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ヤマケイ文庫『大地の五億年』(オールカラー)刊行のお知らせ


なななんと1100円+税

自己紹介

藤井一至(かずみち)、土の研究者です。
ミミズでもモグラでもなく、土そのものの研究をしています。
(ここで、目を輝かせていた子供たちが分かりやすくガッカリします)

土の成り立ちや、食料問題や環境問題を改善するために土をどう利用すべきかを研究しています。

プロフィールはこちら。

(国)森林総合研究所主任研究員。1981年富山県生まれ。京都大学農学研究科博士課程修了。博士(農学)。カナダ極北の永久凍土からインドネシアの熱帯雨林までスコップ片手に世界、日本の各地を飛び回る。第1回日本生態学会奨励賞、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞受賞。
土  地球最後のナゾ』で第7回河合隼雄学芸賞受賞。

詳しくはホームページへ。

朝日新聞で「疲れる土」特集をお手伝いしたり、

久米宏さんのラジオ番組に出演したこともあります。あとは「ホンマでっか」、「笑ってコラえて」、「ヘウレーカ」などなど、研究(業績はこちら)に支障のない範囲でアウトリーチに務めています。英語の論文だけでは研究成果を広く普及できないためです。

その意味で二冊の新書『大地の五億年』(ヤマケイ新書)、『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)はとても重要な意味を持っています。

『大地の五億年』とは何か?

最初の新書『大地の五億年』と聞いても「ん?」と思われたかもしれません。『大地の子』(山崎豊子)でも、『二十億光年の孤独』(谷川俊太郎)でもなく、土の本です。

森も土もヒトも、昔、地球上に存在しませんでした。土は、植物、キノコ、恐竜、ヒトなど多くの生物とともに影響しあいながら変化してきました。『大地の五億年』では、5億年の土の来た道、1万年のヒトと土の歩みをぎゅっと濃縮して解説し、これからのヒトと土のあり方を展望しています。

この本を書いたのは、偶然、大学時代の研究室の後輩が山と溪谷社に入社し、土の本を書く人を探していたためです。当時の私はポスドクだったにもかかわらず、二度とないチャンスかもしれないと思い、立候補しました。

新人編集者と半人前の研究者で仕上げた本でしたが、出版まもなくドイツ文学者の故池内紀さんからお褒めの言葉をいただきました(感涙)。今でも机の前に貼って、心が折れそうなとき(=いつも)ながめています。『大地の五億年』は日本でも重版されましたが、意外にも韓国で土ブームを生みました。どうも苔玉とセットで販売した試みが成功したようです。ただ、本屋さんの仕事に苔の水やりが増えてしまったようです。

編集部に届いたFAX

文庫版『大地の五億年』の刊行によせて

そんな『大地の五億年』でしたが、担当編集者がいなくなって長く宙ぶらりんになっていました。Amazonで3000~6000円でやり取りされ、著者、出版社ですら持っていない希少本になりました。

ところが、数学者の森田真生さん、屋久島大学を主宰する自然ガイドの小原比呂志さんをはじめ多くの方々が復活をリクエストしてくださり、山と溪谷社の敏腕編集者、綿ゆりさんが動いてくださって文庫で復刊を遂げました。1100円+税にもかかわらずオールカラーです。出版社もぎりぎりの価格だろうと思います。ただただ感謝です。

初版の2015年から7年しかたっていませんが、土をとりまく情勢は大きく変化しています。地球温暖化、土壌劣化、食料危機はニュースで頻繁に登場するようになりました。土への関心が高まって嬉しい反面、真偽ないまぜの情報が錯綜しています。土に関する知識の拠り所となれるようにと手を加えました。5億年前の記述はそう変わりませんが、現代の記述は、可能な限り最新のデータ、知見に更新しています。 

本は旬の短いフルーツのように店頭に並び、すぐに姿を消します。そう多く印刷してあるわけではありませんので、またすぐに希少本になるかもしれません。必要な方はお早めに確保をお願いいたします!



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