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日本語能力試験が実力について一ミリも語らない

どうも、ベロニカです。


日本語学習者なら、誰でも頑張って目指すゴール。日本語能力試験1級。

私もそうだった。

3級をクリアしたら、2級を目指して、クリアできたら、1級に挑戦。

しかし、実は、1級に合格したとはいえ、あまり嬉しくなかった。

頑張って勉強してやっとこの誇らしい結果を手に入れたのに…

この気持ちには大きな理由がある。

日本語能力試験は実力を証明しない試験だからだ。

ん?どういうこと?

実は、以下の話を日本人にするたびに、毎回驚かれるw

日本語学習者と同じように日本語能力試験に合格するのが目標で、1級という夢を追いかけていた。

自分がまだ持っていなかった時、取得できていた人を羨ましく思っていたりもした。

徐々にそれぞれのレベルに合格し、いつか1級証明書をゲットするのは、はっきりしたゴールだった。

2級を取ったのはいいけど、1級を目指せという意欲が湧いてくるだけだ。



月日が流れ、留学することになった。

様々な留学生と日本人と共に勉強するという一年で、どれだけ日本語が上達できるか楽しみだった。

留学生向けの授業は初級・中級・上級に分けられて、自分のレベルに応じて勉強していくという感じだ。

最初の授業では、先生が皆に紙一枚を渡し、記入を求める。

内容は、今まで使ってきた教科書の名前と日本語能力試験何級かと。

結果、留学生の中で日本語レベルが最も高かった私は、当然上級だと思いきや、そのどころか中級に入れられた。先生に抗議しに行ったら「上級は1級のみ」「あなたはまだ2級なので」と言われる。
納得できない私は、先生が決めたことについてどうにか説得しようとしていたが、ダメだと。ベロニカが諦めそうにないと先生が理解したからか、結局「では、冬学期は中級で、勉強ができれば夏学期は上級に進んでいい」と提案してくる。仕方がないので、賛成した。

上級に行ける1級を持っている留学生たちが、ちゃんと喋れないし、基礎の基礎のミスを犯しているのに、可笑しいと思ったのが最初のきっかけだった。



ある授業のとき、1級を持っている人が「3年生で教科書はこんな感じだよ!」と内容を見せてくる。「3年生はこれを?!うちは1年生の内容だよ?」と私もうちの後輩も驚いていた。
じゃ、どうやって1級を取れたのかさらに謎が深まるだけだった。



夏学期が来た。
そして、ベロニカが中級の授業をさらばにして、勝手に上級者向けの授業を登録した。

「アカデミックリーディング」という留学生向けの科目で、唯一登録した授業だった。

(申し訳がないが、留学生向けの授業が簡単すぎて全然挑戦にならなかったので、普通の授業を中心にしていた)

最初の授業では、先生がもちろんベロニカを見て「あなた中級なのに、何故ここに?」と聞いてくるので、状況を説明する。先生は私を疑っているかのような目線を送ってくるけど、結局許可をくれる。

やった!

と喜んでいたら、配られた資料を見ると、自分の目を疑う。

アカデミックな内容どころか、簡単なエッセイだった。

何これ?? どういうこと???

先生は授業の内容を説明する。エッセイを読んで、その内容を自分の言葉でまとめて、そして感想文を書く。それだけだ。

エッセイを読んで、「だれか、お話をもとめてくれない?」と先生が人の声を求める。

しかし、誰も何も言わないので、先生は人を呼び出す。選ばれた人は大して何も言えないため、先生は次の人を。その人もダメ。結局ベロが手を挙げて話をまとめると、先生は大喜び。

エッセイの感想文を直してもらったら、みんな赤い海のような紙をもらっているのに、ベロニカだけは特に何も・・・

そして、この繰り返しの結果、話をまとめてもらいたがる先生は、周りの人たちに何も求めず、速攻「ベロちゃん、お願いします」と毎回呼んでくる。


あまり知られていないけど、日本語能力試験はただのテストで、文書を書くこととか、面接または会話の試験がない。ABCDの中から、最も当てはまる答えを記入するだけだ。
そのため、暗記ができればまたは運が良ければ、誰でも合格できるけれど、話せるかどうかは話が別だ。1級を持っていても、ちゃんと話せない人が結構いる訳だ。

会話の試験がない限り、人の実力が分かるわけがない。せめてエッセイを書かせば・・・


留学から帰った私が、1級に挑戦したところ、合格だった。

今でも「こんなに日本語が喋れるので、きっと1級だよね?」とよく言われる。

その度、「持っているんだけど、あれ意味ないよ」と答えるようにしている。そして、興味を持ってもらい、この記事のようにお話をする。


ちなみに、私からしたら、1級を持つのが当たり前で、もっと難しい試験があればいいのになぁという夢を見ているw 
(まだ1級を持っていない人にめっちゃ怒られそうw)

しかし、事実だ。上を目指している人なら、誰だってそう考えているはずだ。

「まだ足りない」と。


1級より難しい試験がないし、日本語をもっと上手になりたいという欲望があるため、数年前にnoteを始めた理由一つだ。

本を日本語で読んで、Twitterとnoteを日本語で書くという繰り返しだ。

この中途半端な日本語を上達させたいからだ。



外国人を採用している日本の会社の人たちと話すたびに、皆が口を揃って同じこという。
履歴書をもらった段階で、日本語能力について何かを参考にしないといけない。そのため、2級及び1級を求めるんだけど、面接を受けてもらったところ、実際ちゃんと話せる人がなかなかいないので、大変だと。


それはそう。

ABCD式のテストは実力について一ミリも語らないからね。

人の実力がアウトプットで分かるわけだもん。

だから、日本語能力試験の形を改善するべきだと強く思う。





最後に

ベロニカがこんな記事を書いたところで、何も変わらないと分かっているけれど、実はこうだと、日本人の皆さんに知っていただければ、それだけで十分だ。

そして、日本語能力試験を頑張っている皆さん、ファイトだ!




応援されるとベロニカは空を飛びそうになるほど喜びます。