見出し画像

切迫と、溢流の向こう側。

「おしっこがしたい。」
 私は昨日、そう強く思いました。


 茨城の小旅行から、自宅に向かう途中の車内のことでした。


 帰りは高速を使わずに、下道をのんびり帰ろう、とゆったりときた気持ちで運転を始めます。
 道中は田舎道が続いており、コンビニもまばらでした。
 どこかで休憩がてらおしっこをしよう。
 そんな甘い考えを持ち、車を走らせます。

 道は空いており、順調な走り出しです。
 ふと、鹿島神宮で引いた、おみくじの結果を思い出しました。


 ◎旅立ち 思い止めるが良い


 無事この旅を終わらせて、お家へ帰ろう。安全運転を決意しました。


 おみくじの言葉を思い出した頃から、私は、小さな異変に気づいておりました。

 次のコンビニでトイレに入ろう。

 されど、いくら、進んだとて、トイレは見当たりません。尿意は、少しずつ膨らみます。


 ここで、尿意の定義についてお話ししましょう。

 膀胱とは、三角錐の形をしております。
 大変柔軟性があり、おしっこが溜まると、卵形に膨らんで参ります。
 膀胱内圧が15~20cmH2Oになると初発尿意を感じます。
 さらには、膀胱は150〜250ml溜まると、大脳皮質にある、感覚野に、膀胱に尿が溜まったことを伝達します。

 そこからは、私たちに委ねられわけです。

「排尿?」

 or

「我慢」


 というDead or Alive?的2択に。

 時間が経つと、尿は膀胱内に溜まっていきます。

 先ほど、尿意を感じめてから、1時間以上が経過しておりました。


 トイレはありません。

 もう一つ、おみくじの言葉を思い出します。

 ◎出合える事…控えて居るがよい 

 控えすぎてはいませんか?


 気付けば、都内に入りました。


 右手に歌舞伎座を捉えました。
 人で賑わっており、駐車場付ののコンビニは見当たりません。


 左手に東銀座駅を見ました。

 こんな駅があるのか、初めて知りました。


 道は複雑です。田舎者の私には、緊張が続いております。

 国会議事堂を捉えた時、私は、限界を感じました。


 もう一つの定義をお話しします。


 膀胱の中に溜まった尿が250〜300mlとなると我慢が出来なくなり排尿しなければならなくなります。それを最大尿意と、呼びます。

 私の最大尿意は、雄に限界を超え、「溢流」という第三の選択肢を捉えました。
膀胱は、300mlを超えているでしょう。
 鶏の卵大の膀胱は、ダチョウの卵大になっているはずです。


 道路には、多くの警備員と、警察がおりました。



 おしっこがしたい。 



 今すぐに道に車を止めて、おしっこがしたい。

 いわゆる、「立ちション」は、軽犯罪に当たると、ニュースで見たことがあります。
 ならば、事故的に路上で尿失禁した場合はどうなるのでしょうか。
 国会議事堂前です。
 テロリストだと思われるでしょうか。



 ◎思立てる事…止めたがよい 



 私はテロを起こすことをやめました。


 道は続きます。
 膀胱に右手をそっと添えました。


 ◎願いごと…叶はない方が十中の九 



 私の願いは叶わないのでしょうか。



 そう思った時です。
 路肩に車を停めて良さそうな、永田町のローソンを見つけました。静かにブレーキを踏みます。

 私は、ガードレールを飛び越えました。

 あぶ刑事の舘ひろしがよぎります。


 ※   ※   ※


 私は思い出します。おみくじの言葉を。


 神の誠を心に得れば己も神の如く尊い人である。尊い心であって神の完愛に洩れる等はない。


                  凶。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?