莉子の徒然草

短歌作ります。ごーしちごーしちしちで季語はいらないよ。

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多面体とたましい

『ちょっとあんたたち!おばあちゃんに手合わせた?』と母が言う。 私は、祖母の仏壇に手を合わせることが苦手だ。 だって、この仏壇におばあちゃんがいるわけじゃないじゃん、と思う。 祖母が亡くなってからよく、おばあちゃんはどこに行ったんだろう、と考える。 お葬式でお経を読みにきたお坊さんは、仏様になったと言った。 またある人は、『タマシイ』となり私の心の中に住んでいると言った。 けど私は全然信じられない。 だって私は、祖母の体が焼却炉でごうごう焼かれ、灰になったのを見た。 骨すらあ

    • 丸としわの遺伝子

      私は顔立ちが母そっくりで、親譲りの丸顔である。 先日、久しぶりに祖父にあったら、 「莉子ちゃん、丸顔すぎてフライパンかと思った」 と言われた。 このことを母に話したら、母は、 「私、中学の時に満月って言われたことあるよ」 と言っていた。 ちなみに、祖母も丸顔なので、我が家は3代続く丸顔家系だということになる。 つくづく、自分に流れる丸顔の血の強さを感じる。 丸と言えば、昔、生物の授業で習った、メンデルという人が、エンドウマメの種子が「丸」か「しわ」になるかという形質を利用して

      • 「破戒」を読んで

        私は、他人のまぶたが一重か二重かということが必要以上に気になる。 友達とご飯を食べるとき、地下鉄の中吊り広告の芸能人をふと見るとき、 職場で上司に話しかけられるとき、いつも相手のまぶたを見る。 あ、この人は一重なんだな、この人は、末広二重か…。 この子、今日アイプチしてるな、整形するつもりはあるのかな…。 相手のまぶたを見つめたまま、そんなことを考えているものだから、 相手からは「なにぼーっとしてるの?」と不審がられるレベルだ。 しょせんまぶたに一本線が入っているか否

        • 秋は田園

          秋は夕暮れ。清少納言が枕草子にしたためた、有名なフレーズである。 たしかに、秋は夕暮れだと思う。 会社の窓から大きな茜色の夕暮れを見るとき、「こんなに美しいものをただで見てもいいのか」とありがたい気持ちが胸に広がる。 しかし、会社で秋の夕暮れを見ていて興ざめする瞬間がある。 「新世界より」を聞く瞬間だ。 私の勤める会社では、退勤の時間にドヴォルザーク「新世界より」の二楽章が流れる。 日本では、家路と題を付けられ「遠き山に日は落ちて」と歌詞も付けられている、あの有名なメロ

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        多面体とたましい

          原始、女性は月であってもいい

          朝、起きてカーテンを開ける。5月の真っ黄色の太陽の下で一杯の白いご飯を食べる。 いつもなら、ごはんが美味しい、良いお天気の素敵な日。 けど、そうはいかない。 太陽をぎゅっと睨んでみる。 私は、今日生理なのだ。 社会人になってわかったことが一つある。それは、この社会に月の満ち欠けがないこと。社会ではコンスタントに日の出と共に始業し、日の入りと共に終業することが求められている。 ここに、「月」は存在しない。 そう思いながら、目の前の白いご飯を眺めてみる。人間はお米を育て、農耕を

          原始、女性は月であってもいい

          世界中のアンネたち

          妹がインド旅行から帰ってきた。いろんな土産話を聞く中で、犬の話が脳内にこびりついている。 「インドの野良犬ってね、喜怒哀楽があるの!目をさんかくにして怒るし、好きな人にはワンじゃなくてくぅーんってまじで甘えてるの。日本の犬とは全然違う。日本のは、やっぱ飼い慣らされたペットなんだなぁって思った」 トムとジェリーみたいに表情が動く犬を想像しながら、「目をさんかくにして怒る」と表現できる妹を誇らしく、そして愛おしく思う。 妹の感覚は、瑞々しい。若葉のようだ。 最近、ちまたでMBTI

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          手話と寿司

          私は、どうしてAちゃんが好きなんだろう。 Aちゃんは、中高時代のオーケストラ部の後輩。 演奏する楽器が違うせいか、中高時代、 私とAちゃんは特に仲が良かったわけでもない。 でも、なぜか私は彼女が好きで 『今度の高校の演奏会、終わった後みんなでご飯行こうよ』 『3月だし部活のメンバーでご飯行こうよ』 何かと理由をつけては彼女を誘う。 この間は、『友達の出る演奏会行こうよ』で 社会人なりたてほやほやのAちゃんと私で 演奏会を聴きに行った。 帰り、知り合いが『あのすし屋は、ネタが2

          シーソーと芽生え

          「春化処理ってのは厳密には間違ってるよ、低温処理のほうがいいかも」 植物学研究室の先輩が私の論文の原稿に赤字で書き込む。 短歌連作「シーソーと芽生え」を作っている今、私は大学院生活の集大成である修士卒業論文を書いている。私が所属している研究室は、シロイヌナズナという植物について研究している。 この卒業論文に、春歌処理という言葉を入れたかったのだが、先輩の添削でバッサリ切られてしまった。春化処理とは、シロイヌナズナの種子を冷蔵庫に2晩入れて、その後室温に戻すことで、疑似的な春に

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          ダンゴムシとワラジムシ

          「せんせー、おれ次は100点とる!」 天然パーマの向こう側にまっすぐな目。 塾のバイト先の生徒、小学生。 彼は凄くおしゃべりで、少し集中力がない。 授業が始まって、こくごの文章題の第一問の記号問題に、アとかイとか適当に書いて、手を止めて口を動かす。 「おれ本気出したら強いんだよ、この前なんかパパに相撲で勝ったの」 「せんせーの目の上のそれ何?うろこみたい!」 アイプチ目立ちすぎたかな。 先週もまた授業開始5分でおしゃべりが始まった。 「せんせー!ダンゴムシかワラジムシどっち

          ダンゴムシとワラジムシ