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アメリカで出会った100の光景 No.11<大自然の絶景>クレーターレイクの深い蒼

クレーターレイク国立公園のゲートを入りしばらく行くと、真っ青な丸い湖が見えた。
湖の中には小さな島。日本人だったら、富士、と名付けそうないい山の形をしている。湖はどこまでも青い。この青は、群青より、もっと藍色に近いと言った方がいいのだろうか。深い深い蒼。

クレーターレイクは火山の噴火口にできたカルデラ湖だ。アメリカで一番深い湖で、一番深いところは597m。そんな説明を見ても、ピンとこない。見渡せるくらいの大きさのこの湖がそんな深いとは。

9月というのに、標高が高いせいかかなり寒い。高台に登ると、松の葉は凍っていた。強風に煽られるせいか、どの木も枝は同じ方に伸び、氷も片面にしか着いていない。

湖の淵まで行ってみることにする。島に行く船乗り場への道が、唯一湖面へと誘う道。船に乗る予定のないわたしたちにとっては、ちょっとしたトレッキングにも匹敵する。湖を横に見ながら、砂地の道を下っていく。

湖の畔まで行くとやっと水が透明なことがわかる。
ただ静かに蒼いだけだと思っていた水面も波が立っている。
そっと手をつけてみる。当然、冷たい。
ボート乗り場にも全然人気はない。ただただ静かな湖。

静けさを堪能し、戻ることにする。往きの下りはよいけれど、帰りの上りはちとキツい。わたしは上り坂が大嫌いなの。
しかも、キツさに拍車をかけるできごとがあった。遠足の青少年たちの群れ、もとい集団とのすれ違い。正面から元気よく走ってくる数十人の青少年。あっという間に道は砂煙で真っ白。すでに、息も絶え絶えだというのに、砂煙攻撃がこたえること!
集団はどこまでも続くかのように思えた。逃げ場のないトレイル上で目と口をふさぎ、嵐の去るのをただ待つ。子どもたちが全員すれ違ったのを確認し、砂煙の収まるのを待って、再び歩き始める。
すると、集団から遅れたマイペースな子どもたちが数人ぱらぱらと歩いてきた。ふてくされた感じの子、トレイル脇の石や木に気を取られてなかなか進まない子、単に体が重くて進むのが遅い子。当然ながら、アメリカでもそれぞれ個性があるんだな。がんばれ、がんばれ。帰りの上りはもっときついぞ。

再び、湖を上から見下ろすビューポイントへ。
縮緬のような水面に浮かぶもう一つの島は、その名もファントムシップ。
物語を秘めていそうな不思議な美しさだ。


クレーターレイク国立公園(オレゴン州)
Crater Lake National Park

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