「この高鳴りを僕は青春と呼ぶ」感想


本の感想をネットに書くなんて初めてのことだ。
私は本を読んでも、自分の心にさえ残っていればいいと思い、書くのが野暮ったく感じてしまうから。
でも、坂田光さんの「この高鳴りを僕は青春と呼ぶ」という本を読んで、その感想をここに書きたいと思った。みんなに読んでほしいからだ。

著者の坂田光さんはお笑いコンビ・サンシャインのコント師だ。ラジオ「スクールオブロック!」の校長でもある。
この本は、坂田さんの芸人を志すまでの日々と、上京してから芸人として売れるために奮闘する日々を記したノンフィクション作品だ。

なぁ坂田さん。私はここまでまっすぐで最高に熱くてかっけぇ文章、読んだことねぇよ。

まず、つかみでやられてしまった。話には聞いていたものの、想像以上に文章が巧いのだ。彼は芸人で、ネタもとても面白いが、文才まであるのか。ラジオのパーソナリティーも最高だし、どこまですげえんだよ。

深夜の歌舞伎町、吉本の本社で芸人たちがネタ見せをするシーンから幕は上がる。
私は芸人さんの下積み時代がどんなものなのか殆ど知らなかったから、何が起きるのか、とワクワクしながらページをめくった。
この序章の文章は、死に物狂いで努力する芸人さんたちの熱量と、夜の静けさが合わさって、どこか幽玄さまで感じさせた。ここからどんな物語が始まるのかとゾクゾクした。

彼の高校時代のエピソードなどは、面白い話がたくさんあって、何度も何度も声に出して笑った。ネタの内容を文章で説明してるんだけれど、文章でもちゃんと面白いんだよ。
「なんだよそれ!」って声に出してツッコんじゃうぐらい意味不明だけど面白すぎるネタやエピソードで溢れていた。

それと同時に、私がいつもラジオで声を聴いているさかた校長(坂田光さん)は、こんなに大変な窮地を何度も乗り越え、信じられないくらいの努力をしてきた夢追い人なのだと知った。
普通の人なら挫けてしまう場面が何度も訪れるのに、お笑いの夢を諦めずに努力する彼の姿が、ありきたりな言い方になってしまうが、もう、最ッッッ高にカッコよかった。眩しかった。
私も坂田さんのように、一つ夢中になれる素晴らしいものに努力したいって思わされたし、でもそれが未だに出来ない生温い人生を歩んでる自分が苦しくなった。

作中に、坂田さんの大好きな銀杏BOYZやandymoriが出てきて、そのシーンではそれらの曲を聴きながら読んだ。(私も好きなアーティストだから嬉しかった。)
テレビで笑いをとる芸人さん、劇場でライブに全力投球する芸人さん、養成所でお笑い漬けの日々を送る芸人志望の人、そして夢を追いかけて死に物狂いで努力する人達すべてが本当にカッコいいと思った。

最高の青春ノンフィクションとしか言いようがない。
最後の章は、さかた校長とニガミ17才先生が共同で作った、さかた校長が歌っている「心臓の音が聞こえたら」という曲を聴きながら読んだよ。
元々最高に大好きな曲だったけど、本を読んだ後聴くと、歌詞の一つ一つがさらに大事になったんだ。

彼がこれを読んでいてくれたら嬉しい。
平日の夜、毎日教壇に立ち生徒に向けて授業をしているさかた校長はこんなにかっけえ人なんだぜって、更に分かったんだ。
さかた校長が9月末に退任してしまうのが嫌だ。本当に嫌だ。この本を読んで、校長がどれだけ全てに全力な人か改めてわかったから、その悔しさも相当なものなんだと思った。
でも私は、坂田さんがスクールオブロック!の校長で本当に良かったと思っている。
コントも、本も、ラジオも、音楽も、最高だった。ありがとう坂田光さん。これからもずっと応援しています。

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