Jリーグ村井チェアマンの講演がただただ素晴らしかった話
今日受講したJリーグ村井チェアマンの講演がただただすばらしかったので備忘の意味も込めて内容や感想をしたためるやつ。
講演について
立命館大学アカデミックセンターのオンラインセミナーでタイトルは「コロナ禍でJリーグを経営する」。Zoomのウェビナー機能を利用して実施されました。
新型コロナウイルス発生後の村井チェアマンの判断・動きは素人目から見ても果断で明確で素晴らしいものだなと感じていました。春先の中断決定時の会見の誠実さ、明瞭さが特に印象に残っています。
そんななか、偶然にこの講演があることを知って興味を持ち、本日受講しています。軽い気持ちで受講したのですが素晴らしいものでした。
講演の概観
講演の流れはオーソドックスに自己紹介から始まり、講演パート約70分、QAパート約20分というものでした。
序盤に受講者のJリーグ観戦状況をヒアリング。受講メモからグラフ化すると以下のような感じでした。
まあまあ受講者のJリーグ観戦状況が多様ですね。村井チェアマンもこういう感じならあまりJリーグのマニアックなところに踏み込まないようにしようかな。なんて仰っておられました。
さて、ここから講演の内容を紹介していきます。内容を詳細に書く感じではなく、特に印象に残ったポイントを記載していければと思います。わたしの印象解釈による部分が多分に含まれますので、講演内容を100%正確に表現したものではないですが、ご了承いただければと思います。
学び1「迷ったら緊張する方を選ぶ」
講演を通じて村井さんが仰っておられたことの一つです。ロベルト・バッジョの「思いついたプレーのなかで、いつも一番難しいものを選択することにしている」になんだか似ていますね。
村井さんはああ見えて大変な緊張しぃだそうです。大人数の前に立つと大変緊張してしまう。と(まったくそうは見えないですが)。そんな村井さんですが会社員時代にご自身の「緊張」体験を省みるなかで、一つの気づきがあったとのことです。
それは、「どうでもいいこと」や「ありえないこと」については緊張しないということ。自分にとって大事なことや大きなものを獲得できる機会のときに緊張しているのだ。ということでした。
その気付きから、ご自身が「緊張するだろうな」と思う状況を選択するということをポリシーとして決めている。というお話でした。
QAでもこの点について質問がありましたが、小さなことでも少しずつでも「緊張すること」を選択するようにしていくとよいですよ。とアドバイスされていました。
学び2「スピード」と「判断軸」
次の学びは「スピード」と「判断軸」です。ここではVUCAのフレームワークを使ってお話をされていました。
新型コロナウイルスが発生し、Jリーグの中断を決断されたころ、今以上に新型コロナウイルスについては分かっていないことが多かったと思います。VUCAフレームワークでいうなら、行動の効果について「予測不能」で、現状について「未知」の「曖昧」という状況に置かれていたと仰っておられました。
そんななか、村井さんの動きはおどろくべきものだと感じました。
国内感染者が1名という1月22日のタイミングで各クラブにコロナ窓口担当を置くことを指示されています。そして1月27日にJリーグ幹部に向けたレターを発行して新型コロナウイルスに対するリスクシナリオの作成を指示、その後、2月8日のゼロックススーパーカップ開催のためにマスクの手配などの動きにつながっていきます。
そこで仰っておられたのが「スピード」です。状況を調べて調べて判断するという時間がなく、また誰もが新型コロナウイルスについて分からない状況です。責任者として村井さんは、今持っている情報を丹念に分析し、「自分の心臓と対話」をして判断をしていったとのことです。「スピードは本気度の代替変数」という言葉で表現されていて、大変印象に残りました
また、VUCAにおける「曖昧」という状況のなかで村井さんが判断の拠り所にしたのはなにかというと、Jリーグの理念だったそうです。
Jリーグ理念
一、日本サッカーの水準向上及びサッカーの普及促進
一、豊かなスポーツ文化の振興および国民の心身の健全な発達への寄与
一、国際社会における交流及び親善への貢献
このJリーグの理念に照らし、新型コロナウイルスに対するプライオリティを以下のように定め、内外含めて広報されています。
①国民の健康を第一に考える。
②スポーツ文化を守り抜く。(どんな努力を重ねてもスポーツを続ける)
③ファン、サポーターとともに。
スピード感を持った判断をするという覚悟を決め、ブレない判断をするための判断軸を明確化し、そして内外にその判断軸をオープンにすることでノイズを減らし味方を増やす。大変秀逸だなと感じました
学び3「晒して結束する」
次の学びは「晒して結束する」です。こちらも講演を通じて何度も仰っておられたニュアンスです。「晒す」は情報公開やオープンにする。という意味合いですね。
特にオープンにすることの大事さは何度も触れられていました。
これは新型コロナウイルスを分析したうえで、コロナの本質は「分断」であると見抜いたこと。と「魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる」という(おそらく)村井さんの組織哲学、この2つから今回の講演で強調されていたのかなと感じました。
この2つの観点から、とにかく情報状況をオープンにして結束することを大事にしていこうということで新型コロナウイルスに関する会見は71回も実施されたとのこと。「今持っている情報はここまででこう考えています。ここから先はわかりません。」ということをオープンにする。晒す。そうすると知らないことについては教えてもらえるようになるんだ。こともなげに仰っておられましたが、なかなかできることではない、責任者ともなればなおさらかと思います。こういうことをさらっとやってのけることにDIO様も憧れることでしょう。
また、コロナの本質は「分断」というのは個人的には実感値ありますね・・・。ヒトと集まることが難しくなり、不透明な状況からあらゆる意味で分断が進んでいるような印象を持っています。この「分断」はJリーグのなかで語られていることだと思いますが、いつごろから語られていたのでしょうか。まあまあ早期から語られているようで、このあたりの見抜く力もすごいものがあるなと感じました。
学び4「半径10メートル」
これは最後のほうで仰っておられたことですね。これも村井さんの組織運営の哲学だと思います。半径10メートルにいるひとを大事にするということでした。
Jリーグという大きな組織を率いる村井さんが半径10メートルにいるひとを大事にする。という哲学を持っているのは少し意外でしたが、半径10メートルにいる相手と本気で夢を語り、本気で話を聞いて向き合うこと。それが向き合っている相手の半径10メートルにいる人に伝播して、また伝播して、組織が活性化されていく。ということだそうです。すごく大事だなと感じつつ、コミュニケーションの密度濃度が薄れてしまっていることがあるなと、個人的には気づきや反省がありました。
学び5「愛情」
これは村井さんが仰っていたことではなく、わたしが講演全体を通じて感じたことです。村井さんはとにかくJリーグや人に対する愛情がすごいなという、本当にただの感想みたいなもので恐縮なのですが、強く感じたことでした。
そう感じたポイントがいくつかあります。
学び2の中で紹介した1月末にJリーグ幹部にリスクシナリオ策定を指示したメールにこう書かれていました。「スポーツ界で最も早く、警戒レベルを高める責任がJにはあるように思います」これすごいですよね・・・。Jリーグに対するプライド、責任、愛情みたいなものを強く感じました。
講演後のQAセッションではJリーグの果たす役割などについての質問があったのですが、回答の熱量がすごかった。Jリーグの貢献の可能性について目をキラキラさせながらとめどなく語る村井さん。この人がJリーグのチェアマンで本当によかったと感じました。
そしてそして、最後QAが時間内に収まりきらなかったのですが驚愕のひとこと「回答しきれなかったご質問は全て持ち帰って後日メールで回答します。事務局さん段取りお願いしますね」
なかなかできることではないですよね。それも多忙を極めるJリーグのチェアマンが・・・。セミナー受講者に対しても愛情を持って真摯に向き合う姿勢。人としての器の大きさも感じて感服しました。
おわりに
というわけで講演後の興奮冷めやらぬまま書き散らかしました。とにかく素晴らしいセミナーで大満足でした。映像アーカイブを売って欲しいくらいです笑笑。改めて村井チェアマンは本当に頭がよく真摯で素晴らしい方ですね。すっかりファンになってしまいました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。とりとめなく書かせていただいた雑文にお付き合いいただき感謝いたします。今回のオンラインセミナー企画していただいた立命館大学アカデミックさんと、そしてもちろん我らが村井チェアマンに大感謝です。
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