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神戸は、わざわざ訪れる価値のある町なのである

数年前まで、日本の経済はもはやどれだけ外国人を呼び込めるかで決まる的な風潮があったし、確かにそうだったともいえる。

政府の肝いりで「Visit Japan」キャンペーンが張られ、その成果か、2019年の訪日外国人旅行者数は3,188万人で過去最高を記録。
全国各地の観光地がインバウンド景気に沸いた。
この関西でも大阪や京都などは、いずれ占領されてしまうのではないかと思うほどいたるところに外国人があふれ、彼らの財布で町は潤った。

一方で神戸はその波から置いてけぼりを食らった。
超大型のクルーズ船は神戸の岸壁に着くが、下船した外国人は横づけの何十台ものバスに一斉に乗り込み、大阪や京都、奈良へ出かけていく。
神戸はみごとに素通りで、かろうじて関西の海の玄関口として機能していたにすぎない。

なぜか。
いろいろな要因はあるが、神戸の町の特性によるところが大きい。

神戸は幕末の開港と同時に一気に外国文化を取り込んで発展した町だ。
それまでは人家もまばらな漁村だったという。
だから神戸を形容する際によく使われるのは、「異国情緒あふれる町」。
となると外国人観光客には受けない。
わざわざ旅してきて、外国っぽいところを見たいはずがない。

神戸市は焦った。
インバウンド全盛の時代に、神戸だけ取り残されていくと。

しかし周知のように、その後に襲来したウイルスで世界は一変した。
あれだけあふれかえっていた外国人がパタリと来なくなったのだ。
今度は、インバウンドをあてにして商売の方法まで変えて待ち構えていた大阪や京都の店が焦る番だった。

***

神戸はそんな町だ。
つまり、神戸を楽しむにはよくも悪くもこの「異国情緒」というものが一つのキーになる。

神戸に住む身からすると、今さら異国情緒でもなかろうという気がしないでもないが、少なくともそれが神戸の町を特徴づける大きなシンボルだ。
横浜まで足を伸ばすならともかく、関西では神戸ほど異国の風を感じる町もそうそうなく、唯一無二といっていい。

観光客は自分の見知らぬもの、そこにしかないものを求めて旅をする。
数多の「異質」を持つ神戸は、わざわざ訪れる価値のある町なのである。

僕のメンバーシップ〈ちょこっと倶楽部~おでかけコース〉では、メンバー限定記事として僕がオススメする神戸の観光コースやデートコースを投稿していくことにしている。
神戸の抱えるこの異質性を常に念頭に置きながら、紹介していこう。

(2022/8/13記)

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