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第九話 ついに産業医を採用!

熱い思いを持って、ベンチャー企業で働く人たち。
縁の下の力持ちである人事の方々がこのような人たちを支えている。
ベンチャー企業に入社2年目の江川千里の産業医採用への挑戦は続く、、、

※このシリーズを初めて読む方はこちらからご覧ください。

「社長、本日のどこかで時間をもらえますか?」

産業医の選別、採用について、千里は今までの情報を社長に説明することにした。
 
やはり1回の面接だけでは正確で確実な判断ができないこと、この規模の会社であれば2ヶ月に1回30分の訪問で充分だとアドバイスしてくれた医師がいたこと、その医師がその条件であれば料金をまけてくれると言ったこと、などを包み隠さず正直に伝えた。

金をケチるなとか、お安くしますよという言葉に惑わされるなと怒られるかなと思ったが、それはいらない心配であったようだ。

「いいね。ならそう言ってくれた先生にお願いしてみようか。もしうまくいかなかったり話が違ったりしたら、その時は改めて紹介会社を頼ればいいんじゃない?」

社長の考え方や代替案は千里とほぼほぼ同じものだった。正直、高くてもいい産業医を選べとかもっと値切れと言われても困るので助かった。

「では、そのように進めます」

社長のお墨付きをもらった千里はさっそく件の産業医に連絡を取ることにした。

まずは一度様子見で衛生委員会などに出席してもらい、それで採用するかどうかを判断させてもらえないか…そのようにお願いしてみる。

「いいですよ」

相手は快く承諾してくれた。

「ありがとうございます。一応、産業医の紹介会社の方もチェックしていたんですが、先生のお話とお人柄が弊社にとっていちばんいいように感じたので」
 
紹介会社に頼んだ求人を一度保留にすると、先方の都合が変わってしまい引き受けてもらえなくなる可能性もあるそうだが、それは甘んじて受け入れるしかない。

「産業医の仕事をしてみたいという医師はたくさんいるので大丈夫ですよ」

画面の向こうで産業医が言った。できればそうであって欲しいなあと思いつつ、これについては神に祈ることとした。

紹介会社を通すと、どうしても合わない産業医に当たった場合、新たに他の産業医を探してもらえるというメリットがある。紹介料やサポート費が高いだけあるということだ。

もしこの産業医を採用できなかった時は改めてガッツリ頼ろうと思う。
(とはいえ、誰と何度面接をしようが、わからないものはわからないんだけどね…)

まあ、若い精神科医という括りの中でそれほど大きな差が発生するとは思えない。案外似たり寄ったりで無難な医師がたくさんいるだけなのかもしれない。

そうなると、最終的にはやはりコスト面やサービス面で判断するしかなくなってくる。

画面の向こうにいる知人産業医は料金を引き下げてくれたし、こちらのトライアルの提案に快く応じてもくれた。

「では、後日。ご縁があることを願っています」

 できればこの人に決まればいいなと思いながら、千里はにっこりと微笑んだ。

■次回予告

従業員が50人を超えたら実施しなければならない「衛生委員会」。それは一体どういうものなのか。千里は今日もネットの海を駆け回るのだった。<次の話にすすむ>



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