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スポーツのプロ化のジレンマ

昨今ではスポーツのプロ化を目指している団体が多く見受けられる。この点についてまとめておきたい。

プロ化をするとスポーツ自体の「格」は上がる

確かに、何事にもそうだと思うが、各業界ではヒエラルキーや格が存在する。メジャーデビューとインディーズなどもこの例だろう。

スポーツをプロ化すると、メディアとの利権でマスメディアに取り上げられやすくなったり、扱いが良くなったりと商業化が進む傾向にある。トップ選手はスター扱いを受けることになるだろう。

そもそも「プロ化」するメリットとは何だろう。立場によって、そのメリットは若干、違ってくるだろうが、客観的に見れば、継続的な(1)各方面への金銭的メリット(2)日本代表の強化──ということになるだろうか。もちろん、「成功すれば」という条件付きではあるが、仮に得られるものがこの2つのメリットだけだったとしても、「プロ化推進」に賛成する十分な理由と言えるだろう。

さて、メリットだけだろうか?またこのメリットは誰から見たものだろうか?

一方で被害者は増える

上記の記事ではデメリットも掛かれているが、ラグビーの場合実業団や会社員選手とプロの比較である。一般的に広げて考えると以下のようになる。

金銭的なインセンティブがあると、「スポーツだけ」に取り込む傾向が正当化される。

トッププロになるという夢に向かって全てを捧げる人が増える。しかし周知のようにトップになれるのは数人である。メディアが味方するスター扱いのアイコン選手はそれこそ各スポーツで1-2人である。

そしてトップになった人それ以外は、スポーツを行うこと自体に対する経済的価値がほぼないために、引退するまでフリーター生活を延長しました、と似たような状況が生まれてしまう。そしてこの傾向はプロ化によりトップレベルの待遇を上げれば上げるほど、それらに憧れて目指す人口が増えてしまうことにより、「負け組」が増えることになる。人生をかけてトッププロを目指すアスリートや選手の奴隷味が増すことになる。

「夢がある」というのはそういうことだろう。宝くじを人生をかけて外した場合、大体は以下の記事のように30代フリーターから始まる崖っぷちセカンドキャリアを迎えることになる。そして目指す人が増えれば増えるほど、このような「夢を見て目指したものの、成功しない人」が増える。これは言ってみれば被害者である。

プロ化で得をするのは業界団体でしわ寄せはトップ以外の選手に

結果として、スポーツをプロ化をしてまず得をするのは、協会などの中央団体と、関係したメディア位である。またアスリートの中でもごくひとつまみの競技の顔となった選手は、結果として得をする場合もある。それ以外の選手はいわば宝くじに参加して当たらなかったような状態になる。

ただここで、冷静に収入面だけを考えると、単純に現役のプロ選手を引退した後何もやらない場合を想定すると、累進課税制度も相まって、年俸1億円以上で4-5年以上活躍できれば、平均年収の会社員と生涯年収がトントンになる。そもそもこれが現状の日本で目指せる可能性があるのは、サッカーと野球位だろう。それ以外はちょっと現役の間だけ年俸が高く見える状態になるがその後は鳴かず飛ばずになりやすくなる。

このように各種団体と選手で立場が全く異なるのでもめ事が起こりやすい。

業界を発展させるという意味では、プロ化は有効策ではある。一方で選手は、人生をかけた宝くじに巻き込まれる可能性がある。

これに対する現状の対策は、多くの既にあるスポーツと同様に自衛に尽きる。タバコや酒のCMのように注意書きを出したりするのも有効だろう。

まとめ

スポーツをプロ化すると

該当のスポーツ自体の「格」は上がる
被害者は増える

という構造になっている点は、留意したほうが良さそうである。



スポーツはもっとカジュアルでよいのではないだろうか?

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