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第三話 衛生管理者の受験申し込み

熱い思いを持って、ベンチャー企業で働く人たち。
縁の下の力持ちである人事の方々がこのような人たちを支えている。
ベンチャー企業に入社2年目の江川千里の産業医採用への挑戦は続く、、、

このシリーズを初めて読む方はこちらからご覧ください。


衛生管理者の合格率が55~70%と知った千里は、自分が不合格になった時の備えとして、共に受験してくれる人を募ることにした。

国家資格を一緒に取りませんか、という文言だけでも応じてくれる人はいるだろうが、国家資格を取ることのメリットを前面に押し出すことで成功率を更に上げた。

そもそもこの会社の社員募集業務も手がける千里である。人事労務の腕の見せどころだった。その甲斐あって、二名の勇者が応募してきてくれた。

「心強いわ。ありがとう!」

応募してきてくれたのは資格を取るのが大好きな入社5年目のWebマーケターと人事労務の後輩だ。今後はこの二人と協力して衛生管理者の資格の勉強をしていけばいいのだと思うと、安心感とありがたさしかなかった。

一方、もちろん資格取得の試験についても調べてみた。

安全衛生技術試験協会HP(https://www.exam.or.jp/exmn/H_nittei502.htm)に行くと、それぞれの地域(北海道センター、東北センター、関東センター、中部センター、近畿センター、中国四国センター、九州センター)での試験の開催日程が書かれていた。

「さすがに関東センターは他の地域に比べると試験回数が多いわね。助かるわ」

月に一、二回しか試験を開催しない地域がある一方、関東センターでは月に最大十回近い開催予定がある。首都圏の強みだ。

「でもこれ、全国を七分割してるわけだから、片道二時間とかかけてはるばる試験を受けに行く人もいるんでしょうね…」

思わず同情してしまう千里だった。
試験の申し込みは各センターのHPでするようだ。関東安全衛生センターのHPに行き、申し込み状況をチェックしてみると、<○月・満員、△月・満員、□月・満員>という容赦のない状況が目に入ってきた。

「今からだと一番早くても三ヶ月先になるのかあ…」

どうやら衛生管理者の試験はすぐに満席になってしまうらしい。早めに調べておいて良かったとほっとする千里だった。

さっそく最短の月に申し込もうとするも、どうやら<受験申請書を取り寄せ、その書類を書いて、返信封筒を同封の上郵送する>という手順が必要らしい。

「今時メールやフォーム申し込みじゃなく郵送って…」

タダでやりとりできる手段があるのに、数百円とはいえ郵送料を出さなければいけないとは、と素直に驚きを隠せなかった。

他にも、学科試験には試験手数料がかかるのだが、それは申請書にとじ込まれている振込用紙を使って郵便局または銀行の窓口で振り込まなければならず、ATMすら不可なのだという。

「なんというか…文明開化できてないんだなあ」

いつかこれらの資格試験にまつわるやり取りがネットオンリーでできるようになったというニュースが流れたら、その日はめでたさにケーキを買い込むかもしれない、と思う千里だった。

■次回予告

申し込みを終えてほっとする千里は、資格取得に向けての勉強を進めつつ、産業医採用についての情報を集めはじめた。<第四話へ進む>


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