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【雑記】入院こぼれ話~後編~


前編の続き。前編はこちら↓


さて、ここからはこぼれ話。
まず、いつものジェルネイルはどうしたのか、という話。

初診の外来に行って、11時半過ぎに一旦帰り、その日の午後14時頃に入院するまでの間、家で、とにかく下着やら荷物を詰め込み、余った30分で、何とか自力で左中指だけオフした。その一本があったからこそ、パルスオキシメーターが使えたのであり、手術も可能となったのだ。ジェルネイルしていると、こういう緊急・救急の場合などにとても困るとは前から聞いていたが、まさに今回がその例。だがたった一本の素の指が生きたのであった。

病室は、希望して、個室にした。何でかって、ただでさえ病院で怖いのに、消化器科なのだ。同じ部屋でげーしてる人がいたりしたらパニックどころの話ではない。私は幼少時からの筋金入りの「嘔吐恐怖症」(それも極度の)なのである。恐怖のあまり窓から飛び降りかねない。だから当然高額だが個室だ。こういうセンサイなワタクシの事情がわかって家計費から全額出るかと思いきや、後でしっかり母に請求された笑。

それから主治医の女医先生について。この先生に当たったのは、全くの偶然だったようだ。メガネがかなり大きめで、そのメガネがチョットいつもズレている感じで、かなりチャーミング。サバサバしているけど、私と大事な話をしている時に後ろで看護師さんどうしが話してたりしたら、外でやってくれる!と一喝したりする一面も。でも不安症の私に、手術前は、一緒に頑張りましょうね!とか、手術後は、頑張りましたね!とか何度も言ってくれて、病室にも、外来前と夕方、点滴が取れるまではだいたい1日2回ずつ来てくれた。ニコッと笑ってくれて、とりたてて美人ではないけれど、何か惹きつけられる。年齢はどうやら私より10歳くらい下のようだった。

……で、私はこの女医先生が、かなり好きになってしまった。先生が来るとウキウキし、ケッコンしてるのかなぁ、とか考えたりする。してたらなんなんだ、って感じだが。いわゆる吊り橋効果(チョット違うか。でも入院中に看護師さんに恋しちゃう青年とかよくいるだろう、あれに似ているのか)、みたいやヤツだと思われそうだが、そんな感じでもなく、普通に好きになった。最近は年上女性が好きになる傾向にあったから、年下も好きになるのねワタクシ、と、ワタクシ自身驚きである。だが年上、年下関係なく、女性に告白するのはこわくてできないし、この恋心は入院・手術とともによき思い出としてとっておこうと思う。ただ、とても良い先生だったし、感謝の気持ちは素直に伝えてきた。この先生に出会えて良かった。

最後に、ファントム・ペインについてである。この言葉を聞いたことがなくても、幻肢(痛)と言ったら聞いたことがある方も多いだろう。幻肢とは、ケガなどで足や腕を切断したのに、まだそれが残っているように感じてしまう症状だ。あるはずもない足のつま先が痛いと感じたりするのが幻肢痛である。心身症に該当する。詳しい原因は未だ不明らしい。また、当然ながら、痛み止めの薬などは用をなさない。

じゃあこれがどうしたのだ、ってハナシ。

術後に渋谷のセンセイと話して、また似たような痛みが出たらどうしたらいいのか、って聞いた。そもそもこの痛みは、身体表現性障害だろう、という見解から始まったものだ。事実、痛みが出はじめた3年前にあらゆる検査をした時は、全くどこにも異常が見つからなかったのだ。だから、渋谷のセンセイは、今後似た箇所に痛みを感じたら、今度こそ頓服をまずは飲んで、と言った。でも、他の内臓的な病気の可能性もなきにしもあらず、とも言った。だがそれよりも、ファントムペインを感じることはあるかもしれませんね、と言われた。アタシは英語名は知らなかったが、すぐに幻肢(痛)と頭の中で変換できたので、手や足のことはよく聞くけど、内臓もあるのか、と驚いて聞いたら、もちろん手足などに比べて、内臓に関してファントムペインが生じることは少ないけれど、なくはないですよ、と言われた。きっと、アタシみたいに、怖いな、とか、そういうキモチに関しては思い込みが激しい人間などに生じやすい症状なのだろう。

ただでさえ複雑な人間の身体と心。だがそれらは互いに連動して作用し合っている。今回のことは、以前身体に異常がなかったことから、身体表現性障害だという思いこみにはじまり、結局は身体だけの問題で、でも手術で内臓を全摘出したら今度はファントムペインの可能性も考えなきゃならないという。でもファントムペインなのか、実はまた別の内臓的な疾患による痛みか、身体表現性の疼痛か、それも分からないのだ。これでは何が痛みの本当の原因か判断するのは難しい。色んな科のお医者さんたちがそれぞれスゴイなと思ったと同時に、人間の複雑さを改めてしみじみと感じた。



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