しばらくピザから離れることにする

土曜日、どういうわけか無性にピザを食べたくなった。
そんなことを思えるようになったのは、完全復調も近い証だ。
もう10日ほども体調不良でゴロゴロしているが、これまでピザなんて頭の中をかすめもしなかったから。

思い立ったが吉日、近所のスーパーで既製品の冷蔵ピザを買ってきた。
まだ手作りするほどの元気はないし、宅配料を食べているような宅配ピザはハナから注文する気は起きないし。
買ってきたら即食べてしまいたいほどに身体は欲していたが、1日冷蔵庫で寝かせて日曜日の晩メシにすることにした。
大人なのだ。

最近、毎週日曜日はやることがあふれて多忙なのだけど、それを乗り越えたらがっついてやる！と息巻いた。
毎週日曜の夜には結構ふらふらになるが、昨日はあと少しがんばればピザ！と、鼻先にニンジンをぶら下げられた馬よろしく走り続け、それほど疲れることもなく乗り越えられた。
子供なのだ。

机を片づけ、冷蔵庫に走る。
ピザ・マルゲリータ、早く君を食べたかった。

電子レンジならすぐできるが、食感がソフトになるとある。
それは今の好みではない。
時間はかかるが、オーブンでカリッと仕上げる道を選ぶ。

チーズがグツグツしてきたらできあがりです。
はい、仰せの通り、待ちましょう。

待つこと10分、グツグツカリカリのピザが焼き上がった。
キッチンばさみでザクザク切り分け、そして頬ばる。
あっつ！　うんまーい…？　うまい、これ？

喜んで口に入れたピザは添加物の味しかしない。
体調不良でむしろ感覚が研ぎ澄まされているからか。
口から鼻に抜けるグロテスクな化学臭に面食らう。
チーズとピザソースに入っている香料だ、これは。
ふだん、こんなものを平気な顔して食べていたのか？

やっとの思いで食べきって、ふぅっと一息ついたら…
さっきの化学臭がまた鼻を抜ける。
すぐに口をゆすぎ、歯を磨いたが、そんなことでは消えない。
鼻で呼吸するたび、スーハースーハーと化学臭。
シャワーを浴びようが、うがいをしようが化学臭。
鼻をかもうが、ふて寝をしようが化学臭。

今朝目覚めたら、まだ化学臭がまとわりついているのにはさすがに参った。
鼻にフィットするようにくりぬいたピザを丁寧に両鼻に詰め込んでもここまで強烈な化学臭はしないのではないかとさえ思われた。

無添加の手作りピザでリセットするのがいいように思うが、ピザ怖い…とならないためにも、しばらくピザから離れることにする。
残念だけど。

（2022/11/21記）