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気づけば「山口もどき縛り」になっていた

昨日、瓦そばを食べた。

瓦そばとは山口名物の茶そば料理。
昭和30年代に生まれた比較的新しい名物だ。
熱した瓦で茶そばを焼き、その上に錦糸卵や甘辛く煮た牛肉などを載せ、熱いつゆにつけて食べる。
まさに見出し画像にあるようなビジュアル。

少し前、近くのスーパーで山口フェアがあり、珍しく瓦そばを売っていた。
しかしあまりにも珍しすぎたか、ほとんど売れなかった。
フェアが終わっても山積みで、10%オフ、20%オフ…と日々下がり続け、ついに半額となったところでようやく売れた。
僕もちょうど半額のシールを貼っているところに行きあわせたため、久しぶりに食べてみるかとカゴに入れたのだった。

昔、下関に出張に行ったときに初めて瓦そばの存在を知った。
仕事を終え、晩は何にしようかとうろうろしているとき、目に入った。
が、風雨にさらされるはずの瓦の上に食品が載っていることに衝撃を受け、残念ながら敬遠した。

しかしその出張は10日間の長きにわたる。
10日間もあると、ふぐや焼肉などの下関メシをあらかた試してしまい、残るはその瓦そばだけになった。

決意半分、諦め半分で暖簾をくぐった。
ついに出てきた瓦そばをおそるおそる食べてみて、これは!と目が開いた。
これは! もしかしてうまいんちゃう?
焼いた茶そばからは茶の香り、蕎麦の香りがふわっと広がる。

あとはただもう、一気に平らげた。

スーパーで手に入れた半額の瓦そば。
下関出張以来、12年ぶりのご対面だ。

さぁうまく作れるか?と思ったとき、noteに瓦そばの写真。
見ればロジャーさんが「地元ご飯の雄、瓦そば」を作ったという記事。
あぁ地元の方には敵わないなと肩から力が抜け、かえってよかった。

あいにくマンションゆえ瓦の持ち合わせがなく、大皿に盛ったから、〈瓦そばもどき〉というべきか。

瓦に載っていない〈瓦そばもどき〉

目が飛び出た宇宙人の顔みたいになってしまった。

なぜか、今日は全部山口にしよう!と意味不明のテーマ設定をし、わかめむすびも作った。

自作の刻みわかめを使った〈わかめおにぎりもどき〉

山口では専用の干し刻みわかめが売られているらしい。
あいにく神戸ゆえそんな便利なものはなく、増えるわかめを砕いて代用したから、〈わかめおにぎりもどき〉というべきか。

さらに山口しばりで作ったのは〈けんちょう〉。
おそらくけんちん汁と語源は同じと思われるが、豆腐、ダイコン、ニンジンだけのシンプル家庭料理。

水を足してしまった〈けんちょうもどき〉

調味料は少量の酒と醤油だけで、こんなの10分も煮たらすぐ焦げつくと水を足した。
ところが、野菜や水切りしたはずの豆腐から水がどんどん出て水没し、水を足したことを後悔する〈けんちょうもどき〉になった。

「山口縛り」のはずの夕食は、気づけば「山口もどき縛り」になっていた。

でも、おいしさは一級品。
山口、ごちそうさま。

(2023/6/18記)

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