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移住者と地元住民が手を取り合って「やりたい」に取り組む気仙沼市・ぬま大学がスゴい

誰もが「やりたい」と思っていることを抱えながら、「やれない」ことに不満や行き詰まりを感じ、どうして良いか分からずに毎日を過ごしているものです。

「やれない」理由は、人によって様々です。お金が理由だったり、時間が理由だったり、自分の限界が理由だったり、本当に様々で、様々だからこそ「やれない」ままになってしまいがちです。

「やりたい」を諦められる人、妥協できる人ならば、それでも良いでしょう。「やれない」のは仕方ないことなのだ。誰もが「やれない」を抱えながら我慢しているのだから、自分も我慢すれば良いのだ。

そうやって不満や後悔を押し殺し、諦め妥協して生きていく日々を飲み込める人ならば、「やれない」ことはただの日常で、何ら変哲のない平常で、苦痛ではあっても普通なことだと割り切れるはずです。

しかし、それを良しとしない人もいるはずです。いえ、きっと「やりたい」を諦められる人の方が少ないはずです。気仙沼市で行われている「ぬま大学」は、そうした「やりたい」を諦めない一人一人の「やりたい」にフォーカスした取り組みです。

気仙沼市で10年近くにわたって行われている「ぬま大学」とは何か

「やりたい」を形にする半年間の実践塾
「気仙沼で何かやってみたい」そんな想いをもつ若者が、約半年間、”自分を知ること”と”地域とつながること”を大切にした全6回の講義を通して、自分が気仙沼で実行するプラン(=マイプラン)をつくりあげていくプログラムです。

ぬま大学とは

ぬま大学とは、「気仙沼で何かやってみたい」若者たちが、自身のマイプランを創り上げていくプロジェクトです。参加者は半年間にわたってマイプランを創り上げながら、自身の「やりたい」を形にしていきます。

そして、その参加者の「やりたい」を地域がバックアップします。ある種、地域を実験場にした、自己実現の機会と言えるかもしれません。直接自治体や地元企業、地元住民がマイプロジェクト実現に手を貸すわけではありませんが、非常に協力的で温かく迎えてくれる点に特徴があります。

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第1期〜第9期に実施されたマイプランを一覧にして紹介

実際にどんなマイプランが気仙沼市で取り組まれたのかを一覧にしました。noteの仕様上、表形式で出せず見にくい点は申し訳ありません。

第1期

  • アトピーカフェ

  • 地域の未来のために。お寺ができる最高のお葬式と供養

  • 本吉もっとよしツーリズムの開発

  • まなび場“しま学校”の開校

  • 地元の‟イケてる”大人と出会う場づくり

  • よつばプロジェクト

  • 地元の良さを残していくために

  • アクティブシニア化計画

  • 観光客・旅人・子供・外国人・ボランティアが気仙沼ファンになる ゲストハウス作り

  • みんなが少しずつ儲かる田舎作り

  • 気仙沼完熟牡蠣のオイスターソースを巡る旅

  • MovieMoveMove

  • 気仙沼の魅力を見つけ隊

※参加者の一覧

第2期

  • 東北発!日本茶フレーバーティーブランド “OCHACCO”

  • 子供服お下がり事業 “みんなのたんす”

  • 保育士の学びの場をつくる“保育カフェ”

  • 高校生が将来気仙沼に帰ってくる“きっかけ”作り

  • 移住者の小さな寄り合いの場づくり

  • 八瀬に自然遊びの拠点を作る

  • 地元旅行で広げたい 地元の方とのつながりを

  • 政治はともだちプロジェクト

  • 8のつく日は八瀬の日!

  • 気仙沼でこども向け刺繍教室をひらきたい

  • しんどいときに頼れる場所

  • 唐桑の若者と大学生が想いを語り合える場“まる会”

  • 遊歩道が子どもの遊び場・学び場に

※参加者の一覧

第3期

  • 地域外の学生と気仙沼をつなぐ案内人

  • 場所でモードを変える! ーONとOFFを自由に行き交うライフスタイルー

  • おさかな学校

  • Shall We Art?

  • “気仙沼で働く” を考えるワークショップ

  • 三陸仕掛け人

  • あちこと一緒にわくわくキッチン♬

  • あそぼう!ちびっ子!ちびバス広場!

  • 水産業の魅力を写真に撮る&発信する!

  • 太鼓を叩いてみよう!

※参加者の一覧

第4期

  • 建設業を身近なものに

  • 私の「楽しい」を追求する

  • 地域まるっと

  • かけ合わせが生まれるまち

  • 縁を繋げる~障害者施設と地域の交流~

  • 子どもを真ん中にした地域にしたい!~最高の子ども時代を~

  • みんなを笑顔にしたい

  • 気仙沼のLifestyleを世界へ!

  • 偶然楽しむ気仙沼

  • ミライノ授業

※参加者の一覧

※最終報告会の様子

第5期

  • ストーリーを食べよう!

  • 気仙沼つながる店リレー

  • こども相談室

  • 気仙沼人を検索できるウェブサイトを作りたい

  • 気仙沼 Bider’s Life

  • 移住新入社員の8ヶ月奮闘記

  • "生産者が正当に評価される世の中へー仁屋のミカター"

  • 10年後くらいに山に住みたいよ

  • ばあちゃんのいずいを解消

  • Senpai Talk

  • 昭和歌謡でワクワクを

  • 気仙沼での地域スポーツ活動について

  • SLOWな子育てができるまち気仙沼

  • SDGsを通し、学校で育った子どもたちを地域へバトンタッチ〜みんなで育てる土壌づくり〜

  • 「face to face」の手話ワークショップ

  • Youtubeで気仙沼の魅力発信!

  • 架け橋お助け隊(2人)

  • 楽天イーグルスファンクラブの会の魅力

  • 最後まで食べたいものを食べられるように

※参加者の一覧

※最終報告会の様子

第6期

  • やさしさあふれる笑顔のまち気仙沼をめざして

  • オトノバ

  • 「自分のため」は「人のため」

  • シングル・しんどいママとその子ども達へ送る 秘密じゃない「秘密基地」

  • 気仙沼を前向きにとらえられるようになるには?

  • 生きて描く場所

  • 気仙沼なう

  • 自分を大切にするための表現

  • 価値観を壊す「旅」

  • 平和のすすめ

  • ママうきうき化計画

  • 座布団父さん交流記~子育てをより楽しむために~

  • 一人一人がその人らしく生きられる未来

  • ブレイクダンスを通してチャレンジを楽しめるまちへ!~気仙沼の子供たちに新しい世界を~

※参加者一覧

※最終報告会の様子

第7期

  • ボードゲームCAFE

  • 自分と地域を重ね、考える、気仙沼98年生まれのきっかけづくり

  • ーおいしいおはなしめしあがれーおはなしレシピでちょっとした豊かさを

  • ひとみの窓口~女性のモヤモヤを吐き出そう~

  • 私をみて!~砂浜を支える海浜植物~

  • GATE WAY CAFE ~観光客と地元民を<つなぐ>ほっとな空間~

  • ローウェイストで遊ぶまち

  • 顔の見える街、気仙沼へ 〜気仙沼の「人」と「想い」をチカクする〜

  • わたしができる恩返し〜食でつながるみまもりの輪〜

  • ITを身近に

  • 飛んでいきます!移動型コミュニティカフェKATARO-U

  • Selamat Datang di Kesennuma

  • みんなで気仙沼楽しみたくない⁉︎wow wow \(^o^)/

※参加者一覧

※最終報告会の様子

第8期

  • 魅力ある街を支える.健康予防連携

  • お気に入りの空間づくり

  • 花贈りと気仙沼遊びの道案内~記憶に残るフローリストを目指して~

  • 「気仙沼の同期」を作ろう!

  • 港道テラス〜寄り道の楽しい街

  • "「子どもの味方を作りたい」みらいで守られる子どもコミュニティー"

  • 気仙沼×ドローン 私が行った5つのコト

  • 「食べる」を知る!まずは地元の酪農畜産から

  • 未利用魚でまちと人をつなぐ

  • 僕と鹿

※参加者一覧

※最終報告会の様子

第9期

  • プログラミングで変わる世界~今日が一番若い日~

  • 姿勢ケアで未来をつくる~働き世代は予防世代~

  • みんなで届ける小冊子“人生の歩き方”

  • 海洋教育で都会と港町をつなげたい!

  • ちょこっとトーク~初級編~

  • 産業から学ぶ地域と生き方

  • 人とともに在る建築の可能性

  • みんなのママ友

  • “まち”のみんなで不登校等の子どもたちを支えたい!!~新しい不登校等支援の形を、気仙沼から。~

  • 音楽の力と有事のつながり

※参加者一覧

※最終報告会の様子

ぬま大学生・マイプランの特徴は?|第1期〜第9期の参加者数・マイプランの分類を集計して可視化

およそ10年で、ぬま大生と呼ばれる参加者の数は113名に上ります。マイプランは1件だけ2名で取り組まれたため、合計112件のプランが実施された形です。

ぬま大学は移住者の参加者が多く、終了後も縁や取り組みが続く

ぬま大学の最大の特徴は、若者が多いだけでなく、移住者の参加者が多い点にあると感じています。10代〜40代の参加者だけで100人を超えている点だけでも驚きなのに、その多くが移住者というのですから衝撃的でした。

中には大学を休学してぬま大学に取り組んでいる人も見られます。私は、大学を休学して自己実現の取り組みをしている人の存在を知ってはいたものの、実際に目にしたことがなかったため、初めて目にして衝撃的でした。

何せそんな若者が(失礼ながら)宮城の端っこに位置する気仙沼市で地域活動にコミットしているのです。YOUは何しに日本へならぬYOUは何しに気仙沼へというか、どうして気仙沼へといった気持ちでした。

訊けば、ぬま大学に限らず、気仙沼市は移住者に対してとても温かな地域で、移住者が移住者を呼ぶ循環が出来ているそうです。つまり、そうした循環の中にぬま大学があるわけです。

私は、ぬま大学の第9期を観覧しましたが、実際のところ会場内の空気は温かく、市長を始め、地元の人々(地元企業の名士も見られました)の移住者への接し方がこれまた温かいのです。

その様子に、全く関係ない私でさえ、たった一刹那で「気仙沼市、良いじゃん」と思えました。それに加えて移住者同士のコミュニティ・ネットワークが強固なのですから、人が人を呼ぶ循環ができているのにも納得できました。

また、ぬま大学を通じた地域との繋がりが、この半年間のプロジェクトで終わらない点にも魅力を感じています。たとえば、ぬま大学の運営や最終報告会の運営には、ぬま大学OBが関わっています。それだけじゃありません。

以前記事にしたnihongo cafeは、ぬま大学OBによるプロジェクトです。つまり、地方で実施されるこうしたプロジェクトに多く見られる「1回やったらそれで終わり」が、ぬま大学にはありません。

ぬま大学参加者とのつながりも、地域とのつながりも、そのまま続くのです。そして「やりたい」を実現し続けたい人は、マイプランをそのまま地域でやり続けます。それを地域が応援してくれるのです。

こうした「持続可能な地域プロジェクト」は、移住者のみならず、地方で朝鮮したいすべての人々にとって、強烈な魅力を持っていると感じましたし、何より地方の可能性を感じさせられました。

新年会のような形で、参加者が集まる機会を創るなど、持続可能なコミュニティ創りに力を入れているところも素敵です。移住者と地元との接点にもなっており、誰一人取り残さない意思を感じられるところにも大きな魅力を感じられます。

ぬま大学が今後どういった形になっていくかは分かりませんが、私としてはこの先も長く続き、気仙沼市の更なる可能性を生み出していって欲しいと願ってやみません。

最後に、ぬま大学の参加者の性別別の人数やマイプランの分類ごとの件数を伝えます。マイプランの分類は、資料が手に入らなかった関係上、テーマから推測したものをまとめているため、正確性が高いものではありません。

一応スプレッドシートにまとめているため、ぬま大学関係者で一覧を確認し、編集の上、何かに利用したい人がいましたら、共有権限を付与する意向です(運営側で取りまとめたデータがあるとは思いますが)。

マイプランの多くには、地域課題が隠れていると考えます。資料としてはかなり拙いものですが、興味本位で確認して楽しむ分には悪くないものに感じます。有料にするのは少々悩みましたが、興味がある人向けのものであるため、有料としております(恐らく来年には無料化します)。

第1期〜第9期の参加者数・マイプランの分類を集計

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