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三井物産を勝手に5段階評価してみた~企業財務分析


挨拶

このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。他の方の記事と比べて一歩踏み込んで財務分析を行うので有益な情報を皆様にお届けできればと思います。今回は三井物産です!三菱商事、住友商事と続いていますがいわゆる御三家の三菱系、三井系、住友系の最後の商社ですね!ですが商社は5大商社と呼ばれているのでさらに2社今後も紹介していきますのでフォローしていただけると嬉しいです!この企業の分析をしてほしいとリクエストがありましたらコメント等に残してくれると嬉しいです!

企業概要

三井物産は第一物産株式会社の商号で、各種商品の輸出入販売業を主目的とし、1947年に発足しました。三菱商事、住友商事の起源は戦前からでしたが三井物産は戦後に発足した企業だったようです。その後、1959年に三井物産として名実ともに総合貿易商社へとなりました。三井物産は元々貿易のビジネスから始まったということで企業が誕生した時からかなり海外を意識したビジネスを行っている印象ですね。70年以上続いている伝統のある会社ですね。また1971年に米国のNASDAQに登録していましたが、2011年にNASDAQからは上場廃止しています。

事業内容

三井物産の事業は下記の7個の事業に分けられています。

  1. 金属資源

  2. エネルギー

  3. 機械・インフラ

  4. 化学品

  5. 鉄鋼製品

  6. 生活産業

  7. 次世代・機能推進

金属資源は海外で鉄鋼及び非鉄金属原料の資源開発を行ったり、世界中で原料・製品の製造・販売をしています。その名の通り金属の資源を開発し、製造・販売している事業です。
エネルギーは海外で石油・ガスの資源開発を行うと共に、世界中で石油・ガス、石炭及び関連製品の売買、更には次世代電力事業を行っています。
機械・インフラは機械・設備の製造・販売及び売買、リース、ファイナンス、更には発電などのインフラ事業を行っています。リース等も行っているのがポイントですね。
化学品はその名の通り化学品や住生活マテリアルの製造・販売及び売買を行っています。
鉄鋼製品は世界中で鉄鋼製品の製造・販売及び売買を行っています。
生活産業は世界中で食料や消費財の製造・販売及び売買、ウェルネス関連事業を行っています。
次世代・機能推進は世界中で情報通信事業、物流関連事業、保険事業、金融関連事業、不動産関連事業及びメディア関連事業を行っています。ここは収益も少ないのでいわゆる「その他」に分類されるような事業ですね。ですが、次世代と命名しているのは今後メインの事業に成長する表れでしょうか。

人員について

三井物産の従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約4.6万人の大企業です。三菱商事と住友商事と比べると約半分程度の規模ですね。その中でも機械・インフラに3割以上の人材が割かれていますね。そして次が生活産業で、その次が化学品となっています。金属資源には一番少ない619名しかいません。これは住友商事とは明らかに違う点ですね。

三井物産従業員数

働きやすさについて

現在注目されている働きやすさですが、三井物産は子会社もかなり多いので今回は三井物産のデータのみ持ってきました。女性の管理職は8.6%と女性の管理職を推進はしているがまだ少ないなと思える割合ですね。三井物産も日本を代表する企業なのでここは頑張ってほしいですね。男性の育休取得率は65%と住友商事の育休取得率とほぼ同じですね。今まで分析してきた大企業と比較すると働きやすさの改善はかなり頑張ってほしい点ですね。

三井物産多様性指標

三井物産の売上構成

三井物産は収益約14兆円の大企業です。三井物産は住友商事より約7兆円収益を多くあげていて、三菱商事は三井物産よりさらに約7兆円収益を上げており、売上が7兆円ずつ違っているのが面白いですね。そんな三井物産は何で儲けているのでしょうか?
三井物産も住友商事と三菱商事と同様かなりバランスよく収益を上げていますね。1つの事業で30%以上の収益を上げている事業がないことからも分かりますね。一番多く収益を上げたのがエネルギー事業でした。エネルギーの原材料の高騰でその分収益が増えたという日本のトレンドを反映した結果になっていますね。エネルギーと同じくらい収益を上げているのが化学品と生活産業事業ですね。生活産業がここまでの収益を上げているのは住友商事とは異なる点ですね。
ですが各事業の当期純利益を確認すると実は化学品と生活産業の事業の利益率はそこまで高くないことが分かります。利益を稼いでいるのはエネルギー事業と金属事業ですね。

三井物産セグメント別売上

営業利益と当期純利益

収益が増えているのはとても良いことですが、三井物産の場合費用はどうなっているでしょうか。
収益が約3兆円増加しているのに対して、費用もしっかりと約2兆円増えていますね。ですが売上総利益率は約9.7%と殆ど変わりません。ですが、売上総利益率が9.7%は低いと言えますね。
営業利益率が4%台なのはあまり良くありませんね。基本的にメーカーであれば営業利益率5%は仕方がないかなという印象なので商社であったら8~10%は欲しいところですね。三井物産は原価がかなり高くなってしまっています。効率としては、三菱商事や住友商事と比較しても半分の人数の従業員しかいないにも関わらず、収益は約14兆円と3社中の収益はNo.2に位置しています。その意味では他の3大商社よりは人的リソースは効率的に使えているといえるでしょう。
また支払利息は2021年度と比較すると約3倍になっていますね。ここは三菱商事、住友商事と傾向は同じですね。これは支払利息であり、リース利息やデリバティブ等の金融負債の利息のようです。ですが受取利息や有価証券損益も増加している上、当期純利益は2021年度と比較しても増加しているので大きな問題ではないでしょう。
最終的に当期純利益は2021年度と比較して約20%の増加と大幅増益になっていますね。当期純利益は2021年度と比較して増えているのは良いポイントですね。2018年度~2020年度の当期純利益は3000億~4000億を推移していましたが、ここにきて当期純利益が1兆円に到達しましたね。三井物産も最高益を更新していますね。1株あたりの配当金も年々増加しています。配当性向は数年前は約30%ありましたが、2022年度の配当性向は20%以下になりました。今後も最高益を更新し続けられれば配当金の増加も期待できそうですね。また、配当性向がこれだけに抑えられているということは今後の三井物産の投資によってさらに利益が増え、株価の上昇と配当金の増加の両方取りができるかもしれませんね!配当利回りは1.8%と高くはありませんが、5年前の株価と比較すると約4倍になっています。

三井物産損益計算書

三井物産の倒産リスクは?

会社が潰れてしまう可能性があるか?を判断するには流動比率の分析はかかせません。流動比率とは流動資産÷流動負債で求めることができ、短期的な資金繰りに問題がないかが分かります。
儲かっている企業が倒産してしまうことを黒字倒産と言います。なぜ黒字倒産が起きるのか?それは企業が儲かっていても企業は基本的にお客様に後払いを容認しているからです。もちろん会社が払う場合にも後払いにしてもらうことが多いのですが、黒字倒産の場合は会社にお金が入ってくる前にお金を払う期日が来てしまい、支払いができなくなることから起こります。
つまり、サラリーマンで言うと預金残高に1,000円しかないのにクレジットカード10,000円分の支払い期日が来てしまったような状態です。その5日後に給料が振り込まれるとしても支払いが期日までにできないと企業は倒産してしまい株はパーになってしまう可能性があります。
このような罠にかからないためには流動資産と流動負債の比率を分析する必要があります。流動資産は現在持っている現金、1年以内にお金に変えられる現金を示しています。流動負債は1年以内に支払う必要がある現金と考えれば良いです。つまり、1年以内に支払いお金を現在の現金や1年以内に現金になる物で賄えるかが分かればいいのです。
三井物産の流動資産を確認すると約5.6兆円あります。その内棚卸資産は8,000億円ですので流動資産の約14%です。一方で、流動負債は約3.8兆円と流動資産より約1.8兆円少なくなっています。棚卸資産を除いたとしても資産は4.8兆円あり、流動負債の支払いを流動資産で賄うことができていますね。流動比率も147%と安全といえる150%にかなり近い状態ですので三井物産の短期的な資金繰りについては安心してもよいでしょう。

三井物産の非流動資産

三井物産の非流動資産は増加していますね。特に持分法で会計処理される投資の資産額が増えています。会社への投資が上手くいっているのはとても良いですね。

積極的な自社株買い

三井物産は積極的な自社株買いを行っています。自社株買いを企業が行う理由としては、世間に出ている株数を減らすことで株価を上げて投資家達に還元することが挙げられます。例えば時価総額が約16兆円で株数が30億であれば1株あたり約5000円になります。ですが株数を15億まで自社株買いで減らすと時価総額は変わらないので1株あたり10,000円になり投資家が儲かるわけです。株主は1株あたり5,000円儲かるので嬉しいですよね。
ですが、自社株買いにも落とし穴はあります。それはお金が余っているから自社株買いをしているのでは?という懸念です。自社株買いを行うということはそれだけ会社の現金が出てしまっています。
それだけの現金を使うのなら設備等に投資をしてさらに利益を増やして配当金や株価の向上に繋げてほしいという投資家の意見もあります。
つまり自社株買いを積極的に行うのは短期的には投資家からは喜ばれますが、目先のことしか考えていない、それだけ投資して利益を増やす手段がないとも取れます。ですが、三井物産は配当性向も30%を超えていないので単に株主還元の意味で積極的な自社株買いを行っていると推測できます。

まとめ&評価

  • 2021年度と比較すると全ての事業で増収を達成(減益している事業あり)

  • 各ビジネスの収益のバランスが良い。エネルギー、生活産業、化学品がメイン事業

  • 原価が多くなっているが、収益増加率と同じため問題ない。

  • 営業利益率はもうひとつ。当期純利益は最高益だが今後も増益し続けられるかは注視が必要。

  • 配当はもう少し出しても良いのでは。自社株買いも行っている。

  • 短期的な資金繰りについて問題はなさそう

ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100QZZ4.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-04-13T22%3A54%3A37Z&se=2033-06-21T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=daiccjnaXXfQ8KD7vkgobNHqBvLnsno22ekFssHy3N8%3D

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