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ワクチン摂取が不安な方へ。偽情報に惑わされないための考え方

情報が溢れ、漠然とワクチン接種不安だと感じている方向けに、一つの判断材料になるように書きました。
ワクチンは1回目摂取済み、2回目は8月中の摂取予定となっています。
※追記:二回目の摂取も無事完了し、副反応は全くありませんでした。

ワクチンについての考え方

まず最初に、僕はワクチンが100%安全だというつもりはありません。というよりも、そもそもワクチンとは毒を持って毒を制すという類のものであり、ワクチンが100%安全だということはあり得ないと思っているからです。そして、それはキチンと治験が行われたワクチンであっても同様に考えています。

では、100%安全だとはいえないワクチンをなぜ接種をするのか(したのか)?

すれ違っただけでも感染してしまうと言われるほど感染力の強いデルタ株が蔓延し、どれだけ気をつけていても感染してしまう可能性は高まっています。ワクチン接種をすることでコロナウイルスに感染しても、発症や重症化を防げることが知見として公表されています。

日本で接種が進められている新型コロナワクチンにはどのような効果(発症予防、持続期間)がありますか。(厚労省)
ワクチンの効果等に関する知見

つまり、ワクチン摂取とは、発症と重症化、それに伴う後遺症を防ぐ効果に対する期待値と、副反応やアナフィラキシーショックのリスクを天秤にかけたうえでの選択といってもよいでしょう。
この期待値とリスクを冷静に天秤にかけ、打たないという選択肢はないというのが個人的な考えです。

これは、ポーカーなどのゲームで短期決戦では運によって勝敗が決することがありますが、長期決戦になると結果的に実力の差が現れるような勝利のための合理的な考えに基づくものです。

反ワクチンの主張

ワクチン接種を薦める声に対して反ワクチンを訴える人たちは『同調圧力』という言葉を多用する傾向にあるようです。
もちろん、ワクチンを打たない自由は認められるべきでしょうが、ワクチンを打たずに感染し重症化した場合は医療への負担を増やし、結果的に他の方にも影響を与え、救える命も救えなくなる可能性があります。
日常生活における安心感を考えると賛否両論あるワクチンパスポートや、それに近い仕組みが採用されるのも無理はない気もしています。

『メディアは報じない』という意見について

情報を疑い、何が正しいかを判断しようとすることはとても大切です。一方で、この考えは陰謀論に振り回される要因となっています。

冷静になって考えてみればわかることだと思いますが、メディアは発信する情報に責任が伴うため、信ぴょう性のないデタラメな情報を流すことはできません。(※釣り記事で広告費を稼ぐニュースサイトは除く)

日付以外は誤報と言われ、もはやエンタメと化している『東スポ』のような媒体であればともかく、積極的に不正確な情報を流すことはないと言っていいでしょう。
過去に『慰安婦問題』などで誤った情報を流した朝日新聞などは今でもそのことをやり玉に挙げられ続けていますし、これからもそれは続くでしょう。メディアにとって誤報は汚点なのです。

ジャーナリズムという価値観を持っているまともなメディアであれば、一定のファクトチェックは行われています。匿名で発信している情報発信者には責任もリスクもなく、面白おかしく不安と恐怖を煽っているだけです。

偽情報を信じて拡散してしまう人たちの中には、回りの人を救いたいという優しさにつけこまれ、混乱してしまっている人が多いのではないかと思います。今一度、冷静になって情報の信憑性を確認してもらいたいと思います。

自分は真実を知っているという妄想

陰謀論者に多いのが、メディアは報じないけど俺は知っている。という妄想です。世界中に散らばったインテリジェンス組織を指揮した国家元首やメディアを超えた情報網を持っているんでしょうか。

そういう輩の情報を鵜呑みにしてはいけません。
ソースはどこか?必ず確認するクセをつけましょう。
医師免許を持っているだけの、かなり怪しい評判のトンデモ医師の意見がソースであったり、ソースを誤読や誤訳していたりといったケースもあります。医師や研究者という肩書だけで騙されず、きちんと名前で検索してください。詐欺まがいのスピリチュアルな治療を行っていたりすることもあります。もし、それらに疑問を感じなかったあなたは、これからの人生詐欺に気をつけてください。

社会心理学における認知バイアス

社会心理学で『エコチェンバー』と『フィルターバブル』という概念があります。
エコチェンバーとは閉鎖的な空間で同じような意見が繰り返されることで特定の信念が増幅したり、強化したりする現象のことです。カルト教団の洗脳はこれにあたりますし、フェイスブックグループでフェイクニュースを繰り返し流す手法もエコチェンバーを利用したものです。
回りを見渡した時、同じような過激な意見が支配していたら、危ないかもしれません。

フィルターバブルとはアルゴリズムによって、自分の見たい情報に似た情報ばかりが提供される状態です。例えばYouTubeなどで興味本位で陰謀論に触れると、それに似たものばかりがおすすめとして表示されるようになります。リテラシーの低い人はいともたやすく一端の陰謀論者となってしまいます。
YouTubeの登録チャンネルを見直してみましょう。

一次ソースを確認しよう

私達が普段接している情報は伝言ゲームです。できるだけ情報の出どころを突き止め、直接情報を確認するようにしましょう。

マイクロチップの埋め込み、遺伝子書き換え、5Gに接続?

流石にこの辺の科学とか論理的思考とかを超越したトンデモ系まで行ってしまうと救えない感じはあります。
親や子供など、どうしても救いたい場合以外は、下手に近寄らないようにするのが良いのではないでしょうか。僕なら悟られないように小走りで逃げます。

厚労省のロゴを使ったデータ誤読画像について

最近では厚労省の発表したデータを誤解されやすいように抽出し、厚労省のロゴまで載せた怪しい画像がTwitterなどのSNS出回っています。

典型的なものをいくつか紹介、訂正しましょう。

ワクチン接種後の死亡者〇〇名!

コロナワクチン接種後の死亡者数〇〇名というデータです。
※画像を探しても見つからなかったのでデマ認定されて消されたのかもしれません。

画像ではワクチン接種後の死者数として大きく数値が書かれています。画像を見たら怖くなりますよね。僕も(えっ、マジで?)と思ってすぐに厚労省のサイトを確認しました。

集計日が違うのかデータの数に少し誤差はありましたが、厚労省のサイトでワクチン接種後の死亡者数のデータが確認できるので、気になった方は自分の目で確認してください。

新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要
(コミナティ筋注、ファイザー株式会社)8/4

この厚労省のpdfでは2021/02/17〜2021/07/25の間にワクチン摂取済みで死亡した総数と年齢や死因などについて書かれています。

ご存知のとおり、新型コロナワクチンは高齢者から優先的に接種が行われました。
日本の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となっています。

最終ページに集計数が掲載されていますが、総計1001件のうち、65歳以上が937件と大半を占めていて、平均寿命を超えた方も少なくありません。死因は様々ですが、専門家がワクチン接種と因果関係があるとされているものは0件であり、因果関係が認められないものが3件、それ以外は因果関係があるかはわからない。としています。

つまり、『ワクチン接種後の死亡者〇〇人!』というのは、お米を食べていた人の数値を出し、『お米を食べた後に死んだ人が〇〇人!』と言っていることと同じであることは理解しておく必要があります。

因果関係というものを理解できていないのか、情報を誤解させて不安や恐怖を煽って楽しんでいるのか、目的はわかりませんが、とにかく主張に無理があることがわかっていただけたのではないでしょうか。

『自分と同じ年齢層と性別の中で、ワクチン接種後に亡くなった人の死因に関連する持病があるので怖い。』
こういうのが、正しい怖がり方なのではないかと思います。
怖がるなら正しい怖がり方をしましょう。

コロナワクチン接種後とインフルエンザワクチン接種後の死亡率の違いについて

ワクチン接種済みの方の死亡者数の画像とともによく見かけるのが、コロナワクチンとインフルエンザワクチンの接種後の死亡率の比較画像です。

すでにわかってると思いますが、上述したとおり、コロナワクチンは高齢者から優先摂取しました。当然、この中には平均寿命を越えた人も含みます。

一方で、インフルエンザワクチンをどれくらいの高齢者が打ってるのでしょうか。どちらかというと学生とか、現役世代が打つイメージではありませんか。

で、これらのワクチン接種後の死亡率を比較するとどうなるかというと、平均年齢が圧倒的に高いコロナワクチン接種後のほうが当然死亡率は高くなるわけです。

比較する数値の質が全く異なることはわかっていただけるのではないでしょうか。おそらく、ワクチンを入れ替えても、同じように高齢者の摂取者が多いほうが死亡率が高くなるという結果になるのではないかと思います。

ワクチン接種者の死亡率がワクチン非摂取者より高くなっているという主張

人は必ず死にます。ワクチン接種は進んでいます。ワクチン接種した人が増えれば、ワクチン接種者の死亡率がワクチン被接種者の死亡率より増えるのは当たり前です。これは算数です。

単純化して説明します。
例えば10,000人いて死亡率が0.1%だったとすると、亡くなるのは10人です。
ワクチン接種者の死亡率は、接種率が10%の時は1人、50%になれば5人に増えます。一方でワクチン非摂取者は増えようがありません。

反ワクチンを唱えている人たちの主張にはこのようなギミックが多用されています。騙そうとしている詐欺師は少数で、どちらかというと詐欺師に操られた伝道師が多そうではありますが。

『〇〇名以上の医師がワクチンに反対している』という主張

例えば500人の医師が特定の薬に反対していると聞いた時に、日常生活に当てはめるとものすごい数に感じてしまうかもしれません。
ですが、冷静になり俯瞰的にものごとを考えてみましょう。全国には医師が30万人以上いるとされています。
再び算数の時間です。
500 ÷ 300,000 = 0.2%
つまり、ここでは0.2%の医師免許を持った人が反対しているということになります。そして、その何十倍の医師免許を持った人がワクチンの摂取を勧めています。
どこにでも変わった考えを持っている人はいますし、考え方の違いは容認できます。しかし、少なくとも少数派のマニアックな意見を、大多数の意見だと誤解しないようにしたいところですね。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。
繰り返しとなりますが、僕はワクチン接種が100%安全だと言い切るつもりはありません。しかし、反ワクチン派の不安を煽る誤情報発信には危機感を覚えます。

・ワクチン接種後に何らかの病気による死亡 → 根拠なし、報告なし
・ワクチン接種後に流産する → 根拠なし、報告なし

根拠なくデタラメな情報を共有しているアカウントのフォローは止めましょう。

重傷者を減らすため、少しでも多くの人が納得したうえで速やかにワクチンを摂取し、手洗いと不織布マスク、人混みを避けるといった行動を徹底し、少しでも早く状況が改善することを願うばかりです。

最後に、医療崩壊を招いたのは日本の医療が歪な構造をしているからという点については知っておいたほうが良さそうです。

・日本は病床数、病院数で断トツ世界トップ
・先進国のほとんどで、半数以上の病院が国公立病院であるにも関わらず、日本は80%が民間病院
・ICU(集中治療室)は儲からないため民間病院は置きたがらない

このあたりについてはキチンとしたデータをもとに書かれている大村大次郎さんのこの本がとても参考になります。
この危機を契機として日本の未来を考える人が増えることを望みます。


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