となりのOL / 隣ノ誰架

関東在住のOLです。仕事の傍ら趣味で主にファンタジー小説を書き、公募に挑戦しています。…

となりのOL / 隣ノ誰架

関東在住のOLです。仕事の傍ら趣味で主にファンタジー小説を書き、公募に挑戦しています。 こちらのアカウントはnote創作大賞時に稼動することが多いです。普段はXでつぶやいていますので、もし良ければ仲良くしてください╰(*´︶`*)╯♡

最近の記事

元徳と大罪の魔女たち 第3話

 エミリアの方を振り向けば、彼女は小さい声で「いや、あれは不可抗力で……」などと歯切れ悪く呟いていた。  俯いて指をいじったりしているし、明らかに挙動が怪しい…… 「二人でハイランド帝国まで旅をするのかい? あんたたち、まだ成人したかしてないかくらいの年齢だろう? 大丈夫なのかい?」  なんて、僕たちを心配してくれるマーチおばさんを尻目に、僕はじっとエミルダの方を見つめる。エミルダは僕から出ている威圧の魔力を察したのか、こちらを頑なに見ようとしない。  ……これは何か隠し

    • 異端のキューピッドが天界をのし上がる 第3話

      「え、それだけ??」    それは、俺の体に合わせたような小型の弓と、矢尻の色の違う二本の矢だった。  ガブリエルもさも不思議といった表情を浮かべ、小首をかしげながら言う。   「そうみたいです。大体は、衣服といった身に付けるものが多いのですが……最近の人間にしては珍しく、開放的な性質だったのですね?」 「やっぱお前、変わってるな」 「いやいや、どこにでもいる、一般的な男子高校生でしたよ!?」    てことは、え? 俺、引き続きこの格好で過ごさないといけないの!?   「まぁ

      • 異端のキューピッドが天界をのし上がる 第2話

         力天使? 何それ?  天使に、普通の天使と大天使がいるってのは、マンガやらで何となく知ってたけど、力天使って一体、何?    聞きなれない単語に思考が一瞬停止する。その様子を見て、ガブリエルはふふふと笑うと、慈しむような視線を俺に向けて話を続けた。  「私たち天使には厳格な階級があり、それぞれに父より与えられた力があるのです。ちょうどいいですね。あなたのように新しく生まれた天使たちには、毎回、最初にこの説明をしているのです」    あ、その説明が今になったのは、俺がゆりか

        • 異端のキューピッドが天界をのし上がる 第1話

          あらすじ  尾鷲 玖人は、一般的な日本の男子高校生だった。  だから猫を庇って事故に遭った玖人の魂は普通ならば仏に導かれる……はずなのに、気付けば玖人は天使となっていた。  しかし幼馴染たちの後を追った先で目にしたのは、まだ生きた自分の姿。異変に気付いた天使に帰天されそうになりつつも何とか猶予を勝ち取った玖人は、元の体に戻るために“奇跡”を起こせるという力天使を目指すことを決意する。  しかし、天使たちを見送った後に猫に扮したギリシャ神話の愛と美の女神・アフロディーテが登場

        元徳と大罪の魔女たち 第3話

          元徳と大罪の魔女たち 第2話

          「改めて、僕の名前はフィン。当代の強欲の魔女だ。傲慢、君の名前を教えてくれるかい?」 「私の名前はエミルダよ」 「そうか、エミルダ。早速、君のテリトリーに行きたいところではあるんだけど、その前にひとつ僕にはしなければいけないことがあるんだ」  エミルダの全財産をいただく代わりに、ルシファーを倒す手伝いをする。その交渉は確かに成立したが、僕にはやらなければいけないことがある。  僕の言葉に小首をかしげる傲慢の魔女ことエミルダに向かって、上方に向かって指をさす。つられるように見

          元徳と大罪の魔女たち 第2話

          元徳と大罪の魔女たち 第1話

          あらすじ  世界には七人の魔女がいた。  彼女たちはそれぞれ、強欲、傲慢、色欲、暴食、憤怒、怠惰、嫉妬の魔女と呼ばれ、悪魔と契約を交わした『絶対悪』として、人々から恐れられてきた。しかし、実際にはその逆で、彼女たちは代々それぞれの悪魔と戦い、世界を守っていた。  そんなある日、傲慢の魔女が悪魔ルシファーの攻撃に合い力を失ってしまう。傲慢の魔女は古の盟約に従い、強欲の魔女に助けを求める。が、当代の強欲の魔女であるフィンは男だった。傲慢の魔女の財産目当てに協力を承諾したフィン

          元徳と大罪の魔女たち 第1話