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”神さま”(森羅万象)とつながる暮らし。「服を着る」ことが大きく変わる。

viehula!のテーマである「地球とつながるプリミティブな暮らし」。それはハワイアンやアイヌ、古代日本の歴史を紐解けば、八百万の神とつながる暮らしであることがわかります。

自分以外のすべてのものを大いなる意志が宿る”神”ととらえて、つながりの中で生きる感覚。たった100年前までは日本にも当たり前のように根付いていたものです。

それが急激な科学の発展と人口増加によって、いつのまにか人間しか目に映らない世界に暮らすようになり、今の日本と同じ暮らしを世界中の人がしようとしたら、地球2.8個分も必要となるという「地球=”神さま”を消耗する」暮らし方になっていました。

”神さま”を消耗する暮らし。着ることが一番ズレている!?

そんな大きくズレた暮らし方からシフトしたいと思い、ミニマルライフ、シンプルな暮らし、サスティナブルな選択に興味を持つ人が増えています。

その中で実は一番大きくズレていて、これから考えていく必要があるものが、「着ること」です。

科学の発展によって物質的に豊かになったこの100年は、何を買うか、何を所有しているかで幸せが決まる時代でした。

そんな中で服は、自分の資産・財産を見せびらかすのに格好の材料となりました。そのため次々に発信される新しい流行の服を買い続けられること、人より高価な服を買えること、人よりもユニークな服を持っていること、などが富の象徴=幸せであると考えられていました。

その結果、アパレル産業は石油産業に次ぐ環境汚染産業となりました。国内だけで年間33億着もの服が捨てられ、今となってはもっともサステナブルへの変革が求められる業界となりました。

100年前まで、服は作るものであり、祈るものだった

では、科学が急発展する前の100年前までは着ることにはどんな意味があったのでしょうか。

寒さや暑さから身を守る、という機能的な意味以外に、衣服は「もう1枚の皮膚」であると言われています。自分の身体の一部といえるほどにぴったりと身に着ける衣服。身体感覚を延長して世界とつながるためのものであったと言われています。

様々な民族衣装には、襟や袖口、裾など衣服の開いているところや背中には「魔除け」のために刺繍や鈴などの装飾品を施しており、衣服によって結界を築く文化がありました。

また日本でも子供の着物には「背守り」と呼ばれる魔除けの糸印を背中に縫い付ける習慣がありました。

ハワイでは髪や骨と同様、衣服にはその人のマナが写ると考えられ、むやみに人に貸したり共有することをせずに大切にしてきました。

国立民族学博物館を訪れてみると、そこには世界各地の様々な民族の伝統的な衣装が展示されています。植物から糸を紡ぎ出し、それを織って布地にし、植物で染めて裁断して縫い合わせて、衣服を作るプロセスそのものが祈りであり自然との対話だったことがわかります。

服を選ぶ基準を変えて、着ることの豊かさを取り戻そう。

プリミティブな時代からつながる本来の着ることの文化が、100年も途絶えてしまっている現代。それでも、もっと服を減らしてミニマルに生きたい、流行を追いかけることはもうしたくない、そんな発信がSNSなどでも増えてきています。

本当の着ることの豊かさを取り戻すために、vehula!ではまずは下記の3点をおすすめします。

1、流行にとらわれず、自分のスタイルに合う物を10年見通して買う。

シーズンごとに流行が作りだされ、新しい服を買いたくなるように仕掛けられたアパレルの世界。世界的にサスティナブルな方向へ向かいつつあるものの、いまだ流行を作り出す流れが存在しています。

新しいものを買わなきゃ、という焦燥感に一度見切りをつけて、本当に自分に似合うものは何か、自分らしいスタイルとは何かを考えてみましょう。

着ることは自分の存在の延長。自然が好き、ヨガが好き、フラが好き、海が好き、自然体の自分が居心地が良いと感じる暮らし方がそのまま着ることの選択になってくるのではないでしょうか。

インテリアをシーズンごとに変えることがないように。家具選びと同じような視点で、心地良さ、スタイル、素材、長い間使える耐久性などの観点から服選びを考えてみてはいかがでしょうか。

またスタイルが見えてきたら、10年愛着を持って着れる服が少しずつ増えてくるはず。その時には流行を追いかけてついつい買ってしまったものたちは、リサイクルに出すなど手放してクローゼットをシンプルにしていきましょう。

2、天然素材、天然染めのものを着てみる。

衣食住すべてが自然の恵みであった時代。その土地土地に適した植物で衣服も作られていました。湿度の高い日本においては吸湿性の高い綿やさらっとした麻の素材が良く用いられていました。

また藍を中心にした天然染めが主流だった時代、藍は「Japanブルー」と呼ばれていて、鎖国後に日本を訪れた外国人たちがその青の豊富さ、美しさに驚いたそう。

明治23年に日本に渡ったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)氏の言葉では

「この国は大気全体が、心持青みを帯びて異常なほど澄み渡っている。」というものがあり、それほどに道を行く人々の服も、暖簾も、すべてが藍の青に溢れていたようです。

そんな伝統的な天然素材・植物の色に身を包んでみると、自分の存在そのものにしっくりと馴染むような不思議な感覚を覚えるかもしれません。有機栽培のトマトを始めて食べた時に、その香りや味に、トマトってこんなに美味しかったの!?と驚くような感じ。大量生産で使い捨てのように作られた衣服にはない着ることの豊かさを実感できます。

天然素材、天然染め製品は価格帯は高いものが多いですが、10年着るサイクルを考えればトータルではお財布に優しくなってきます。

3、オーダーメイド、ハンドメイドの服を選ぶ

1,2のステップがしっくりくるようになったら、最後はオーダーメイド、ハンドメイドの服選びに挑戦しませんか。既成品の衣服はどうしても在庫ロスがでるため、一定期間が過ぎれば未使用のものがそのままゴミになっていくという流通から抜け出せません。

注文してから時間がかかる、費用がかかる、と懸念されがちなオーダーメイドですが、自分のスタイルがわかって10年着れるものを選ぶようになれば苦にならないはずです。

またハンドメイドのマーケットプレイスや、クラウドファンディングなら、手軽にオーダーメイドやハンドメイド品を試すことができます。

いかがでしたでしょうか。本当の着ることの豊かさを実感するには、糸を紡いで生地を織るところから…といいたいところですが、さすがに現代の生活の中では想像が難しくて、viehula!でもその方法はまだ探索中です。

これからも、”神さま”とつながる豊かな着る文化について、一緒に考えていければと思います。

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