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第十話 衛生委員会の事前準備①

熱い思いを持って、ベンチャー企業で働く人たち。
縁の下の力持ちである人事の方々がこのような人たちを支えている。
ベンチャー企業に入社2年目の江川千里の産業医採用への挑戦は続く、、、

※このシリーズを初めて読む方はこちらからご覧ください。


来週はその産業医が初訪問する運びとなっている。それはつまり、社内に衛生委員会を設置しなければならないということだ。

「衛生委員会、衛生委員会、衛生委員会…」

千里は魔法のように呪いのように固有名詞を唱え続けている。ちなみに先日まで産業医というワードと衛生管理者というワードでまったく同じことをしていた。

産業医の選任もはじめてなら衛生委員会の設置もはじめてで、何をどのようにどう行えばいいかがまったくわからないのである。

伝家の宝刀インターネットで調べていくと、案の定、やらなくてはならないことが盛り沢山だった。

・衛生委員会の設置
・衛生委員会のメンバー集め
・衛生委員会の日程調整
・衛生委員会の規程作成
・産業医選任届の提出

「……」

沈黙、後、どうにかして気を取り直した。

衛生委員会について調べると、従業員の健康障害の防止や健康の保持増進に関する取り組み事項について労使一体となって検討する場、とある。

「衛生委員会は従業員の健康について話す場…OK」

千里は目を皿のようにしてHPを読み込んだ。

「衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善をすること…。開催の都度、委員会における議事の概要を労働者に周知すること…」

さらに、これを毎月一回以上開催すること、とある。従業員の健康のために必要なことだが、業務量的にはかなり重い。いやでも慣れればなんてことなくなるのかもしれないし。そうであれ。そう信じたい千里だった。

開催するためには当然メンバーを集めなくてはならない。最小で5名。衛生管理者、議長、従業員(人事部以外)2名、そして産業医だ。

衛生管理者は間に合っている。ちょうど先週資格を取り終わったのだ。会社から受験した3名中3名、全員が合格していた。

「で、人事部以外の従業員となると…誰に声をかけるべきかしら」

衛生委員会のメンバーになったからといって手当が出るわけでもないので選出が難しい。誰か立候補してくれないものか。

色々調べると、健康に興味がある人を誘うと衛生委員会で積極的に意見を出してくれるので盛り上がる、とあったので、その線で社内募集をかけてみる。

募集に応じてくれたのは、筋トレ好きな入社1年目の女性と、健康のためにダイエットをし始めた30代半ばの男性だ。筋トレもダイエットもやろうと思うだけで素晴らしいことである。特に意識が高めで暑苦しいという感じでもなかったので、喜んでお願いすることにした。

「これでメンバーは集まったわね!」

千里は一安心した。

■次回予告

衛生委員会の設置に関して調べるべきこと、やるべきことはまだまだ続く。
次の難関は衛生委員会の規程作りだ。<次へ進む>


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