ホワイトノイズ

黒部でソロキャンプ中、激しい雨に見舞われた。

 予報通りの土砂降りだ。

安物のテントが心許なく、前日のうちにタープを張っておいて正解だった。

ピンと張られた幕の上で踊る雨粒が、バラバラと乾いた音を立てている。
 
 することもなく、それをぼーっと聴いていると、意識と無意識の境目が曖昧になって、いつしか自然の中へと溶け出して行くような感覚を覚えた。

 ある意味これも、究極の癒やしの一つかもしれない。

 何かそれは、思考の単純化、因数分解のようにも感じられた。

 そう、あの音はホワイトノイズ、0と1のような単純で心地よい世界へと誘う「ゲート」なのだ。

 情報がオーバーフローするこの世界で、私達は溺れそうになりながら生きている。

だから、物事の本質を見分けるためにも、たまには「ゲート」にアクセスする必要があるのかもしれない。

 きっと身近な所にも、それらはあるはずだ。

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