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怖がりと勇敢

中野信子という脳科学者が言うには、日本人には「怖がる遺伝子」を持つ人の割合が多いので、日本人はリスクを取らない国民性を示すのではないかと推論されている。
なるほど、そんな遺伝子があるのなら、そうなのかもしれない。
どうやら「怖がる遺伝子」は科学的に計量できる因子のようだから、アメリカ人がフロンティア精神に溢れているのだという推論と同調性があるようだ。

人間は怖いと思うと、脳内にオキシトシンが分泌され、より安全で安心な心理を求めるらしい。
そういったオキシトシンに頼りやすい遺伝子を持つ人が多いのが日本人の特徴だと言うのだ。

なるほど、私の周りにも安定志向な人が多い。
台風が近づいて、行政が避難せよと促しても、根拠のない「自分は安全」という考えに基づいて、人は動こうとはしない。
これは何度も災害にさらされてきた日本人なのに、決して改まらない心情だ。

夫婦関係に目を向けると、熟年になり、お互い愛情も冷め、相手の嫌なところばかり目がついて、会話も交わさないのに離婚しないのも、安定志向からくるのだと中野氏は言う。
昔ほど離婚のハードルが高くないにしても、やはり離婚が自由にできる日本人ではないらしい。

リスクを冒さない人は、投資話も嫌悪し、タンス預金に安心感を求め、カード決済やら、スマホ決済やら、ポイント還元やらは「わたしには無関係」と言ってはばからない。
私だって、ほぼそれに近いのだ。
もう新しいことは、勘弁してほしいと思うことが多々ある。

最近の若い人は海外留学をしないという。
また、実家から出ない子、引きこもる大人、ブラック企業から転職できない人、ゴミ屋敷にしてしまう人、みんなオキシトシンに侵されているのかもしれない。

ベンチャー企業が育たない日本もそうだろうし、新しいことにチャレンジすることを躊躇するのもそうだろう。

とはいえ、日本人のノーベル賞受賞の数は群を抜いているし、中野氏が指摘しているようにイグ・ノーベル賞の受賞も日本人が総なめしているという事実もあり、決して日本人がリスクを嫌って挑戦していないとも言えないと、エールを送っている。

世界を相手に戦う日本人は、スポーツ界でもたくさんいるし実績も出している。
しかしそれは日本人の一部であり、社会現象としてみれば、日本人は国民自体が「総引きこもり」になっているのではないかと、私も含めて気になるところだ。

恐怖をただ怖がるのではなく、理性を持って恐怖に立ち向かい、リスクマネジメントをしっかり行うことが大事だと氏は強調する。
また「蛮勇と勇気は違う」ともいい、勇気ある撤退も必要な時があると付け加えた。
勇敢な人は、十分に恐怖を知っているのだと。
だから無茶はしないが、好機も逃さない。

まずは、ガラケーからスマホに乗り換えることをしようじゃないか…ご老体!

私もそうしてきたからね。

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