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#51 心をさらけ出す・人生を語るフランス語

stand.fmで紹介した言葉と収録内容の概要です。
音声はこちらからどうぞ。 
https://stand.fm/channels/5fafb858c646546590cea001

YouTubeでもお聞き頂けます。


**********************************Tu sais, Charlie, il faut aimer dans la vie, beaucoup…
Ne jamais avoir peur de trop aimer.
C'est ça le courage.
Ne sois jamais égoïste avec ton coeur.
S’il est rempli d’amour, alors, montre-le.
Sors-le de toi.
Il  n'y a pas assez de cœur courageux.
Il n’y a pas assez de coeur dehors…

あのね、シャーリー、 生きていくうえで、沢山愛さなければいけないんだよ。
愛しすぎることを決して恐れちゃいけない。
それが勇気というものだ。
自分の心に決してエゴイストになってはいけない
心が愛で満たされたらそれを見せて。
自分の中から外に出して。

勇気ある心が十分に見当たらないんだよ。
心が、十分にさらけ出されていないんだよ。

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Samuel Benchetrit ( サミュエル・ベンシェトリ)の小説『Le coeur en dehors』の一節です。

この小説のストーリーは、フランスに住む、マリ共和国出身のシャーリーという名の11才の男の子が主人公です。
彼は郊外のHLM(低所得者向けのマンション)に住んでいます。
ある日の朝、学校に行こうとしたときに彼の母親は警察に突然連行されます。
滞在許可書がないことが理由で母親はそのまま拘留されることになります。

これを皮切りに、優しくてユーモアの精神があるシャーリーを通じて、読者は郊外の貧しい地区に住む彼の暮らしや日常や、友人、家族を知っていくことになるのです。

サミュエル・ベンシェトリは、この小説についてのインタビューでこう語っています。
「メディアや政治家は、HLM(低所得者向けマンション)がある貧しい郊外の地区を危険で、犯罪が多い場所というイメージばかりを取り上げていますが、それだけではありません。ポジティブな面もあるのです。郊外に暮らす若者の中には素晴らしい才能を持っていて、その才能を開花させた人達もいます。裏淋しい暗い雰囲気の地区でも、そこに住んでいる人々には、ユーモアがあり、人情があり、助け合う現実があるのです。」

Samuel Benchetrit ( サミュエル・ベンシェトリ)は、小説家だけではなく、映画監督、脚本家、俳優でもあります。
人生を語るフランス語で何度かとりあげた俳優、ジャン=ルイ・トランティニヤンの亡くなった娘、マリー・トランティニヤンと結婚していたこともあり、彼女との間には俳優になった子供がいます。
(マリー・トランティニヤンは、サミュエル・ベンシェトリとの離婚後、当時のパートナーの暴力で亡くなりました。)

この本は、残念ながら日本語訳は出版されていません。
本のタイトル『Le Coeur en dehors 』、直訳すると『外に出ている心』。
ご紹介した一節の意味合いと、サミュエル・ベンシェトリのインタビュー聞いた上での私なりの意訳は『心をさらけ出す』です。
 
サミュエル・ベンシェトリのインタビューです。
バックに流れているのはマリの音楽です。


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