスは、学部1年生の頃から研究室に所属できるので(しかも卒業単位になります)いろんな研究室に所属したものでした。脳科学・心理学などなど。 その時に思ったのは「言語の世界は奥深い」ということ。ありきたりになってしまうけれど、本当に調べれば調べるほど、いろんなことを学べました。 中でも面白かっ

【多義語研究】多義語のパラドックスについて解説をします!

こんにちは。ひさのりです。多義語の研究を始めて、かれこれ4年が経ちました。おかげさまで、ネットでも、私の論文がかなり読まれているのかな?なんと「多義語 論文」とググってみると、僕の論文が出てきます。下の写真は「多義語 論文」と検索した1ページ目です。この写真の一番下にある論文「多義語のパラドックスについて〜」というのがボクの論文です。 これは、慶應湘南藤沢学会(慶應湘南藤沢キャンパスには学内の学会があります)で発表したものです。確か、論文集に寄稿したんですよね。その時には。

認知言語学の勉強法と、認知言語学のおすすめの本を紹介します(全て読了済み)

【プロローグ】 このプリントは、私の所属している慶應義塾大学環境情報学部教授の大堀壽夫先生の学部の研究室で私(今は大学院生)が、初回授業で作成して配布したプリントです。このプリントを渡す前に、丁寧に添削してくださった環境情報学部の大堀壽夫先生に心より感謝いたします。ありがとうございます。 認知言語学の勉強法 ここでは、認知言語学の勉強法を語っていきます。ボクが大堀研究会に入ったときに、手探りで研究を進めていったのですが、皆さんにはもう少しボクのたどってきた認知言語学の勉強

【研究日記】語彙を教えるとはどのようなこと?(多義語の「have」を例に考える)

こんにちは。飯島尚憲です。 現在、岩見沢駅にいます。 訳もなく、電車に乗ることがボクの仕事です。 そんな今日の出来事を報告します。 ① 語彙指導をすること 語彙指導をすることは、少なからず大事なことであるということは、 これまでの論文などで、述べてきた通りです。 では、それを踏まえて、語彙指導をすることで何が生徒に得られるのでしょう。 僕らはそのための議論をしていなかったと思います。 よって、そのことについて、考えて行きたいと思います。 語彙指導というのは大事です

【多義語研究】多義語の研究はどのように進んできたのか?(認知言語学のはなし)

①多義語を知っている≠多義語の『意味』を知っている 多義語という言葉は、文字通りに解釈すれば「複数の意味がある言葉」ということですね。多義性というのは、これも文字通りに解釈すれば「たくさんの意味を持つという性質のある言葉」になります。ここでは、多義語の性質という意味で「多義性」という言葉を使います。 多義性というのは「たくさんの意味があるという性質」ということ。ですので、「たくさんの意味を覚えること」が多義性を持った単語を覚えることになるのでしょうか。意味を覚えれば、その単