アンヴァンテール|Brouillard Violet−菫色の19世紀パリ
Text|アンヴァンテール
1880年の5月13日から20日かけて、菫色の濃霧がパリの街全体を覆うという不可思議な現象が発生したことがありました。人々は突如の天変地異に恐れつつも、密やかな菫の花色に染まったルーブル宮殿、ゆらめく儚いヴィオラの花びら色になったサンジェルマン・ロクセロワ教会、凍ったリラの結晶色になったサン・ジャックの塔など、その幻想的な美しさに誰もが目を奪われてしまい、もうこのまま霧が引かなくてもいいとさえ言い出す人も少なくありませんでした。
霧の濃度は日に日に濃くなり、20日の夕暮れ前にもはや前も見えないほどのピークを迎えたその瞬間、一瞬にしてして霧は跡形もなく消え去ってしまいました。このブリュイヤール・ヴィオレ - Brouillard Violet と呼ばれている、パリが菫色に染まった8日間のスーヴニール品として作られたのが、こちらの菫色のパリの皿です。
・・・そんな逸話を空想してしまう、美しい菫色リムにモノクロームのパリが描かれたアンティーク皿をご紹介します。
1804年創業の大変名高いChoisy le Roi −ショワジールロワ窯製、19世紀終わり頃のもの。リムの菫色にモノクロームの対比が美しく、退廃的な佇まいに魅了されるお品です。
センターに転写プリントで描かれているのはルーヴル宮殿、サンジェルマン・ロクセロワ教会、サン・ジャックの塔。とりわけ、サン・ジャックの塔はとてもミステリアスな場所で、1509年〜1523年に建てられたサン・ジャック・ラ・ブシェリー教会(Eglise Saint-Jacques-la-Boucherie)が、フランス革命中1793年に破壊され、残った鐘楼部分が「サン・ジャックの塔」と呼ばれています。
教会には、錬金術師ニコラ・フラメルが埋葬されていたことでも知られ、1855年の改築時には建築家テオドール・バリュがステンドグラスにニコラ・フラメルのモノグラムNとFを入れています。
シュルリレアリストの作家アンドレ・ブルトンの『狂気の愛』にもサン・ジャックの塔が登場しており、幻想的パリを語る際に欠かせない場所の一つでしょう。
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パリで一番美しい場所、私にとってそれはルーヴル宮殿です。圧倒的壮麗な美を前に言葉を失ってしまい、何度訪れてもその感動は色褪せることありません。
皿に描かれたルーヴル宮殿には"Nouveau Louvre"のタイトルが付けられています。Nouveau Louvre-新しいルーヴル、これは、ナポレオン3世下ルーヴル宮殿の壮大な建造計画によるもので、1857年8月14日に落成し、チュイルリー宮殿とルーブル宮殿を繋ぐ北側回廊が完成しました。
国民に開かれた国立美術館としての開館は1793年で、約50万点もの美術品が所蔵されている世界で最も重要な美術館の一つであることは言うまでもありません。フランス芸術を愛する方への贈り物としても最適なお皿と思います。
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そのルーヴル宮殿のすぐ傍に位置するのが、サンジェルマン・ロクセロワ教会です。12世紀に建設が始まった非常に長い歴史ある荘厳な教会で、宗教戦争の悲劇でも知られています。
12世紀から果てしない祈りが捧げられてきたサン・ジェルマン・ロクセロワ教会が描かれた皿。ロザリオや十字架、キャンドルと合わせて、お祈り用のお皿としてもいかがでしょう。
それぞれの皿には変色等ありますが、100年の時代の経過を感じる美しいお品と思います。19世紀末のフランスから時代を超えてやってきた美しき菫色モノクロームの皿をぜひお手元にどうぞ。
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店舗名|アンヴァンテール
商品名|フランス19世紀の皿シリーズ(4種)
【A】サン・ジャックの塔
【B】新ルーヴル(リヴォリ通り側)
【C】新ルーヴル(ナポレオン3世広場)
【D】パリ1区市役所、ルーヴル塔とサンジェルマン・ロクセロワ教会
商品サイズ|直径:約19.5cm
新入荷(2022年)
注意書き|
変色・染み・貫入・経年による小キズやスレなどあります。日本の食品衛生法に基づき、食器としてではなく、アンティークの装飾品として輸入致しております。
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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