第四話 産業医の見つけ方
熱い思いを持って、ベンチャー企業で働く人たち。
縁の下の力持ちである人事の方々がこのような人たちを支えている。
ベンチャー企業に入社2年目の江川千里の産業医採用への挑戦は続く、、、
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無事申し込みを終えホッとするのも束の間、資格取得へ向けての勉強を進めつつ、今度は産業医採用についても調べなければならなかった。
インターネットで調べてみると、産業医の見つけ方としては、
1. 医師会からの紹介
2. 産業医紹介会社からの紹介
3. 知人や友人にお願いする
の3パターンがあるらしい。
1.のケースは値段が高い傾向にあるそうなので、実質、2.産業医紹介会社からの紹介か、3. 知人や友人にお願いする、の2択となる。千里には医師や産業医の知人がいないので、一旦、2.産業医紹介会社からの紹介で進めることにした。
だが、実際に調べてみてわかったのだが、産業医紹介会社というのは一定の需要があるようで、つまりネットに山ほど存在する。必然的に産業医を選ぶ前に産業医の紹介会社を選ぶところからはじめねばならず、これにはさすがに嫌気がさした。
「20社から選ぶ! とかオススメ10社! とか厳選5社! とか、まるでオンライン英会話のノリね…」
ランキング形式になっているのはありがたいが、そういえばうちの会社の場合はどんな産業医を選べばいいんだろうと、千里は根本のことを考えた。
軽く調べると、料金や産業医の登録数で判断するのが無難だと出てきた。
「毎月のことだし、確かに料金は大事よね」
たとえば初期費用。これは紹介料と毎月のサポート費のことらしいが、無料のところもあれば高いところもあり安いところもあるという有様で、どこも一緒の値段なら諦めもつくのに、こんなに違うと<なぜ違うのか>を考えねばならず、ますます悩みの種となった。
「この月額費用っていうのが産業医に支払われるお給料よね。これは従業員数で変わる、と。まあそうね。従業員数50人の会社と500人の会社で業務量が同じなわけないもの」
そういったことを逐一加味し、産業医登録数や各企業から選ばれた実績数、対応エリア、サポート内容などを見ながら、なんとか2社まで絞り込むことに成功した。
「まずはここまでね。上司に報告して社内で情報を共有しましょう」
千里は今まで調べた情報をまとめて上司に報告することにした。情報が社長に行けば何かの注文が入るかもしれないし、社内に広まれば誰かしらがいい案を出してくれるかもしれない。
休憩時間は後輩と一緒に昼食を食べた。一緒に衛生管理者の資格試験に挑んでくれる同士だ。使えるテキストや過去問についての情報を共有し、その難しさに愚痴を言い合い、建設的な教え方を学び合った。こうまでして取る資格なのだから、末永く使える財産となればいい。
そうこうしているある日、社内の従業員からslackでメッセージが飛んでくる。
「私の知人で産業医がいます」
というものだった。
■次回予告
知人の産業医を紹介してもらうことになった千里だが、どのような医師を選べばいいかの判断基準がわからない。
調べてみると、産業医の採用は「産業医に何を期待するか」で大きく変わってくるという。<第五話へ進む>
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