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国産の肉は環境にやさしい、はウソか。

持続可能性に配慮するなら、国産の肉を食いましょう、なんてウソっぱちだ!と言われたら

単純に否定できません。

日本で牛を育てるのは、世界の主な生産国よりも環境負荷は少ないと言えます。
でも、エサをかなり輸入に頼っているので
その膨大な量の輸送と、飼料の原材料の生産については
環境に大きな負荷をかけています。

国内で生産されているエサもありますが、大部分は輸入です。
エサも国内生産を主体にできたら、もっと地産地消で素晴らしいじゃないですか!
というのが今日のお話。

牛のエサの国内生産というと
農家自身の自給飼料(自分ん家の牛に食わすエサを作る)が基本です。

日本の狭い土地事情では、牛を育てず販売専門で大量に家畜飼料生産をするのは効率が悪いですし

牛は本来、循環式農業の要であり、草を食い、糞尿を土に還す存在です。
草→牛→堆肥→土→草
の小さな循環が各地で回っているのが理想でしょう。

小さな循環というのは、牛と草地の距離が近いということです。
つまりは自給飼料(放牧を含む)ということになります。

一方、効率からすれば、安くて品質が安定している輸入品を使うのは当然です。

ただ、グローバル化、合理主義では正しかったシステムから
持続可能性の面で次々に課題が発生しているわけで
一見して非合理なようで長期的に安定的なシステムを再構築しなければならないわけです。

難しい言い方をしてしまいましたが
現在、牛飼いを廃業に追い込みつつあるエサ代の高騰など
輸入依存ではこうなることも想定し得たことで
実際、自給飼料主体で特別苦しくない酪農家もいるわけです。

外部への依存度が高いと、環境変化で全滅しやすい。
平時のコストは若干上がるが、劇的な環境変化でも絶対死なない独自の道もある。
進化論のような話ですね。
「一見して非合理」を簡単に捨てないことは大事です。

日本には非効率で未利用の土地がたくさんあります。
中山間地域の耕作放棄地や山林です。

林間放牧はシルボパスチャーとも呼ばれ
温室効果ガス排出量は少なくなり、炭素隔離量も増え
家畜の暑熱対策にも優れています。

森林ノ牧場のジャージー牛たち

あるいは生産性が非常に低いうえに
需要を無視してい生産され続ける稲作とももっと連携できるはずです。
(水稲農家を批判しているのではなく、稲作政策への提言です。)

ルールとして、使用する草地面積に応じた飼養頭数になるようなインセンティブを作ることで
過剰な規模拡大を抑制し、飼料自給を推進することも可能でしょう。

国内で家畜飼料を生産する余地は十分にあると感じています。
現在のスタンダードからすると非合理で、課題も多いのは承知ですが
輸入飼料に頼れない状況はいつまで続くのかわかりません。
本気で考えるのにはいい機会ではないでしょうか。

技術的な解決も進んでいます。

国内での確保が難しくなっている家畜向け蛋白質については
海外の熱帯雨林を伐採して栽培された大豆ではなく
昆虫の飼料化に期待を寄せています。
コオロギの養殖は環境負荷も非常に小さいですし。
(昆虫食ではなく、昆虫の家畜飼料化です。)

また牧草についても
GrassGoのような土地も資源も極限まで少なくて済む
工場生産が始まりました。


ということで
日本の畜産の持続可能性のために
国産の家畜飼料を生産しよう!という

国内の未利用資源である耕作放棄地、山林
あるいは飼料生産を後押しするルールづくり
また技術的な解決策の進歩についてお話ししました。

つづく?

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