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1月の読了

1月は良書にたくさん出会えてほくほくです。4冊ご紹介。
(結構長くなってしまったので、興味のあるものからどうぞ)

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「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考(末永幸歩)

「13歳からの〜」というタイトルに遠慮せず、周りの大人みんなに薦めて回りたい。めちゃめちゃ面白かった。美術展に行く前にこれ読んで頭を柔らかくすれば、きっと10倍くらいは楽しめるのではなかろうか。

「美しい絵とは?」と考えたとき、私達はどうしてもレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロやルーベンスやカラヴァッジョのような写実性の高い崇高な絵画を想像するし、人間の絵に色を塗れと言われれば肌を肌色で塗るし、“アート”とは美術館に飾られた、世の中が良いと言ったものを言うと思っている。
そんな凝り固まった価値観を優しく溶かして、アートを見る視野をぐーーーーーんと広げてくれる一冊だった。

特に「変と思っても良い」という言葉は大きい。
評価されているものを変だと思うのは、世の中の価値観に背いたり“巨匠”を否定するような気持ちになるからなかなか難しい。「現代ではこれを素晴らしいと評価しているんだ、そうかこれは素晴らしいものと思うべきなんだ」と自分の価値観を世の中の価値観がべったり上書きしてしまう。そこを破れないと、新しい視点って多分出てこない。

「岩の上の子供」アンリ・ルソー 1895-1897年頃

アンリ・ルソーの作品も、今こそ「おお…」と見入ることが出来るけど心の底に見え隠れする「なんか…変!」という気持ちを抑えなくてもいい。(当時のルソー本人は超真剣だったらしいけど笑)そしてこれはこれで、かわいいよね。



文中で作者は、自分の妻の顔にビビッドなグリーンを使ったマティスの絵についてこう評価している。

従来の絵画では、「色」は描く対象物の固有色を表したり、世界を目に映る通りに書き留めたりするために使われてきました。

マティスは《緑のすじのあるマティス婦人の肖像》によって、「目に映るとおりに世界を描く」という目的からアートを解放したのです。

「『自分だけの答えが見つかる』13歳からのアート思考」末永幸歩

それで思い出したのが、オランダ・インドネシアの画家、ヤン・トーロップの作品。

「マリー・ジャネット・ド・ランゲ婦人の肖像」ヤン・トーロップ (1900年) 

綺麗な点描画だなあ、と思う。
きっと大多数の人はここで終わるけど、その先も考えてみる。

よく見ると、肌の大部分の色は水色や薄いパープル。髪の毛も黒や茶色ではなく明るいブルーや黄色、ピンクだって見える。眉は緑?
文章にするととんでもなくカオスな人間だけど、作品になると違和感なく入ってくる不思議。結局私達は先入観でものを見てしまうことがよくわかる。


自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義(ブライアン・R・リトル)

自由特性理論自分にとって大切な行動のためなら人は自分の元来の性格(パーソナリティ)を超えた自分になれる」という概念がとても良かった。

人は四六時中同じテンションや性格ではいられないし、場所や相手によって少しずつ性格を使い分けているものだと思う。
そして「本当の自分」と「演じている自分」で分けて、大抵は嫌な方を「本当の自分」だと認識してつらくなるものだと思う。(私はそう)

でもこの本では、そもそも自分は複数の自分で構成されているということを教えてくれる。
良い時も悪い時もまとめて一人の自分。多面的であって当たり前。
考えてみればまあそうなのだけど、改めて言われるとなんだかホッとした。

自分の中での対話は新たな発見をもたらしてくれますが、同時に受け入れることが困難なものにもなり得ます。なぜなら、あなたは何よりもまず、多面的な自分を受け入れなければならないからです。

読みながら、森絵都さんの「カラフル」を思い出した。

「みんなそうだよ。色んな絵の具を持っているんだ。きれいな色も、汚い色も。」
「この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。どれがほんとの色かわからなくて。どれが自分の色かわからなくて。」

「カラフル」森絵都


スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)

2021年で1番売れた本なのだそう。読んで見れば超納得、目から鱗がばさばさ出た。
kindleで買ったのだけど、これを電子端末で読むことの罪悪感よ!笑

誰かと食事をするときにスマホを鞄にしまうのか、裏返しにしてテーブルに置くのか。ここには天と地ほどの差があるということが理解出来てよかった。私は今後、絶対に鞄にしまう習慣を手放さないと思う。

スマホというハードウェアだけでなくて、SNSの影響についても丁寧に描いてある。私自身、note含め多くのツールを楽しく使っているけど、上手に距離を保っていこうと改めて思った。

現在の私たちは何百万人もの相手と張り合っている。何をしても、自分より上手だったり、賢かったり、かっこよかったり、リッチだったり、より成功している人がいる。ヒエラルキーにおける地位が精神状態に影響するなら、この接続(コネクト)された新しい世界―あらゆる次元で常にお互いを比べあっている世界が、私達の精神に影響を及ぼすのはおかしなことではない。

「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン

脳の仕組みや報酬系のこともわかりやすかったな。
ドーパミンはあくまで報酬を受取るための行動を起こさせるのが目的のなんとも無責任なやつと認識できた。笑
スマホに限らず何か欲求に負けそうになった時は「あぁドーパミン来たね、はいはい」とワンクッションおいてみようと思う。


最強脳(アンデシュ・ハンセン)

スマホ脳とセットで購入。
前者はスマホが与える影響について掘り下げてあるのに対して、こちらは脳の仕組みを使って「ストレスに強くなるには」「集中力を上げるには」「発想力豊かになるには」の具体的策を教えてくれる。

報酬系の話は通ずる部分があるし、スマホ脳よりも内容がポジティブなので(笑)、①「スマホ脳」→②「最強脳」の順番で読むのがおすすめ。

脳科学者という権威性抜群の著者がズバッと言ってくれるのはめちゃめちゃ身に入るし、やってみようと思える。最強脳になりたい。

運動(しっかり身体を動かす運動)をした後にはドーパミンが出ます。ドーパミン以外にも幸せを感じるエンドルフィンが出ます。(中略)ここで言っておきたいのは、運動の後にもらえるドーパミンの方が、スマホからもらえるよりずっと量が多いということです。

「最強脳」アンデシュ・ハンセン



気になるものはありましたか?
今年もたくさん読書楽しむぞ〜〜〜!では!


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