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海外駐在中にやっておきたいこと

今年も異動の季節が近づいてきました。新型肺炎の影響で時期は多少前後するかもしれませんが、近々海外駐在という方もいらっしゃると思います。今回は、そのような方に向けて、駐在生活を振り返って、私がやっておいた方がいいと思ったことを5つ紹介したいと思います。

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1.駐在期間を意識して、本業の業務に取り組む

①時間は有限、できることは先延ばしにしない

駐在期間は限られており、時間はとても貴重です。駐在先や新しい取引先との関係をつくっていたら、あっという間に時間が過ぎていきます。日本にいたとき以上に1日1日を大切に、無駄にせずに業務に取り組むべきです。

気がついたら、何となく日々が過ぎていた、とならないように、「駐在中にこれだけは達成する」という目標を立ててください。1つでも成果があれば、今後帰任をする上でも、転職をする上でも、自分に有利なように話を進めやすくなります。

また、できることは先延ばしにせず、どんどん前倒しにして進めるべきです。香港では、駐在前に想定していなかった、デモ活動や新型肺炎の流行が起きて、事業が遅れたり、帰国が早まったりしました。海外では不可抗力も起きます。そのときに後悔しないように、できるときにやっておきましょう。

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②1ヶ月の行動計画を立てる

私の場合、1ヶ月程度の行動計画を考えて、その月が終わる頃に実際の結果と比較して、見直しをしていました。定期的に、日本の本社から進捗を訊かれると思いますが、その際、この行動計画・結果から一部を抜粋し、月次報告をしていました。

この報告をためておくと、中間報告や帰任後報告を求められたときも、抜粋して内容を繋ぎ合わせれば大丈夫です。「そのときに何を考え、重視して、その行動をとったか、結果をどう受け止めたか」という臨場感は、時間が経つと忘れてしまいます。「その時」に文章にしておきましょう。報告の構成は、以下の通りでした。

【月次報告の構成】
1) この1ヶ月の目標(プロジェクト毎に箇条書き)
2) プロジェクトの経過報告(成果と課題)
3) 次の1ヶ月の行動計画

オーソドックスかつシンプルな内容だと思います。自分の頭の整理にもなります。

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③帰任の2〜3ヶ月前には今後のキャリアの準備をする

駐在期間が決まっている人はもちろん、決まっていない人も帰任の雰囲気を感じ取ったら、2〜3ヶ月程度の時間をかけて、帰任後のキャリアプランを練り直すと良いです。帰任後は、元の会社に戻るか、転職するか、大きく2択だと思いますが、私の場合、ひとまず元の会社に戻ることにしましたので、その観点から書きます。

帰任の約1ヶ月前には、帰任後の所属が決まって、人事に上げられることが多いと思います。私の場合、駐在前とは別の部署への配属を希望していたため、その新しい部署の上司との相談、元の部署の上司への説明、というプロセスが必要でした。これに約1ヶ月ほどかかりました。つまり、帰任の2ヶ月前には、自分の希望を上司に説明できるようにしておかなければなりませんでした。

私の場合、②でつくっていた報告の内容も活用しながら、

【帰任後のキャリアプラン】
1) 駐在当初の目標(これがどの程度達成できたかも書く)
2) 駐在中の業務の成果(ここに②の月次報告の内容を入れ込む)
3) 帰任後に経験が活かせる分野⇒ 配属先の希望と取り組みたい業務
 (会社にもどのように貢献できるかを書いておく)

の構成で1枚紙にまとめて、上司と相談しました。相談のために帰国できなかったので、テレビ会議で説明をしました。ここまで考えておくと、上司も説得しやすいのではないかと思います。(希望が叶うとは限りませんが、やれることはやっておいた方がよいと考えます)

以上をまとめますと、帰任を逆算して次の動きをとったことになります。

帰任3ヶ月前:帰任後のキャリアプランをまとめる
帰任2ヶ月前:上司に帰任後の配属の希望を伝える
 /異動を希望する場合は、異動希望先の上司にも説明をする

帰任1ヶ月前:上司が人事に配属計画を上げる

元の上司、異動希望先の上司がなかなか納得しない場合は、説得に時間がかかるかもしれません。この帰任1ヶ月前というのがポイントで、ここで上司に、自分の希望が理解されていないと、不本意な配属となってしまう可能性があります。帰任の数ヶ月前から、希望の配属先を勝ち取れるかという前哨戦は始まっていると思います。

もちろん会社によって、人事計画には違いがあると思います。私の場合、基本的に駐在前の部署に戻るという暗黙の了解のようなものがありましたので、帰任後のキャリアの準備を念入りに行う必要がありました。同じような立場の方に参考になればと思います。

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*海外駐在の業務に取り組む上での処世術について、参考になるサイトを見つけましたので、下記、ご紹介しておきます。以下の内容は、特に共感できました。

・日本の本社との関係づくり
・駐在先のローカルスタッフとの関係づくり
・オフになれる場所づくり

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2.自分に投資を惜しまない

①スキルアップのための勉強をする

日本とは働き方が異なるので、日々時間に余裕ができる方もいるかと思います。私は、日本では激務で疲れて、自分の勉強のための時間をとれないでいました。この時間をスキルアップのために投資できるとさらにレベルアップができます。

私の場合、まず語学力をさらに磨きたいと考えました。駐在中の業務だけだとちょっと足りないと思ったので、平日早朝にネットの英語講座を受講しました。夜や休日には、個人的な予定が入ることも多く、そこは断りたくなかったので、朝にしました。(個人的な予定の時間も大切だと、日本を出てより実感しました)

業務だけだと不十分なので語学講座を受けている、という駐在員は多いように思います。私の周りにもかなりいました。会社から補助がもらえる場合もあるので、その場合は、有効活用しましょう。

もちろん、語学以外に、資格の勉強に力を入れても良いと思います。日本への帰国後は、また激務という人も多いでしょう。空いた時間は大切に使った方が良いです。個人的には、朝の時間がオススメです。

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②実際に投資もしてみる!?

これは絶対ではありませんが、投資を始めてみるのもありです。就労ビザがあれば駐在先の国の銀行口座・投資口座を開くことができます。私は投資に全く明るくないど素人ですが、とりあえず少しやってみました。大金を入れる程の余力はなかったので、気持ち程度ではありますが…

投資をやってみて、海外のマクロ経済のニュースをより熱心に聞くようになりましたし、内容もよくわかるようになりました。日常生活への影響よりも圧倒的に早くマクロ経済の指数には影響が現れますね。コンサルの業務でミクロ経済の分析はかじっていたのですが、マクロ経済は詳しくありませんでした。

自分の身銭を切ってマクロ経済の勉強ができます(汗)米中貿易摩擦、新型肺炎流行に伴うサプライチェーンの混乱などが、実体経済よりも早く感じられました。投資家が一番変化を先に感じ取っているのですね。今後、コンサルで新規事業を提案するときにも、投資家の考えを理解しておくのはプラスだと思います。

火傷をしない程度に勉強をしてみてもよいかもしれません。
(儲かったらラッキーぐらいで)

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3.仲間づくりをする

駐在先/取引先の会社以外でも、積極的にネットワークを広げましょう。「駐在員は孤独になりがち」とも言われます。仕事以外に知り合いがいないと、会社と家の往復だけで、駐在の楽しさは半減してしまいます。

日本で好きだった趣味を海外でやってみるのも手です。私の場合は、テニスとハイキングでした。(香港ではハイキングが有名)休日はほとんど家におらず、積極的に趣味の活動に出かけて、人と会うようにしていました。

海外の場合、日本人のコミュニティは小さく、人の入れ替わりも激しいので、新しい参加者にも寛容だと思います。日本では出会わなかったような業種、立場の人と簡単に知り合えたりもします。私の場合、経営者、料理長などなど!日本では会いづらい同業者ともなぜか海外では仲良くなれます。個人的な感想ですが、海外で働いている日本人は、魅力的な哲学を持った人が多いです。

もちろん、日本人だけでなく、現地の方のコミュニティに入っていっても良いでしょう。私も駐在が始まった直後は、色々とイベントを探して参加していました。途中から、デモや新型肺炎で、現地のコミュニティには参加しづらくなってしまったのですが…(特にデモのときは、あまりそういう雰囲気ではありませんでした)

帰国後も付き合える仲間づくりをお勧めします!

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4.駐在先近辺を旅行する

日本にいたときよりも、安く、短時間で近辺が回れるようになります。連休があれば、迷わず、旅行に出かけていました。香港の場合、中国大陸やASEANに近いです。飛行機だけでなく、高鉄を使っても色々行けます。

1年間に、上海、浙江省、四川省、湖南省、福建省、広西チワン族自治区、広東省、台湾、ベトナムに行きました。美しい景観、美味しい食事を楽しんだのはもちろんですが、現地の生活、人々の優しさに直に触れることができました。今まで中国は、北京ぐらいしか行ったことがなかったのですが、中国はもっと多様性に富んでいました。もう少し深く知ることができたと思います。
(この経験はまた別の機会に書ければと思います)

日本の離島にも近く、石垣島と西表島にも行きました。石垣島には直航便が出ているのです。香港人も新型肺炎が流行している、このようなご時世でなければ、たくさん訪れています。

少し出費はありますが、連休はちょっと遠方までの旅行を推したいです。

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5.駐在中の経験をブログなどにまとめる

これも絶対ではありませんが、お勧めしたいです。駐在員はまだまだ少ないですから、駐在員による発信は、これから駐在したい人にとって、参考になる情報の宝庫ですし、「次は自分が!」というモチベーションに繋がっていくかもしれません。

また、自分があのとき、どのような経験をして、何を感じたのか、記録として残すことができます。後から振り返ったり、読み返したりできる記事は、自分にとっても大きな財産になるのではないでしょうか。

私の場合、駐在期間が元々短いことを知っていたので、記事をまとめる時間もちょっと惜しく、リアルタイムに小まめに記事にしていませんでしたが、今、覚えているうちに少しでも残せればと思っているところです。

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なお、「駐在員がブログを始めるべき3つの理由」という記事がありましたが、この内容にとても共感しました。下記、紹介しておきます。

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これから駐在する方に、お勧めしたいことを5つご紹介しました。少しでも参考にしてもらえると嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。

読んで頂いてありがとうございます!「参考になった」「楽しい内容だった」と感じてもらえたら嬉しいです。頂いたサポートは、今後の記事作成のための調査研究に活用させて頂きます。