忘れられない日

芸人を志したのは高校生からになる。それまでの学生時代は、時々ウケを狙って発言してみたり、笑いが取れたら嬉しかったりで人を笑わせる事自体は好きな少年だった。


そんな学生時代の中で人を笑わせる快感を猛烈に猛烈に感じる出来事が二度あった。


一度目は小学生の頃、図工の授業中に先生が「家から持ってきた布やボタンを使って海の生き物を作ってください」
と生徒達に説明をしていた。

その瞬間、後ろの2人に「じゃあ俺、魚肉ソーセージ作るわ」と一言投げかけた。

海の生き物→魚→魚肉ソーセージという無垢な発想である。


突然、不意をつかれた2人はまさかの大ウケ。
笑い声が教室中に響き渡り、だんだんと先生がこちらを睨み始めていたので「もう静かにしてくれ」と騒音の元凶ながら二人に注意したと言う話。

今度、海の生き物を作る機会があれば是非「魚肉ソーセージ作るわ」と発言してみて欲しい。


二つ目は小学生の発表会「西遊記」の学年全員での通し練習中に起きた話で自分の役は孫悟空の分身だった。

舞台は最終局面、孫悟空の分身たちが一人一人自分の見せ場で敵を倒していくというシーン。自分が敵を倒す順番は、数人いる分身の中で最後の役だった。

想定してた殺陣(たて)は上から振り下ろされた敵の攻撃を如意棒で防ぎ、敵の武器を弾いて迎え撃つという単純なものだったが、自分の一つ前の分身役だったTくんが戦いの最中、自然に敵の武器と自分の武器が入れ替わってしまうという小学生にしては工夫が凝らされた発想で皆の笑いをかっさらっていた。

「ウケてる...」Tくんの次の出番の自分は焦っていた。それまで同じような殺陣が続いてたのもあり、急に新しいパターンを提示されたら最後の自分は何をすれば良いんだと、自分は僅かな時間で頭を張り巡らせる。しかし時間はない、前に出て敵の攻撃を如意棒で防いだその瞬間、工作で作った如意棒を力づくで半分に折り曲げ、一言

「やってもぉたぁぁ!!」

笑い声が返ってきた。大爆笑ではなかったが即興で考えたもので笑いが取れたという事実が嬉しくて非常に快感だったのを覚えている。
その後、「やってもぉたぁぁ!!」を採用し、如意棒の内部に輪ゴムを取り付け最終的にヌンチャクになるという形に変え、小学生の前では反応が良かったのに保護者の前ではひとつも笑いが返って来ず、この時に大勢の前でスベるという恐怖も覚えたのだった。

以上が未だに記憶に残っている小学生の頃の体験。この時に笑いの快感を覚えていなかったら芸人なんか目指してないし目指す人も自分と似たような体験をしているのだろう。なんにせよ自分の中で大切な思い出である。

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