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オススメメニューから読み取る経済とお子様ランチは免罪符という話

ネット記事で「客単価300円後半の牛丼屋で680円のメニューを頼む奴は出世できない」とIT企業の社長が言ったとかで、少し話題になっていた。その論理は、正直お粗末様でしたなので引用はしないが、客単価を考えるのは大事だよね、と思ったので、今日は私のこだわりの1つを紹介しようと思う。それは、飲食店で何を注文するかということについてだ。特に昼食時の。

私は、食事や食べるものについて非常に無頓着である。食えたらなんでもいい、腹が満たせればなんでもいい主義の人間だ。そんな人間が、飲食店で食事を済ます理由は、人付き合いで行くか、支度・後片付けが面倒だから、出先で空腹を満たすため、という理由がほとんどだ。

そのため、何かを食べたいからその店に行くということはほぼなく、食べておいた方が良いタイミングにちょうどよく飲食店があり、最低条件(衛生面や雰囲気)を満たせば何屋でも入る。

そうすると困るのがメニュー選びなのだが、悩んでいる時間がもったいないと感じてしまうし、また別の理由でもオススメメニューをチョイスする事が多い。

これが実に合理的なのだ。その理由は2つ。
1つ目は、オススメしてあるから美味しくないという可能性が低いということ。私のような食に無頓着な人間はそこそこいると思う。そのような人たちが選びやすいための配慮がオススメメニューであると感じる。そして、飲食店としてはリピート客ができることほど楽に業績をあげられることはない。つまり、オススメしてある商品が不味いというのは非常にマズイことなのだから、これが不味いわけがない。という論理だ。

2つ目は、良い客でいられるという観点である。飲食店における利益貢献度の高い商品はサイドメニューであると思う。昼食時に限った話だが、これらを頼む人はそんなに多くないんじゃないかと思う。ゆえに、オススメ1品だけで注文が完結してしまう人は多いと推測される。飲食店としては、この1品だけでも経営がある程度は成り立つような価格設定をしておいたほうがよいと考えられる。つまり、店側の想定している最低客単価=オススメメニューの価格である。と、私は定義している。オススメメニューを頼むだけで一人前の客として認められるわけだ。

経済は弱肉強食であるが、共生社会でもある。ギブアンドテイクの気持ちを忘れてはいけない。1席を占領して昼飯時という限られた稼げる時間のうちのいくらかを私に提供しているのならば、想定客単価を支払うのは、これは当然のことである。

もはや食べるために飲食店にいくというよりかは、栄養を補給する機会を買っているような感覚である。もちろん、美味しいに越したことはないのだが、それは食べてみなければ分からないことだし、「美味しそうだからコレにしよう!」とかもあまりしない。美味しいことを期待すると、そうでない時に空腹は満たされても気持ちが満たされないことがあるからだ。それはとても味気ない。

私も好みは多少あるのでオススメメニュー以外を注文することはあるが、この時にも価格を見ている。注文しようとしているものがオススメメニューより単価が安ければ、それと同額以上になるようにサイドメニューを注文するのだ。

共感してもらえる事はあまりない。まぁ、それはいい。
私はこれを、子供と一緒に飲食店へ食べに行くときにも実行している。当然である。

子供がベビーカーに乗っている頃、私と子供2人でいる時の話だ。コロナ前である。マナーとして、ベビーカーが入れる飲食店を選ぶわけだが、ベビーカーがあるが故にカウンター席でなく、テーブル席を占領してしまうことがよくあった。なるべくピークの昼時は避けていたが、そういうわけにも行かない時などは、飲食店にとっては邪魔でしか無い。

私が入店したがために機会損失を与えてしまっている。こう思わずにはいられない性分なのである。私は、テーブル席の席料を払うかのように客単価2名分の注文をしなくてはいけないのだ。ちなみに子供が離乳食の時だったので、私しか食べる者はいないのだが、2名分の注文だ。(あ、4人がけのテーブルでも2人分だよ、流石にそんなに食べられないよ!)

食いすぎだろ!? と、思われそうなので例を挙げると、オススメメニューが800円なら、ゴージャスセット的な1000円くらいのにして、プラス100円でライス大盛りにして、ソフトドリンクとデザートで1600円にするような感じだ。

食べ残すことはシェフへの冒涜なので、絶対にしない。お陰様でぶくぶく太った。

子供も何かしらを食べられるようになってからは、必ずお子様ランチを頼むようにしている。お子様ランチというのは免罪符であり、オススメメニューでもある。子連れなら、最低限このお子様ランチの単価がプラスされれば良し。という意味である。もちろん、店側のサービス精神でもある。そして、親側としても子供が多少やんちゃしてテーブルを汚しても、許してもらえるというような気持ちが少し芽生える。良いことしかないのだ!


ついでに、私が身勝手に残念がる、こんな光景も紹介しよう。

昼のピーク時。4,5歳くらいの親子2人。定食1個の注文。ライス・汁物・漬物おかわり自由。座席は4人がけ。
経済事情や腹事情などがあるので責めたりすることはないのだが、モヤっとしてしまうのだ。他者の食卓を覗き見して勝手に不機嫌になるという実に迷惑な存在なのは自覚している。

この光景に遭遇した時、私は追加でコーヒーを注文し、ブラックのまま溜飲と共に流し込む。強すぎる酸味に顔をしかめるまでが様式美。一味違う自己陶酔。

ふぅ。

思い返すとベビーカー時代は本当にたくさん食べていた。ちなみに、”太っ腹”になりすぎて医者からは怒られたし、妻からも怒られるのは言うまでもない。子供が成長した今は、子供自身が食べるので私の食事量は控えめになり体型は標準になった。あと、毎月のお小遣いもスリムになった。うんうん、良いことづくめである。イイコトヅクメデアル。

緊急事態宣言が明けても客足が戻らない飲食店も多いと聞く。比較的栄えている方の私の生活圏においても、淘汰圧に屈し、暖簾の代わりに張り紙がひらめく店もある。もし、私のこだわりに賛同頂けたならば、その店を救おうだなんて大仰なことは思わずとも、一人前の客になろうとすることで変わるものがあるかもしれない。


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