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『フミオ劇場』まとめ

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昭和初期生まれ“めちゃくちゃ系父“のエピソードを小説風連載にしたものです。 家族が被った数々のネタを書き残しておこうと、昨年よりnoteで始めてみました。 80%実話で、20%…
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2022年6月の記事一覧

フミオ劇場 1話『ワシの誕生日は3つくらいあるんや』

フミオ劇場 1話『ワシの誕生日は3つくらいあるんや』

「ワシの誕生日は三つくらいあるんや」

フミオはそう言うと、マッチでショートホープに火をつけた。

「役所へ届けたのも学校に出す書類も毎回ちごうとった。だいたいそのへんやろって。まあ昔はみんなそんなもんちゃうか」

まるで他人事のような口ぶりだ。周囲が「大変ですね」「かわいそうに」「えらいことなりましたな」と言う時ほど「世の中そんなもんじゃ」と、軽く流す。逆に他人にとってはどうでもいいことが、フミ

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フミオ劇場 2話『フミオは次男(母・孝江の回想)』

フミオ劇場 2話『フミオは次男(母・孝江の回想)』

 【第2話は、フミオの母孝江の回想バージョンです】

孝江は4人の子を産んだ。邦男、フミオ、信子、由紀男。総じて大人しい普通の子。次男のフミオを除いて。

「孝江さんとこの次男、フミオ言うた?あの子はなに考えてるのか、よお分からん子やね」

「あんじょう育ててやらんとあかんよ」

 孝江は耳が痛かった。言われなくても分かっている。

 毎年夏休みに家族で行った和歌山の白良浜でも、フミオだけ「海はい

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フミオ劇場 3話『初めてお見合い相手(妻・三枝子の回想)』

フミオ劇場 3話『初めてお見合い相手(妻・三枝子の回想)』

 【3話はフミオの妻となる三枝子目線です】

 親に言われるがまま、初めて見合いをしたら、1週間後には結婚が決まった。

 3ヶ月後にはフミオの嫁になった。

 三枝子の気持ちは重要視されなかった。

 身体が弱く入退院を繰り返す父に代わって、母が懸命に働き5人の子を育てた。三枝子は長女で弟と3人の妹がいる。

 母の願いはただひとつ、娘たちが成人したら順にお金持ちの家に嫁がせて、安心することだ

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